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不思議の島で、たった1人生き残った少年の、とてつもなく美しい冒険“Away”

霧の中で、パラシュートを背負った1人の少年が、木にぶら下がっている。
すると、霧の中から不透明で不気味な巨人が近づいてきて、彼を飲み込んでしまう・・・
そんなオープニングで始まるアニメ「Away」は、不可思議だがシンプルで、美しく、魂に触れるような作品だ。
とある無人島に、飛行機事故でたった1人生き残った少年が、不気味な巨人に追いかけられながらもなんとか生き延び、脱出を図るというストーリー。
ラトビアの監督ギンツ・ジルバロディスが、たった1人で、ノートパソコン1つで、3年半かけて作り上げた1時間半の長編アニメ。というのにも驚く。
この作品には、一切セリフがない。しかしオリジナルの音楽の効果は抜群で、カメラワークも巧みだ。
飛べない鳥との友情、たった1人でどうやって状況を切り抜けていくかの葛藤と知恵、そして不気味な巨人に対する恐怖との闘い、勇気。何より大自然の描写が素晴らしい。
映画館の大画面でみると、まるで自分もそこにいて、少年と同じ目線で共に冒険しているような没入感がたまらない。
最初に見たのは「新千歳国際アニメーション映画祭」で、審査員特別賞を獲得した。また、「アヌシー映画祭」始め世界各国の映画祭で様々な賞を獲得している。映画祭でも2回、今回の一般公開でも2回見た。見るたびに発見があり、作者の意図が見えてくる気がする。
たった1人でこの大作に臨む監督と、たった1人で生き抜く少年とが重なる。

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