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昭和セピア色のこんなハナシep12.「門松からそり作り」の巻。

お正月明けのスキーやそりは門松の竹という発想

近所の裕福な家で、年末には門松を準備していた。

そして、お正月も明けて、
鏡開きも済んだ頃を見計らい、
タカシ君やノンちゃんとみんなでそのお宅に伺った。
小学4年生のころだったと思う。

「こんにちは!おばさんっ、あの門松の竹、
もらってもいいですか?」
と指さす。
「あ~、あれね?」「いいわヨ」
と、快く返事が返ってきた。

そしてすぐさま門の斜め後方に置いてあった
一対の門松を、みんなでばらしたのだった。

ちなみに、当時は一般家庭でもゴミなどは焚火で
処分していたこともあり、
おばさんにしてみれば手間が省けるのだった。

左右で6本の青々とした孟宗竹だ。
タカシ君と我が家の間には少しばかりの空間があり、
そこで工作を始める。
タケさん家にはナタがあったので
その竹を割るのは簡単だった。

薪になるような木くずは大抵、集まるものだった。
子供ながらにも焚火などして、
割った竹の先端から10数センチのところを
焚火の炎で少しずつ熱を加え、
先端を地面に当て、
熱を加えたところに圧力をかけながら、
それを何度か繰り返し、
最終的に約15度程度曲げる。

冷やす作業もあるから、
ブリキのバケツには
水をはっておく。
勿論、焚火の際は必ず水を用意することは
暗黙の常識だった。

スキー用とそり用に何本かを作り終えた。

八百屋からリンゴ箱を貰う

前もって、近所の八百屋からリンゴ箱を貰っておく。
本来なら銭湯の釜焚き職人が
引き取っていくはずの箱類だが、
子供らが連れ立って来ることに、
何らかの遊びや工作に使うのだろうと、
八百屋のおじさんも心得たものだった。

さあ、いよいよ組み立てだ。
スキー用は先端を曲げたものが2本あればよい。
そして、そり用はリンゴ箱の底板に
釘で打ち付け固定する。

直接、竹に釘を打ち付けては割れる可能性もあり、
キリなどであらかじめ小さな穴を空けておく。

そうこうしながら、スキーとそりが完成した。

手作りの遊び道具の数々・・、
それらは兄貴たちなど、近所の上級生
らから教え伝えられてくることが多い。

そして都会とは言え、
2月になれば必ず雪が降ることを
俺たちは知っていた。

春が近づく前の雪は、子供らにとっても、
それなりの遊び方、楽しみ方があったし、
待ち遠しかったものだ。


最後までお付き合いいただきありがとうございました。






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