HDR映像の作り方(その2)

今回はRAW素材を使ってHDR映像を出力してみよう。
今回用いるHDR形式はst2084/rec.2020(P3-Limited) regal level 10bit HEVCとした。
これは所謂HDR10に相当する。

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まずはタイムラインにRAWクリップを配置する。詳細は以下で見ると良い。
https://i.imgur.com/snVkeqR.jpg

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ついでプロジェクト設定からカラーマネジメントを有効化する。
https://i.imgur.com/VEhCg89.jpg
この際RCMを用いるかACESワークフローを用いるか、もしくはResolve標準のカラーマネジメントは用いず、OFXやLUTを用いてカラーページ内でカラーマネジメントを行う方法がある。上の例ではRCMを用いており、入力、タイムライン、出力全てにst2084/rec.2020をしている。
なお入力色空間については映像のメタデータが優先され、カラーページ上で変更も出来るためここで指定せずとも問題ない。
重要なことは出力色空間が必要なHDRの形式となっていることであり、この場合st2084/rec.2020としている。

HLG出力が必要であればガンマにHLGを指定する。ARIB STD-B67やHLG(scene)はシステムガンマが異なるため、一般的なHLGとしては使用しない。

なおタイムラインから出力の設定をクリップにしないのであればタイムラインで出力で異なるガンマ、例えばrec.709やリニアを選んでも問題はないはずである。ただし設定した色空間外に対して適切な操作が難しくなるので、基本的にはタイムラインと出力の色空間は揃えておくのが扱いやすい。

なお、4K HDR anime channelではst2084/rec.2020(P3-Limited)の形式を採用しており、もう少し複雑なカラーマネジメントを採用しているが、今の段階ではそこまで意識する必要はないだろう。

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ACESを使用する場合はこの様に設定する。ACESガンマにはACESccとACEScctがあるが、ACESワークフローで扱いたい場合はACEScctを選んでおくとよいだろう。
https://i.imgur.com/t8LMq0l.jpg

なお、HDRのプレビューについてはMac版とWin版で少し異なる。
Mac版の場合は10bit出力モードを選択し、HDRでソフト内プレビューが可能である。
*Studio版のみの筈
Winの場合はDeckLinkが必要であり、SDIかHDMIから出力することになる。
HDMIの場合、EOTFを指定できるリファレンスモニタ等を除けばHDMIメタデータにHDRのフラグを重畳する必要があるが、これもStudio版のみの機能であるので扱いに注意が必要となる。

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今回はRCMでの場合を見てみよう。
https://i.imgur.com/7HVR8Yl.jpg
https://i.imgur.com/VgMZxYl.jpg
結論から言えばRCMの場合何もしなくて良い事が多い。メタデータが適切に設定されていればResolveで自動的に色空間を変換してくれる。念の為素材クリップの色空間を確認しておくと良い。
上の例ではBlackmagicの4.6K film gen4を使用しているが、標準で当てられるBlackmagicの色空間と大きく変わるものではない。
iPhoneのHDRであればここにHLGを、SONYのカメラを使用する場合はSLogなどを指定すれば良い。st2084の素材であればst2084を選ぶ。

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ここまで来るとあとは出力するだけだ。
https://i.imgur.com/9VMefwW.jpg
https://i.imgur.com/zAVT2am.jpg
https://i.imgur.com/IYa0fMs.jpg
注意としてはCineform、DNxHR、IMFやMXF、HEVC main10等の10bit以上に対応するフォーマットを選ぶことと、HDRメタデータの書き出しを有効にし、カラースペースのタグをプロジェクトの設定に揃えておくことだろう。特に操作しなければプロジェクトと一致が標準で設定されているので、必要がない場合は操作しないことを推奨する。
Youtube向けであればDNxHR YUVやHEVC main10で、リーガルレベル(ビデオレンジ)にする。

HDRを想定した素材、所謂ログやRAW系の場合はこれだけである。

なお、RAWデータの場合カラーページで現像をする機能もあるが、RCMが介入している場合はこれは使用できない。
https://i.imgur.com/kxSf7BK.jpg
RCMを用いない、もしくは入力色空間補正をバイパスさせることで使用出来るようになる。
好みの問題でもあるのでそれを用いても良いとは思うが、RCMを用いてHDRタイムラインでグレーディングをしたほうが好ましく、またやりやすい場合が多いのではないかと思う。

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