What is gamma correction?

ガンマと聞いて何を思い浮かべるだろうか。
一般的にはアルファベータガンマ・・・といった程度かもしれない。
物理が好きなら放射線としてのガンマ線、天文に興味があればガンマ星を思い浮かべるかも知れない。

しかしここで触れるガンマはその何れとも異なり、OETF/EOTFを意味する。
映像技術者でなければOETF?EOTF?となるかもしれない。普通はそれが正しいし、テレビの設定を弄るのが好きであれば画質調整にその項目があるのを見たことがあるかも知れない。テレビのそれはまさにEOTFとしてのガンマを意味する。

明るさの単位は一般にcd/m2、もしくはnitという単位を用いる。
ここでテレビやモニタで0、1、2・・・100cd/m2と1cd/m2ずつ順に明るさが上がっていくバーを並べる映像を表示する場合、その信号はどの様になっているか少し考えてみよう。
上がり方がリニア(直線状)なのだから信号もそれに沿っている、と思うかも知れない。

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しかし実際にリニアな信号を出力すると上図のように直線に対し大きく歪んだ表示がなされる。

画像1

直線状の波形になる表示を得るには、上に示すように信号に逆補正を加える必要がある。これがガンマ補正である。

画像3

上に歪むなら下にずらせば良い。
これらはもともとブラウン管で必要な補正であった。
ブラウン管はその特性上、信号に対しリニアな出力を出さない。上に示すように上側に歪んだ表示となってしまう。補正回路を組んでその特性を打ち消すことも可能であったが、それでは全ての表示機器にその補正を加える必要がある。
当時の映像技術者はそうではなく、より現実的でユニークな解決策を採用することにした。
「表示機器が歪んでいるなら、送出側で逆の歪みを加えれば打ち消し合って良いのでは?」
必要なことは望む結果が得られることであり、その方法、体裁ではない。そうしてテレビの表示にはガンマ補正が行われるようになり、近年のHDTVやコンピュータディスプレイもそれに倣っている。
*ブラウン管のガンマがいくらであったかは定義が難しいが、一般的なテレビのガンマは2.2に近いとも言われている。
NLEにおいてbt.709を指定する場合おおよそ1.8~1.9に近似される。

ではもう少しガンマ補正について詳しく学んでみよう。
ガンマを知る上で知らねばならないのがEOTFとOETFである。
これらはElectrical Optical(Optical Electrical)transfer functionの略称で、光と電気信号の変換を意味している。
OETFは信号に対するガンマ補正といえる。上図における下側への補正がこれに相当する。
EOTFは表示側のガンマ補正であり、上の図で言えば上側への補正である。
歪みの強度がガンマ補正の強度であり、テレビ側のガンマ値を大きくすることはより下側への歪みを強くし、ガンマ補正値を小さくすることはその逆を意味する。
映像出力時の補正についてはその逆であり、表示側のガンマが固定であれば出力におけるガンマを小さくすればするほど表示が暗くなる。
ガンマ、つまりOETF/EOTFについては先ずこれだけ知っておけば良い。

なお、ガンマ補正についてはこのサイトでも非常に詳しく解説しているので詳しく知りたい場合は一読すると良いだろう。
https://qiita.com/yoya/items/122b93970c190068c752

しかし何故ブラウン管からLCDやOLEDといったデバイスになった今もそういった補正がのこっているのだろう?
LCDやOLEDもそういった出力特性の癖があるからだろうか?
これは明確にNOである。LCDやOLEDであればリニアな出力をすることは十分できる。
これらについてはまた次の機会に触れるとしよう。

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