#1 映画『シン・ゴジラ』レビュー
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#1 映画『シン・ゴジラ』レビュー

管理:bono1978/執筆:WAFL

『シン・ゴジ』は恋愛がないから最高!→最近の邦画は恋愛ばっかだから糞!→俺の人生も恋愛がないから素晴らしい!! という三段論法によってオタが多幸感に包まれた2016年夏。でも『シン・ゴジ』って登場人物のプライベートを描かないようにしているだけで、主人公と石原さとみは絶対にセックスしてるよなー。長年オタサークルにいると、肉体関係の男女が醸しだす独特の雰囲気が分かるようになるんだよ。なんか二人とも最初から狙っている感じがあるし、いつのまにかイッツミーと親しげに電話してるし、最終的には防護服でペアルックになるしー。巨災対でも尾頭ヒロミが「あの二人、確実にヤッてます」と噂していたに違いない。ということで、『シン・ゴジ』をゴジラと石原さとみの二大怪獣を制覇した男のサクセスストーリーとして解き明かしていく。

まず出会いのシーン。アメリカ大統領の特使としてやってきた石原さとみは、ゴジラの出現を予言してた教授を探し出せと命令する。彼女の態度が気に入らない主人公は「その対価はなんですか?」と尋ねる。すると再び石原さとみが映し出されるが、今度は画面の下の方に胸の谷間が見えてるのよ(*1)。往年のオタであれば「そういやアスカも初登場時にパンモロしてたなー」と『エヴァ』のビデオをコマ送りしていた90年代が蘇ってくるシーンだ。しかしアスカがその後もサービスショットを連発していったのに対して、石原さとみが谷間を拝ませてくれるのは本編でこの一度だけ。どうして彼女はあの瞬間だけパイ間強調ポーズを取ったのか? この謎は映画を観た後も解決されない不思議のミステリーとして提示される。

ここで『シン・ゴジ』の演出がヒントになるんだけど、この映画って発言や質問に対して「これが答えですよー」って感じで物事を映すことが多いんだよね。総理が「そんなものはいるわけないだろう!」と巨大生物の可能性を否定した直後にゴジラの尻尾が映るし、「おそらく総理は渋るよな」と災害緊急事態の布告に触れると総理の苦渋の表情のアップになるし、石原さとみが「あなたの国は誰が決めるの?」って聞いたら総理以下閣僚の花押が映るし、新総理が「のびちゃったよ」と言ったらラーメンが大写しになる。そんなマジカルバナナ的な連なりによって画面が構成されてるのよ。

それを念頭に入れて出会いのシーンを振り返れば答えは一目瞭然。「その対価はなんですか?」というセリフの後に胸の谷間が映るのは「対価=おっぱい」だからと考えるのが自然だろう。石原さとみは「もし教授を探し出せたら私の乳を好きにして良い」と宣言したに違いない。「ホリプロスカウトキャラバンを征したこの胸はお前の物だ!」と前屈みで自らの報酬を誇示したのだ。アメリカ大統領の椅子を狙う彼女であれば女の武器を政争の具にすることも厭わない。あのシーンの水面下では三星球を巡るブルマと亀仙人のような攻防が繰り広げられていたのである。そんな提案を男として断れるはずがない。そして主人公はゴジラの謎に迫れば迫るほど、さとみの乳にも近付くというダブルドリームに突入する。

主人公と石原さとみが結ばれる運命にあることは証明できた。それじゃ二人はいつセックスをしたのかという命題も演出パターンから容易に推測できる。さっき『シン・ゴジ』はプライベートを描かないと言ったが、むしろ避けられているという表現の方が正確だ。たとえば巨災対のメンバーが家族写真を見ている場面はあるものの、まるで撮ってはいけないものが映り込んだかのように数フレームでカットが切り替わってしまう。どうやら『シン・ゴジ』は登場人物のプライベートに踏み込まない慎み深さを持った作品のようだ。

この不自然なショットは多摩都市モノレールのシーンで繰り返される。主人公と一緒に沿線を歩く石原さとみは、原子爆弾でゴジラを倒すという計画に激昂し「祖母を不幸にした原爆を、この国に三度も落とすことはしたくないから」と初めて自らの家族について触れる。カメラは彼女がプライベートな話を切り出すことを予感していたかのように離れていき、最終的にはモノレールの線路だけが映される。本編で何度も登場した鉄道ではなくモノレールが映り込むことで、シーンの特異さは一層際立つことになる。

電車オタクである庵野監督はインタビューで「線路は二本ないと完成しないし、その二本は絶対に交わらない。こんな哲学的なところも好きです」と語っている。交わることのない軌条が一本に重なったモノレールによって、二人の関係性が変化したことを示唆する……。これで終われば「意外にロマンチックなことするじゃん庵野!」という感想で終わっていたかも知れない。だがこのシーンの直後、アニメであれば朝チュンのタイミングで挿入されていたものは何だったのか。この先はキミの目で確かめてくれ!

(*1)これはスクリーンの端っこにエロいものを映し、思わず視線を誘導させてしまった観客を辱めるという手法で、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の綾波の乳首でも使われていた。

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