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第10話 〜元従業員に訴えられました!の巻〜

今回は過激なテーマで目を引いてしまいましたが、全て実話です。これからお店を経営したいと思う方、それから今現在も従業員である方にも見読んで頂きたく思っております。

私の友人(オーナー)は飲食店を経営している。
この程、その友人が最近辞めた元従業員に訴えられた。残業代未払い請求の訴えだ。実はコロナで首を切ったわけではなく、その従業員自ら退社を希望した上で「私を解雇した事にしてくれませんか?そうすれば失業手当てが増えるので。」とオーナーに相談しだが、それが叶わず腹いせなのか、残業代を弁護士を立てて請求してきたそうだ。

あるある、最近よく聞くよー。
経営者の方々、気をつけて下さい。
これは雇用契約を書面をもって交わしていたかどうか、そしてそれに沿って労働が正しく行われていたかどうかのシンプルな話である。

しかし、友人の飲食店はこの雇用契約書がなかった。
「え!?雇用契約書って、普通当たり前じゃないんですか!?」と思われるかも知れないが、それがそんな事もない。
小さな飲食店、町場の職人、社長命令絶対のゴリッゴリのトップダウンの会社(集団)など案外、雇用契約書がないところは多い。

anima garageも今まではそんなものはなかった。家族経営だったし、雇用契約書が必要だなんて思ったことは一回もなかったから。今は会社として従業員を雇っているのでスタッフに渡している。

さて、友人曰く確かに元従業員は残業をしていたが、それは従業員自らが残業を申し出て作業をしていたし、決して強制してはいなかったとか。まぁそりゃあ、たまには残業をしてもらわなきゃ終わらない作業もあったであろう。だが、最初から雇用契約書がないところで働くと決めたのは彼自身なのだから、残業代などもらえないだろうと想像は容易につくはずである。

オーナーである友人は元従業員の彼に対してはかなり自由に働ける環境を作っていたそうだ。とは言え、飲食店というものは本気でやっていれば一日10時間以上働くことなどザラである。私も飲食店に勤めていた時は一日15.6時間は働いていた。睡眠時間なんて毎日3.4時間だし。とにかくきつい。

まぁその辺りの飲食店の問題は様々あるが、今回フォーカスしたいと思ったのは『訴えた側』である。

一体どんな状況で、どのような気持ちで残業代未払い請求をわざわざ弁護士を立ててまで行ったのか?

これはただの私の推測だが、考えられるのは以下の2点である。

①残業代は実はどうでも良く、経営者に対するただの恨み。
②マジでお金に困っていた(笑)

①これは経営者側と社員側のお互いのコミュニケーション不足による、意識のズレから生じることによって起こる現象だ。この現象はどんな店、会社でも高確率で起こりうる事である。自分はこんなに頑張っているのに認められない、経営者は頑張りに気付いているけれど、部下に対しての表現の仕方が分からない等。人間同士なので、やはりそこは互いに永遠の悩みなのかも知れない。
又、誰しも部下や上司の経験はあるけれど、経営者の立場に立った事がある人は少ないだろう。それ故に経営者の気持ちが理解される事はほとんどないのだ。
余談だが、昔からよく言われているのは「経営者は孤独だ。」という事。どんなに従業員が沢山いて慕われている人でも、経営者というのは常に会社を生かすか潰すかという選択を迫られている。舵取りは船長である自分にしかできない事であるからこそ、それ相応の進路決定、指示をしなければいけない。故に孤独なのだ。

②これはその言葉の通り、単純にお金に困っている人の事である(笑)
飲食業界というのは正直言ってどこも給料が低い。余程の知名度のあるブランド料理店でも儲かるのはお店を持つオーナーただ一人と言っても良いだろう。
あとは独立志望の従業員の場合、店作りの資金が必要となるので、とにかくお金が必要である。

この状況を踏まえた上で、その店を訴えた元従業員の彼の場合はどちらかだったのかというと②はオーナーとその後の遣り取りは一切する事ができず仕舞いなので正直分からないところである。ただ、生活に困っていたわけではないそうだ。残業していたと言ってもそんなに遅くまで残って働いていたわけではなく、仕事の後によく夜遅くまで遊び歩いたりもしていたそうだ。遊んでお金がなかったのか?いや、そもそもそんなに働かされてないんだから、わざわざ訴えるなよとは思う(笑)

という事はやはり①が濃いと推測できる。
オーナー曰く、彼はなかなかコミュニケーションを取るのが難しかったそうだ。何か注意を促したり、提案をしたりするとすぐにムッとして、その度に店内の空気は良くなかったという。オーナーからの指示の仕方に問題があったのなら多少は元従業員の気持ちも理解できるが、オーナーである友人はかなり温厚な性格なので、まずそれはあり得ないと言える。
という事は元従業員側のキャパの問題である事が伺える。
彼はかなりの自信家で、よく自分を大きく見せる発言をしていたそうだ。確かに周りから彼の作るものは美味しいと評判ではあったようだ。それ故に余程の自信があったのだろう。ただ、腕が良かろうと何だろうとオーナーではない。お店というのはオーナーが絶対なのだから、オーナーに注意や指示をもらってムッとする態度を返す時点で自分の立場が分かっていない。…まぁ説明するまでもないが人格的になかなかだ(笑)

さて、ここで彼にとって問題点となってくるのは、彼はこれから独立をするという事である。
え?独立?そんな人格的に問題がある人間ならトップに立ってワガママ放題、ギガ放題(私ソフトバンクユーザーです。←関係ない)な方が性に合ってるからいいんじゃないの?と思うかも知れない。そこは間違いないと私も思う。

ただ、何が問題なのかと言うと彼は弁護士を立ててまで店を訴えた時点で大損をしているという事だ。
これは短期的な金額の問題ではない。
私も経営者なのでよく分かるのだが、例え訴えて得たお金を手にしたとして、それは何の足しにもならないどころか今の彼にとって負の遺産である事に間違いはない。←という事に気が付けなかったのが彼の特徴であり、最大の弱点である。

少ない情報ではあるが、ここから推測するに彼は全く自分を客観視できない人物である事が分かる。仮に自分から残業を申し出た場合でも残業代は発生するものとして、普通は「自分から申し出て残業してるしなぁ。」などと考えるものである。この状況においても訴えを起こすという事は①のオーナーに恨みがあるということ以外に他ならない。
解雇届けを書いてもらえなかった恨み?(そんな危なっかしい奴に書けるかよ。笑)
注意をされた恨み?(通り魔殺人の動機でよくあるやつ。笑)
YouTubeチャンネルで上手く稼げなかった事への八つ当たり?(もはやクズを超えてカスじゃないか。笑)

さて、大金をはたいてまで弁護士を雇い、その割に安易に訴えを起こした彼は一体どういう人物だったのかと、彼を知る人に聞いても「アレはないですね。」という何とも寒々しい答えが返ってきた。これで彼自身の人格に欠陥があったという事が明確になった。

なぜ負の遺産になるのかというと、実は消えゆくお金の事ではない。彼の信用がなくなるというのが一番の負の遺産であるという事だ。このご時世、ネットがこれだけ普及してしまえば、どこで店を出そうが情報はすぐに広まってしまう。「あいつは世話になった店を訴えた金で店を出した。」「キチガイ店主の店。」などと簡単に書かれてしまう時代だ。アナログな広がり方としても口コミですぐだ。悪い情報というのは良い情報よりも根強く人々の記憶に残るものである。飲食業界もかなり狭い世界なので、いくら腕が良くても、ほんの少しの事がきっかけで潰れる店は五万とあるのだ。そこに気付けなかった彼の人生はもはや悲劇(いや良識ある普通の人は気付くけどね。笑)としか言いようがない。

私も従業員を抱える者として改めて肝に銘じて仕事をしたいと思った事件である。まだこの一件は継続中であるが故に、私も正直気が気ではない。
とは言え、彼が今後どのような人生を送る事になるのか…なんて、結論は見えている。だが、現代は物凄い早さで時代が進み、人間的に欠陥のあるものが時代の勝者としてもてはやされる時代である事も一つの事実である。
だがしかし、それは所詮事実であって真理ではない。物事の本質を見抜く事が出来ない彼のような人間は、どれだけ勢いがあっても周りの信用を得る事が出来ない状況になってしまった以上、その業界では長続きはしないだろう…。

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