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学生時代お世話になっていた恩師から本が届いた

当時、先生は私の地元の民間伝承を研究しており、私と、私の友人の2名でその研究の手伝いをしていた。
現地調査の際の写真撮影や、地図の作成、地元の方との通訳が主な仕事だった(先生は東京出身で、方言がさっぱり聞き取れなかった)。対象となる地域がかなり山奥だったので、そこへ行くたびに本格的な登山になり、夏は汗だくになりながらの調査だった。

届いた本を開き、苦心して書いた手書きの地図や現地の写真を見た途端、もう何年も前の当時の記憶が次々と思い出された。

地元の方へのインタビューで座敷に通されたと思ったらおびただしい数のカメムシがあたりを這いずり回っていて笑顔の裏で冷や汗ダラダラだったこと、山道を歩いているときリュックのジッパーが閉まりきってなくてカメムシに侵入され泣きながら荷物を洗ったこと……。
真っ先に思い浮かんだのがこの二つだったのだが、もっと良い思い出ももちろんたくさんある。この二つだって今となっては一応いい思い出にカテゴライズされるし…。

実は、本に載せるためにちょっとした挿し絵のようなものも描いていたのだが、自分の絵がこんなにしっかりした本に載ってるのってメチャメチャ不思議な気持ちでなおかつ嬉しい!同人デビューより先に商業デビューしちゃうとはね…(商業デビューではない)。
自分の描いたものが形になるって嬉しいことだな、と改めて実感したし、思い出補正で2倍嬉しい。


けれど、地元の人間ではない先生がこうして色々と調べ回るのを、よく思わない人間もいて、研究がこうして本の形になるまでにはたくさんの苦労があったのだと思う。それを乗り越えて、こうして先生の念願が叶ったことが、何よりも嬉しい。

そして、先生からのメールに返事を書いているとき、学生の頃はかけらもなかった社会人としてのマナーがすっかり身に付いているのが少しだけ寂しい。


本は3冊届いたので観賞用 布教用 永久保存用にします。