ぼる塾雑談劇場。「改名」、「初めての怒り」

「改名」

ネタ合わせのために四人で集まったときのことです。ネタ合わせを始める前に少し雑談していると、田辺さんがため息をつきました。田辺さんの顔をよく見ると、なんだか元気がありません。

私「どうしたの?」

田辺さん「ああ、ちょっとね。今日の朝食、せっかくの美味しいパンを雑に食べてしまったの」

私「雑に食べるって?」

あんりちゃん「床に叩きつけてから食べたんですか?」

田辺さん「そうよ。おもいきり床に『えい!』ってしたわ」

田辺さんはあんりちゃんのボケにのっかるようでした。

田辺さん「えーっと……………それで……そうね…そして……焼かずにバターもジャムも塗らず食べたわ。ウィンナーやサラダやスープを添えても良いくらいの素敵なパンだったのに」

田辺さんはボケにのっかりましたがその後のボケは全く思いつかなかったようで、ただ本当にあったことを続けていました。

あんりちゃん「良いパンなら何もせずそのままでも美味しいんじゃないですか?」

田辺さん「でもね、冷蔵庫にすごく良いジャムがあったのよ!塗ったらさらに美味しくなるのに!冷蔵庫開けるだけなのに!それができなかったの!」

私「冷蔵庫開けるだけのことが面倒くさいときもあるよ」

田辺さん「私悔しいの。せっかくの美味しいパンを雑に食べてしまったことが。勿論そのままでもすごく美味しかったけど、ジャム塗ったらもっと美味しかったよ!」

私「確かに床に叩きつける元気があったなら冷蔵庫開けられたよね」

田辺さん「あ、私、本当にパンを叩きつけたわけじゃないわよ」

私が少しふざけたせいで田辺さんは必要のない補足をしてきました。

私「いや、わかってるよ」

田辺さん「あら、良かった。酒寄さんが本気にしたかと思って」

私「私あほすぎるでしょ」

田辺さん「私はパンを床に叩きつけてから食べるなんてこと絶対しないわ!私はね、食に対して敬意を払ってるからね」

私「私もパンを床に叩きつけてから食べたりはしないけど、田辺さんの食に対する敬意は伝わってくるよ」

田辺さん「あ!食っていえばさ、昨日KAT-TUNの番組見てたんだけど、やっぱり亀梨君はすごいよ!食に対するリスペクトを感じる」

それから田辺さんはKAT-TUNの亀梨くんがいかに食に対して素晴らしい姿勢をとっているかを説明してくれました。

私「亀梨くんって素敵な人だね。田辺さんから話聞くたびにそう思うわ」

田辺さん「本当に亀梨くんは素晴らしいよ。しかもさ、年々格好良くなっていくの。すごくない?」

私「聞いてて思ったんだけどさ、亀梨くんの食に対する姿勢って田辺さんに似てるね」

田辺さん「え?!やっぱり?!酒寄さんもそう思う?!実は私もそう思ってたの!!」

田辺さんが突然3D映画のように飛び出してきたので私はその勢いにひっくり返りそうになりました。

私「う、うん。食材や作り手の気持ちをちゃんと考えてるとことか」

田辺さん「そうよね!私と亀梨くんそっくりよね!」

あんりちゃん「じゃあ、田辺さんは今日からなべなしさんですね」

ずっと静かに田辺さんの亀梨君への思いを聞いていたあんりちゃんは、その思いに胸打たれたのか田辺さんに新たな名を授けました。

田辺さん「な、なべなし?そんなのいやよ!!」

あんりちゃん「よ!なべなしさん!」

私「なべなしさん!」

田辺さん「なべなしなんていやよ!」

あんりちゃん「なべなしって良い名前ですよ」

私「うん」

田辺さん「なべなしじゃないよ!

鍋は欲しいよ!!鍋無いと困るよ~!!」

田辺さんは我々からは想像のつかない角度から嫌がっていました。

あんりちゃん「いや、亀梨君も別に亀無くても良いとは思ってないと思いますよ」

あんりちゃんは恐らくこの世で一度きりのつっこみワードを発していました。はるちゃんはトイレに行っていました。

「初めての怒り」

田辺さんの改名騒動から数時間後のことです。

ネタ合わせをし、昼ご飯を食べ、デザートを食べた私たちはやっと休憩時間に入りました。田辺さんはソファにめりこみ、私はあんりちゃんとはるちゃんから「私たち地元じゃ負け知らずでした。あんりとはるかって周りから恐れられていました」という、嘘の武勇伝を聞いていました。

田辺さん「酒寄さん知ってる?今LOVE BOATのミラー売ってるのよ」

そう言って、田辺さんは寝転がったまま私にスマホの画面を見せてきました。

私「わ、可愛い!」

田辺さん「可愛いわよね!青春思い出すわ」

私「うん!懐かしい!みんな持ってたね~」

田辺さん「私買おうかしら。酒寄さんもいる?一緒に買おうか?」

私「え!欲しい!お願い!」

はるちゃん「私も欲しいです!」

田辺さん「あら、はるちゃんってLOVE BOAT世代?」

はるちゃん「違うけど四人でお揃いで鏡持ちたいです!」

田辺さん「あんりもいる?」

あんりちゃん「良いですよ。四人で持ちたいです!田辺さんと酒寄さんの学生時代に流行っていたんですか?」

田辺さん「めちゃくちゃ流行ってたわ。みんなLOVE BOATのショップ袋もってた」

私「うん。ステータスだったね。あんりちゃんはるちゃんのときもそういうのあった?」

あんりちゃんとはるちゃんは小学校からの幼馴染です。

はるちゃん「私たちのときは生徒手帳に好きな芸能人の写真入れるの流行ってました!みんな自分の好きなアイドル入れてました!」

あんりちゃん「私はEXILEの写真入れてましたよ」

田辺さん「いや、あんりはEXILEの写真入れてないよ」

あんりちゃん「いや、田辺さん私の幼馴染じゃないですよね?その頃いませんよね?」

田辺さん「いなくても私はあんりのことわかるわ」

あんりちゃん「何なんだよその自信」

田辺さん「私はいつもあんりのこと見てるからわかるよ」

あんりちゃん「こえーよ」

確かに田辺さんはよくあんりちゃんのことを見ています。以前聞いた話ですが、テレビの仕事で出演者全員でVTRを見ているとき、あんりちゃんが視線を感じてふと顔をあげたら田辺さんだけVTRではなくあんりちゃんのことを真っ直ぐ見ていたそうです。怖いですね。

はるちゃん「あんりEXILE大好きですよ」

あんりちゃんの本当の幼馴染のはるちゃんが助け舟を出しました。

田辺さん「いや、好きじゃないよ。あんりはそういう女じゃないよ」

あんりちゃん「あんた私の何なんだよ。私どう見てもEXILEファンっぽいじゃないですか。ね、酒寄さん?」

私「え?(うーん…EXILEファンにも見えるしEXILEファンじゃなくも見える。どっちだ?でもファンだったら見えるって言われたいよね?それとも見えないが正解?ギャップがあるほうが嬉しい?)…あんりちゃんはEXILEファンっぽいよ」

あんりちゃん「ほら~。田辺さんが一番私の事わかってないじゃないですか」

私(良かった。正解だった)

田辺さん「え~」

あんりちゃん「私カラオケでもめちゃくちゃEXILE歌ってましたよ。ね、はるちゃん」

はるちゃん「うん。あんり歌ってた!」

あんりちゃん「清木場俊介の曲が好きで…あ!」

私「どうしたの?」

あんりちゃん「今、急に、はるちゃんに初めて頭にきたときのこと思い出しました!」

はるちゃん「え~私あんりに何かしたっけ?」

私は、はるちゃんは常にあんりに何かしてると思いました。

あんりちゃん「昔、私とはるちゃんで一緒にカラオケに行ったんです」

私「うんうん」

あんりちゃん「はるちゃんって人が歌ってると入ってくるんですけど、私、清木場俊介の曲ですごく好きな曲があってどうしてもひとりでちゃんと歌いたくて」

田辺さん「続けて」

あんりちゃん「はるちゃんに『絶対に邪魔しないで。お願い。この曲だけはひとりで歌わせて』ってお願いして」

私「うんうん」

あんりちゃん「それで、いざ曲が始まったら、

この女滅茶苦茶大声で一緒に歌いだしたんです」

はるちゃん「え~、そんなことあったっけ?」

あんりちゃん「私すっごく頭にきて、今までにないほどの怒りでした」

はるちゃん「え~、あったかな?なんて曲?」

はるちゃんは本当に覚えていないようでした。

あんりちゃん「覚えてないの?清木場俊介の『なにもできない』って曲だよ」

私「それでどうしたの?」

あんりちゃん「私あまりの怒りにもう歌うのやめて、その後ずっと無言で過ごしました」

はるちゃん「あんり本当に『なにもできないじゃん!』」

私は、はるちゃん上手いこと言うなって思いました。

おわり

***

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