宝箱の中身

ある日、私が部屋の中掃除(大ほどではない)をしていた時のことです。

私「宝箱の中も確認するか」

私は宝箱という自分の宝物をしまっておく箱を作っていて、その中に大事な物を入れています。

宝箱の中身はファンの方からいただいたお手紙や初めてテレビに出演したときの資料や単独ライブの台本、全く入れた記憶のない田辺さんが書いたポエム(内容は田辺さんの名誉のために伏せます)など様々です。

私「このファイルは・・・わー懐かしい!」

ファイル中には、私が歴代ハマった好きな漫画のブロマイドやコースターが入っています。

私「このブロマイドは田辺さんと行った時のだ」

それはある漫画がテーマパークとコラボしたとき、その作品に一緒にハマっていた田辺さんと遊びに行ったときのものでした。

~ここから回想です~

私「取れない、取れないよ~」

田辺さん「酒寄さん!あんた泣いてる!」

私「何で取れないんだよ~!あ!取れた!取れたよ~!」

田辺さん「良かったね!ずっと取れろって念じていたらお腹がすいたわ!」

私がグッズ欲しさに大金を投入し、泣きながらクレーンゲームをしているのをずっと見守っていた田辺さんはお腹がすいたようでした。

私「何か食べようか!」

田辺さん「そうね!むしろそれが今日のメインよ!」

コラボイベント期間中、テーマパーク内の様々な食べ物屋さんがコラボフードを販売しており、そのメニューを注文するとオリジナルのブロマイドがもらえるという企画をやっていました。フードによってもらえるブロマイドは違うのですが、全種類もらうのは胃袋的に厳しく、せめて私は自分が好きなキャラのブロマイドだけでも制覇しようと考えていました。

私「私はこのデザートとこのデザートにするよ!このブロマイドが欲しいから!」

田辺さん「じゃあ私はしょっぱいの攻めようかしら・・・。あら、この甘いのも美味しそう」

それぞれ買いに行って、再びテーブルに集合しました。田辺さんはしょっぱいのだけではなく甘いのも攻めていました。

私「ブロマイド嬉しい!やっぱり△◇(キャラ名)は格好良いね!」

田辺さん「良かったね!クレーンゲームと違って必ずもらえる上に食べ物まで食べられる!ハッピー!」

私「でも種類がありすぎて欲しいブロマイド全部は集められないね」

田辺さん「そうね。予定的に今日しか来られないしね」

私「実はこのブロマイドも欲しかったんだけど、ちょっともう食べられそうにないから無理だ」

私はコラボフードの乗っているチラシを指差して田辺さんに見せました。田辺さんはじっとチラシを見てから言いました。

田辺さん「・・・私まだいけるよ?」

私「え?」

田辺さん「私まだ全然余裕よ。このブロマイドが欲しいの?」

私「え、うん。」

田辺さん「ちょっと待ってな」

そう言って田辺さんは立ち上がって颯爽と歩いて行きました。戻ってきた田辺さんはコラボフードを手にしていました。

田辺さん「これは私から・・・」

田辺さんは椅子に座りながらスッと私の前に欲しかったブロマイドを置きました。

私「え、良いの?!」

田辺さん「ええ」

私「あ、お金払うよ!」

田辺さん「良いわよ!食べるのは私なんだから!これは普段お世話になってるお礼よ!」

私「え、でも!」

田辺さん「借りを返したと思って受け取って!」

私「・・・ありがとう!大切にするね!」

そして現在。

私「懐かしいなー。そんなこともあったな。あ、こっちのコースターは・・・」

それはあるアニメがコラボカフェを開催し、私も田辺さんもそのアニメが好きだったので一緒に行ったときのものでした。

~ここから回想です~

私「これ美味しいね!」

田辺さん「ね、最近のコラボカフェってレベル高いのね!」

私「でも、もらえるコースターはランダムだから自分が好きなキャラのがもらえるとは限らないんだね」

私は自分が一番好きなキャラを当てることができませんでした。

田辺さん「そうね。酒寄さん残念ね」

私「うん。このキャラクターも好きだけど、一番好きなキャラが当てられなかったのが悔しいよ・・・」

田辺さん「・・・私まだいけるよ?」

私「え?」

田辺さん「私まだ飲めるよ?今日暑いから」

そう言って田辺さんは颯爽と歩いて行って追加注文をしていました。

田辺さん「これは私から・・・」

田辺さんは裏返しでもらったコースターをネタばれしないように慎重に運び、スッと私の前に置きました。

私「え、良いの?!」

田辺さん「ええ」

私「あ、お金払うよ!」

田辺さん「良いわよ!飲むのは私なんだから!これは普段お世話になってるお礼よ!」

私「え、でも!」

田辺さん「借りを返したと思って受け取って!」

私「・・・ありがとう!大切にするね!コースターどのキャラか確認するね!」

田辺さん「酒寄さんの好きなキャラこいこいこいっ!カモンっ!!!」

私「違った!」

田辺さん「あらっ!残念っ!」

そして現在。

私「懐かしいなー。結局私の好きなキャラじゃなかったけど嬉しかったな。逆にそのとき出たキャラをその後なんか好きになったもんな。あ、こっちのコースターは・・・」

それはあるアニメがコラボカフェを開催し、私も田辺さんもそのアニメが好きだったので一緒に行ったときのものでした。

~ここから回想です~

私「これ美味しいね!」

田辺さん「ね、最近のコラボカフェってレベル高いのね!」

私「しかもランダムのコースターも一発で好きなキャラが出て嬉しい!」

田辺さん「そうね!酒寄さん良かったね!」

私「うん!嬉しい!」

田辺さん「・・・私もう一杯飲もうかしら」

私「え?」

田辺さん「いや、実は私こっちのメニューも気になるのよね」

そう言って田辺さんは颯爽と追加注文をしました。

田辺さん「これは私から・・・」

田辺さんは裏返しでもらったコースターをネタばれしないように慎重に運び、スッと私の前に置きました。田辺さんはただ自分が飲みたくて追加注文をしたのに、何故かスッと私の前にコースターを置いたのです。

私「え、良いの?!何で?」

田辺さん「はて?何でかしら?なんかコースターを見ると酒寄さんにあげなきゃって気持ちになるのよね。ほら、酒寄さんのほうがこの作品好きだし、私コースター1枚で良いし!」

私「え、でも!」

田辺さん「あれよ!借りを返したと思って受け取って!」

私「・・・ありがとう!大切にするね!コースターどのキャラか確認するね!」

田辺さん「もう酒寄さん好きなキャラ当ててるし〇〇(田辺さんが好きじゃないキャラ)以外なら何でもいいね!」

田辺さんは〇〇に対してすごく失礼なことを言っていました。

私「◇◇だ!」

田辺さん「あら!◇◇!可もなく不可もなくって感じね!!この飲み物やっぱり当たりだわ!!頼んで良かった!」

そして現在。

田辺さんっていつも借りをコラボカフェで返してくるなって思いました。

おわり

***

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