なんちゃん

私の息子（4歳）はジュースの『なっちゃん』が大好きです。ですが、彼は『なっちゃん』のことを『なんちゃん』と呼びます。どんなに「これは『なっちゃん』だよ」と、教えても『なんちゃん』と呼びます。

息子が『なんちゃん』と呼ぶたびに、私の頭の中でウッチャンナンチャンの南原清隆さんが頭に浮かびます。私は「ウッチャンナンチャンの炎のチャレンジャーこれができたら100万円!!」（因みに私はこの番組の『幸運のサイコロ最後まで当てたら100万円』に参加したことがあります）、「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」、「ウンナンの気分は上々。」などを見て育ったので、もうこれは仕方がないことです。私は南原清隆さんにお会いしたことは無いのですが、私の頭の中の南原清隆さんはいつも笑顔です。

息子は外でも『なっちゃん』を見つけると喜んで「なんちゃんだ！」と歓声をあげます。周りに人がいると、その人も恐らく南原清隆さんを想像するようで、

周りの人（え？！ナンチャンいるの？！）

いるはずのない南原清隆さんの姿を探していて、申し訳ない気持ちになります。それくらいなんちゃんと言えば南原清隆さんなんです。

それなのに息子は『なっちゃん』を『なんちゃん』と呼びます。

私「このジュースはね、『なっちゃん』なの。『なっちゃん』」
息子「なんちゃん！」

息子の中ではどうしても「なんちゃん」

息子はここ最近どんどん成長し、私が息子に対し、「よっ！ぼっちゃん！」と呼んだら、

息子「違うよ。なんでもない人です」

と返してきたり、「ごはんが全部食べられたら高評価。チャンネル登録よろしくお願いします」と、YouTubeのまねごとをしたりとかなり口も達者になってきたので、なぜ『なっちゃん』だけは『なんちゃん』と間違い続けるのか不思議です。息子が『なっちゃん』を『なんちゃん』と呼び続けるのは何かのSOSのサインなのかもしれないとも一瞬考えましたが、すぐにそんなSOSは流石にないだろうと思いました。それに、

息子「僕なんちゃん大好き！」

そう言って、嬉しそうに『なっちゃん』を飲む息子を見て、

私（もう今は『なんちゃん』でも良いか。いつか『なっちゃん』になるだろうし）

と、思うようになり、

私「ママも『ナンチャン』大好き。『ウッチャン』も大好き」

と、言っていました。しかし、ある日、事件が起こりました。息子が『なっちゃん』を発見し、

息子「なんちゃん欲しい！」

と、お願いしてきたので、

私「じゃあ「なっちゃん買ってあげるから、この後ママのお買い物に付き合ってね」

と約束をして、なっちゃんを息子に買ってあげました。息子は「なんちゃん大好き！」と言いながら喜んで飲みました。私は、「じゃあ、ママのお買い物に付き合ってね」と言うと、

息子「やだ！」

なんと、なっちゃんを飲んだのに買い物への同行を拒否してきたのです。私は話が違うと思い、

私「なっちゃん買ったらお買い物に行く約束だったでしょ！」
息子「…なんちゃん嫌い！なんちゃん嫌い！」

その瞬間、私の頭の中でいつも笑顔の南原清隆さんがちょっとだけ悲しそうな顔になりました（全て私の妄想です）

私「そんなこと言わないで！ナンチャン嫌いって言わないで！」
息子「なんちゃん嫌い！」

嫌いって！あなた『なんちゃん』全部飲み干しているのに！

この後、なんとか息子と一緒に買い物に出かけることができましたが、この出来事を相方の田辺さんに報告しました。

田辺さん「みたらし（息子のあだ名）はウッチャン派か…」

田辺さんはうまいことを言ってきました。

私「頭ではナンチャンが全く関係ないことはわかっているんだけど、『なんちゃん嫌い』って聞くと、なんかナンチャンに申し訳ない気分になるよ。そもそも『ナンチャン』じゃないし。『なっちゃん』だし」
田辺さん「でも南原さんならみたらしの暴言も許してくれると思うよ。お会いした時すごく優しい人だったよ」

そう言って、田辺さんは話始めました。

田辺さん「南原さんがMCの番組に出演した時さ、私、緊張し過ぎてMCの南原さんの席に座っちゃったの。でも南原さん笑って許してくれたよ」
私「いくら緊張しているからってMCの席に座る？MC席ってあきらかにMCの席じゃないの？」
田辺さん「本当だよ。私ヤバいよね」
私「南原さんって優しいね」
田辺さん「うん。だからナンチャンを嫌いにならないであげてほしいよ」

これを聞いて、南原清隆さんならきっと笑って許してくれると思いました。息子が『なっちゃん』と言えるようになったとき、私は多分、変わらず南原清隆さんを思い出します。

おわり

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