全国ツアー準備の思い出
2022年春。ぼる塾は初5大都市ツアーオードブルを開催することが決まりました。
福岡からスタートし、名古屋、札幌、大阪、東京と各地を回ります。こんな機会は滅多にないのでメンバー全員とても気合が入っています。
今回はその準備中の出来事を書こうと思います。それは、オープニングVTRの撮影をするためにはるちゃんと田辺さんのシェアハウスに行ったときのことです。
ディレクターさん「撮影のために少し荷物移動しても良いですか?」
Mくん「これってこっちに動かしても大丈夫ですか?」
はるちゃん「あ!ここら辺の全部私の部屋に持っていきます!」
撮影の協力をしてくれたディレクターさんと作家のMくん、そしてこの家の住人のはるちゃんがてきぱきと動く中、私は何かした方が良いと思いながらも何をして良いのかわからずゴリラのようにうろうろしていました。
あんりちゃん「酒寄さん、落ち着いてください。私と酒寄さんは住人でもないから勝手に物を触っちゃ悪いですし、どのような撮影になるのか絵面もわかっていないんだから、こういうときは邪魔にならないようにじっとしているのが一番です。言われたら動きましょう」
私「確かにそうだね」
田辺さん「そうね」
あんりちゃん「あんたは住人だろうが。手伝いなさいよ」
田辺さん「…そうね」
ソファーに沈み込んでいた田辺さんは何とか立ち上がり、荷物の大移動をしている三人を手伝おうと、先ほどの私と同じくゴリラのようにうろうろしていました。
田辺さん「あら、三人の動きが速すぎて入れないわ」
その後も田辺さんはただうろうろし、三人が作業する中、テーブルに置いてあったお茶を飲み始めました。
私「あ、お茶飲んでる」
田辺さん「せっかく動いたから何かしようと思って」
Mくん「じゃあ撮影に入りましょう!」
田辺さんがお茶を飲んでいるうちに全ての荷物の移動は完了していました。
ディレクターさん「じゃあ二組に別れて撮影しましょうか。はるちゃんと酒寄さん、あんりさんと田辺さん」
Mくん「先に桐谷さんと酒寄さんの撮影から始めましょう。すみません、あんりさんと田辺さん、荷物置いてるんで狭くなっちゃってるんですけど、そこで待っていてもらっても良いですか?」
あんりちゃん「大丈夫だよ。ツアーの漫才覚えるのに助かる」
田辺さん「ああ、覚えなきゃ…そうね…」
田辺さんはとても遠くを見ていました。(この撮影から数日後、(メモによると4月5日)田辺さんから『ネタ覚えられない。ヤバい。逃げたいって初めて思ってる。4月1日からやり直したい』と連絡がきて、何で焦ってるのにちゃんと新年度から始めようとするんだと思いました)
はるちゃんと私の場面を撮影していると、はるちゃんが
はるちゃん「ねーねー!酒寄さん!ちょっと聞いてくださいよ!」
と、これから漫才を始めるかのように話しかけてきました。
はるちゃん「この前びっくりしたことがあったんですよ!」
私「どうしたの?」
はるちゃん「楽屋で田辺さんが『あ~タバコ吸いたいな~』って言ってて!」
私「え、何それ!驚きなんだけど!田辺さんタバコ吸うの?!」
はるちゃん「ね!驚きでしょ!それで私が『田辺さんタバコ吸うんですか?!』って言ったら、田辺さんがね、
田辺さん『え?!私はお腹すいたな~って言ったのよ!!』
だって!私の聞き間違いだったんです!!あはははははは!!!!」
田辺さん「私もはるちゃんに言われてびっくりしたわ。タバコ?何それ?って!」
私「あ~びっくりした。田辺さん喫煙者になったのかと思った」
はるちゃん「私もびっくりでした~」
田辺さん「びっくりよね~」
私「びっくりだ」
あんりちゃん「あなたたちそんな些細なことにびっくりしすぎです。普段どんだけ穏やかな生活してるんですか」
はるちゃん「あ!酒寄さん見て!!びっくりなんですけど!!」
あんりちゃん「まだびっくりする気か」
はるちゃんが指をさした方向を見て、私は再び驚きました。
はるちゃん「田辺さんが寝転がって、あんりが立ってる!!」
はるちゃんと私の撮影を狭い場所で待っていた田辺さんとあんりちゃんだったのですが、田辺さんが真横になって、あんりちゃんが真っ直ぐ立っているのです。わかりやすく言うとテトリスの長い棒(ここぞというときくると嬉しいあいつ)の2パターンみたいなのです。
私「え、普通に座って待機している人がいない!」
はるちゃん「寝転がると立ってるって!!ちょっと!!田辺さん!!あんりは一応お客さんなんですから!!なんでお客さんが立っていて住人の田辺さんが寝転がっているんですか!!」
田辺さん「え~じゃあ、あんり寝転がる?」
あんりちゃん「寝転がるか立つかの二択なら私は立ってます」
田辺さん「じゃあ私引き続き寝転がるね」
はるちゃん「田辺さんが座ればあんりも座れるのに!」
ディレクターさん「はい!はるちゃんと酒寄さんオッケーです!」
Mくん「あんりさんと田辺さんの撮影をする前に準備するので少々お待ちください!」
田辺さん「あら、やだ!私みなさんにまだお茶もお出ししてないじゃない!」
田辺さんは先ほどまで寝転がっていた人とは思えない程俊敏な動きを見せてそれぞれに飲み物の注文を聞き始めました。
田辺さん「ルイボスティーか玄米茶か白湯も出せるけどどうする?」
田辺さんはお洒落な美容院のパーマの待ち時間みたいな飲み物を薦めてくれました。
私「じゃあ、ルイボスティーで」
田辺さん「ホットにします?アイス?」
私「じゃあホットで」
田辺さん「じゃあ準備するわね」
田辺さんはそう言ってコップにルイボスティーのバックを入れてウォーターサーバーのお湯を淹れようとしました。
私「あ、私自分でやるよ」
田辺さん「ばかっ!!これは危ないのっ!!熱いよっ!!」
田辺さんは何故か熱いものを触ることに関してだけ私の事を幼稚園児扱いし、やらせてくれません。以前も電子レンジで加熱した冷凍食品の汁なし担々麺の皿を手伝って持とうとして、
田辺さん『いやこの皿熱いから!』
私『大丈夫!大丈夫!』
田辺さん『だから熱いって言ってるでしょー!!』
と、怒鳴られたことがあります。(詳しくは「ぼる塾会議」というタイトルで書いてます)
あんりちゃんと田辺さんの撮影も順調に進み(途中あんりちゃんがはるちゃんに中指を立てていたような気もしますが)、最後は四人が集合するシーンを撮影するのみになりました。
しかし、ここで問題が起きました。
あんりちゃん「田辺さんがテーブルの下で手を触ってきた」
田辺さんがテーブルの下であんりちゃんの手を触るという悪さをしたのです。
私「田辺さん、テーブルの下は駄目だよ」
田辺さん「ちょっとあたっちゃっただけよ」
あんりちゃん「いや、あたったって感じじゃありませんでした。わざとです」
田辺さん「わざとじゃないわよ!」
あんりちゃん「あー…ごめんなさい…ちょっと…すいません。このまま笑顔で撮影はできません」
田辺さん「…何よ。言わせてもらうけどね。あんりから誘ってきたのよ」
あんりちゃん「私がいつ誘ったんですか?」
田辺さん「あんりのほうから誘ってきたのよ。この前ね、家に美味しい梅ソーダがあるから来ませんか?って何度も誘ってきた。梅ソーダだよ。何度も。これは勘違いするよ」
あんりちゃん「私、梅ソーダは一回しか誘ってません」
田辺さん「あら一回しか言ってなかった?愉快だね」
はるちゃん「ちょっと田辺さん!!」
田辺さん「何よ」
はるちゃん「ずるい!私にはしてくれないのに!私にもやってよ!!」
私「羨ましいんかい」
Mくん「はーい!みなさんミニコントは満足しましたか?」
あんりちゃん「満足しました。すみません。撮影始めてください」
田辺さん「さあ、始めましょ」
あんりちゃん「でも田辺さんがテーブルの下で手を触ってきたのは本当に嫌です」
田辺さん「わざとじゃないのよ!!」
はるちゃん「田辺さんはスケベさん!」
これ以降、田辺さんはあんりちゃんにこれ以上嫌われたくなかったのかスケベさんに変身することもなくスムーズに全ての撮影が終わりました。
田辺さん「お疲れ様でした!良かったらケーキがありますよ~!」
撮影終了後、田辺さんがりくろーおじさんのチーズケーキを出してくれました。ディレクターさんが「初りくろーおじさんです」と言ったら、田辺さんは
田辺さん「それ…消えますよ」
って魔球みたいに紹介してました。
おわり
***
※ぼる塾の日常が一冊の本になりました!「酒寄さんのぼる塾日記」全国で発売中です。オープニング撮影の日、田辺さんは最後の後片付けを誰よりも頑張っていて、私は(ずっと寝転がっていたのはこの為だったんだ。三年寝太郎みたいだな)って思いました。そんな素敵な田辺さんに詳しくなれる田辺クイズなども収録された愉快な本です。詳しくは↓
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