夏の前日みたいな日
※何を話したらいいのか考えてしまう人に捧げます
空き時間にぼる塾四人で台湾スイーツのお店に行ったときのことです。カウンターで先に注文するタイプのお店だったのですが、私は初めてのお店に悩んでしまい一人遅れて注文しました。
田辺さん「酒寄さん、何にしたの?」
あんりちゃん、はるちゃん、田辺さんが待っている席に戻ると、早速田辺さんの注文チェックが入りました。
私「沢山メニューがあって迷っちゃった」
田辺さん「はっ!!あんたっ!!」
私のレシートを見て、田辺さんが息をのみました。
私「え、この注文まずかった?」
田辺さん「あんたよく初手で白桃烏龍茶見つけたね!!お目が高いよ!!」
私「あ、良かったんだ」
田辺さん「良いチョイスだよ。え、やだ、無糖にしたの?!」
私「甘い方が良かった?」
田辺さん「私は常々白桃烏龍茶は甘くないほうが美味しいと思っていたのよ!!あんたすごいよ!!もう教えることは何もないよ!!卒業!!」
私は知らない間にどこかに入学していたらしく、この瞬間、私の最終学歴は入学した覚えのない何かになりました。
はるちゃん「私はレモンソーダ―のタピオカです!」
あんりちゃん「私はスムージーにしました」
田辺さん「みんな良いチョイスだよ」
私「田辺さんの美味しそうだね」
田辺さんは飲み物ではなく台湾スイーツを頼んでいました。
田辺さん「これは豆花だよ!!美味しいよ!!」
私「聞いたことある!!台湾で有名なスイーツよね?」
田辺さん「そう!ここの美味しいよ!!色んなトッピングが入ってるの!!ナタデココとかも入っているよ!!」
私「ナタデココ!」
私はナタデココについてずっと考えていることがあります。
田辺さん「そう。ナタデココ」
私はこの三人なら打ち明けても大丈夫な気がしたので、話すことにしました。
私「ねえ、ナタデココだと思って食べたら寒天だったときってなんかがっかりしない?」
あんりちゃん「わかります」
田辺さん「わかるわ」
はるちゃん「あはは」
あんりちゃんは「私が思うに」と、わざわざ座り直して自分の考えを語りだしてくれました。
あんりちゃん「恐らくナタデココの食感を期待しているからあれ?ってなるんですよね。あのナタデココにしかない歯ごたえ」
私「寒天はスッとしてるからね」
あんりちゃん「寒天も嫌いなわけじゃないんですよ。寒天も美味しいけど、あの食感がくると思ってるんですよ。こっちは」
私「そう。ナタデココだと思ってるから脳が驚くんだよね」
あんりちゃん「でも、逆に寒天だと思って食べたらナタデココだったときってなんか嬉しくないですか?」
私「わかる!!」
あんりちゃん「別に寒天が嫌いなわけじゃないんですよ。寒天も美味しいんですよ。寒天だと思って食べたら寒天だったらときも嬉しいですし」
私「わかるよ。寒天よりナタデココのほうが好き!って思ってるわけでもないんだよね」
あんりちゃん「そうなんです!!寒天よりナタデココのほうが好き!ってわけじゃないんですよ。
寒天だと思って食べたらナタデココだったときってなんか嬉しい!!ってだけなんです。
何なんでしょうね?寒天は寒天でとても好きです」
あんりちゃんは私たちの近くで寒天がお茶しているのではないかって思うくらい寒天に配慮して会話をしていました。私はあんりちゃんのこの気づかいや考え方を聞いて、
私(あんりちゃんにならあの話も伝わるかもしれない)
そう思い、私がずっと一人で悩んでいたことを打ち明けることにしました。
私「あのさ、みんなに聞きたいことがあるんだけど」
あんりちゃん「なんでしょう?」
私「スーパーとかでさ、茶色い殻の卵と白い殻の卵、同じ値段で売られていたらどっち買う?」
あんりちゃん「うわー!!めっちゃ良い質問!!悩む~!!」
田辺さん「わ~悩むね」
はるちゃん「あはは」
あんりちゃん「うーん・・・ちょっと待ってください。考えさせてください」
私はいくらでも待つよと思いました。
あんりちゃん「・・・私は茶色買いますかね。なんとなく茶色のほうが美味しい気がして」
田辺さん「私もね、茶色にするよ。なんとなくなくだけどね。美味しいと思うの!!なんとなくだけどね!!何かさ!茶色のほうがさ!!美味しそうに見えない?なんとなくだけど!!栄養価も高そう!!なんとなくだけど!!」
あんりちゃん「田辺さん、力強く言ってるけど茶色を選ぶ理由は私と同じでなんとなくってことですね」
田辺さん「そうね!なんとなく!」
はるちゃん「卵の殻の色って生む鶏の種類で決まるんですね」
田辺さんがなんとなくを連発している間にはるちゃんがスマホで調べてくれていました。
はるちゃん「卵の殻の色って鶏の気分で変わるんだと思ってた」
あんりちゃん「だとしたら鶏の気分って二つしかないじゃん」
はるちゃん「そうなるね!!白か茶色!」
私「茶色い気分って何か嫌だね」
あんりちゃん「茶色のほうが鶏の気分悪そうですよね」
田辺さん「ねえ、私思い出したよ!」
田辺さんは何かを思い出したようでした。
田辺さん「私がまだ実家に住んでいたときにさ、近所に美味しい卵屋さんがあったの。うちはよくそこで卵を買っていたんだけど、そこの卵は茶色の卵だったわ」
私「だから田辺さんは茶色い卵選ぶようになったの?」
田辺さん「いや、それは関係ない。なんとなくよ!!」
じゃあ何故この話を突然始めたんだと思いました。
はるちゃん「ねえ!!みなさん今年の夏はどうしますか~!!」
はるちゃんは漫才の始まりのように話題を変えてきました。
はるちゃん「私?私は~みんなと流しそうめんがしたいで~す!!みたらしちゃん(私の息子です)も一緒に!!」
あんりちゃん「あ、良いね」
田辺さん「ナイスアイデアだよ」
はるちゃん「じゃあ、あんり、そうめん流す竹割ってよ」
あんりちゃん「何で私が割らなきゃいけないのよ!!」
はるちゃん「え~!やりたいって言ったじゃん!!」
あんりちゃん「あんたが言い出しっぺなんだからあんたが割りなよ!」
はるちゃん「じゃあ田辺さん割ってくれませんか?」
田辺さん「嫌よ!!私にとっての流しそうめんは全て準備が整っていて、私はそこでそうめんを食べるだけの状態を言うのよ!!」
はるちゃん「じゃあ、竹は諦めます!あ、おもちゃの流しそうめんの機械あるじゃないですか!あれでやりましょう!!」
あんりちゃん「はるちゃんも竹は割りたくないんだね。あんた竹割りたがりそうなのに」
私もはるちゃんは竹を割りたがると思っていました。
田辺さん「でもさ、あのおもちゃの機械だとみたらしちゃんが『流しそうめんのお風呂だ!』って自分もおてて洗っちゃいそうじゃない?」
あんりちゃん「田辺さんも手を洗いそうですしね」
田辺さん「そうね!
…え?私は洗わないわよ!!何で私も洗うのよ!!」
あんりちゃん「何で一回納得したんだよ」
田辺さん「私は人の話を聞いてないからよ!」
あんりちゃん「聞けよ」
その後、田辺さんが『人助けをしにくいのは東京のせいだ」と、突然東京の悪口を言い始めました。
はるちゃん「あ!そろそろ次の仕事の時間です!出ましょうか」
あんりちゃん「あ、もうそんな時間か」
私たちは立ち上がって食器を片づけました。田辺さんが立ち上がるとき、「今日は真面目な話(東京の悪口?)をしちゃったね」とはるちゃんに言っているのが聞こえました。
私「ここのお茶美味しかった!こんな場所にお店あるの知らなかったよ」
私は白桃烏龍茶がとても美味しかったので店の前で改めて言いました。
あんりちゃん「美味しいですよね。私たちも田辺さんに教えてもらったんです」
田辺さん「良いでしょ!台湾の美味しいスイーツにお茶!豆花ぜひ今度食べて欲しいわ!!ごはん系も食べられるよ!!」
私「うん!またここ来る!台湾のごはん気になる!」
田辺さん「台湾のごはんとっても美味しいわよ!!超好き!!
ねえ、いつかみたらしちゃんも一緒にみんなでハワイ行きたいね!!」
いや、そこ台湾じゃないんかいって思いました。
おわり
***
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