私は何をしても良い
某月某日
ブートジョロキアという文字を見て、ビリーズブートキャンプを思い出す。ブートしか同じじゃないのに。
某月某日
激辛料理を食べる。しかし、事前準備が甘かったため、食後に腹痛で転げまわる。恐らく、お腹を守るために事前に摂取する乳製品を低脂肪のヨーグルトドリンクにしたためだと思われる。夫に「何故そこでカロリーを気にした」と言われ、その通りだと思った。
某月某日
風船が膨らまなくて自己肯定感が下がる。やっと膨らんだ風船の端を中々結ぶことができず、どんどん空気が抜けていってさらに自己肯定感が下がる。
某月某日
歯医者でのおじいさん同士の会話。
A「いや~、今日早い時間に電話して悪かったな」
B「良いよ。起きてたから」
A「後からあれ?もしかして迷惑だったんじゃって気づいてさ」
B「オレ朝早いから問題ないよ」
A「最近、暇でしょうがないんだよな~。それでさ、昼間寝ちゃうんだよ」
B「ああ」
A「昼間寝ちゃうからさ、夜寝ても深夜2時くらいに起きちゃうんだよな」
B「ああ」
A「昼間寝ちゃうから、疲れてないんだろうね。それでさ、そっから寝れないんだよ」
B「ああ」
A「朝がなかなかこないんだよ。夜って長いんだよな。若い頃は寝てりゃ、一瞬だったのに」
B「オレもそうだよ。2時頃目が覚めてそっから寝られないの。朝、遠いよな」
A「本当か?寝れないのは嫌だけど、お前も起きてると思うとなんかちょっと嬉しいな」
B「そりゃ良かった。オレ達同じ人生を歩んでるんだな~」
見ず知らずのおじいさん二人のやり取りを聞いて、なんか良いなと思う。このとき私は担当医師の「オレの手がでかすぎて口にうまく入らない」という、こちらではどうしようもない理由で治療の時間が大幅にのびていた。
別の医師「大丈夫大丈夫、落ちついてゆっくりで良いよ。時間はいくらだってあるんだから」
担当医師「そうだよな。ありがとう」
私(私の時間は?)
結局私は次の予定に、「ごめん!歯医者の手がでかすぎて遅刻する!」と、謎の連絡をいれて遅刻した。
某月某日
夫が息子に「ほら、ママが好きなやつだよ~」と言っていたので、テレビでカレー特集でもやっているのかと思って見に行くと、ゲームで遠距離攻撃技を使っていた。私の攻撃スタイルに接近はない。
某月某日
駐輪場で苦戦する。細い隙間にタイヤを入れるのが本当に苦手だ。やっと入ったと思ったらずり落ちて自転車が倒れた。その瞬間、私の中のピッコロさんが飛び出してきて、「酒寄希望をなめるなよ…‼」と声に出してしまった。誰もいなくて良かった。
某月某日
何度読んでも重要書類の内容が理解できず困る。隣に座っていたTさんに、「私があほなだけかもしれないが、明朝体は読解力の難易度をあげていないか?」と相談すると、
Tさん「あんたはあほじゃないよっ!私もそう思ってた!明朝体は頭に入ってこないっ!!」
Tさんと重要書類ほど【けいふぉんと!】で作成してほしいと言い合う。
某月某日
息子のお友達が赤い折り紙を「折って!」と持ってくる。「何を作る?」と大人が聞くと、「青い星空!」と言っていた。不可能なものは美しいことが多いなと思った。
某月某日
歯医者のパソコンがホーム画面になっていて、『温泉旅行』という名前のショートカットアイコンを発見した。何故か弱みを握った気持ちになった。
某月某日
恩師から手紙が来る。私が自分の本を送ったことに対するお礼の手紙だった。勝手に送り付けてしまったので手紙がもらえるとは思わず、とても嬉しかった。最後に添えられた「今でも僕のことを忘れないでいてくれてありがとう」の一言に心臓が握りつぶされそうになった。忘れるわけがない。
「君は何をしても良いんだよ」
忘れるどころか今も一日一度は思い出していると知ったら、恩師はどう思うだろうか。
某月某日
息子と一緒に布団に入る。息子が「今日はとても楽しかった!楽しすぎて一回寝ないと終われないね!」と言ってきた。そんな素敵な一日をちゃんと終わらせようとしてえらいなと思った。
某月某日
君は何をしても良いんだよ、
私は何をしても良い
今日は何をしようかな
終わり
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