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タイガー立石『昭和素敵大敵』の中の古賀春江『海』

(承前)古賀春江の有名な絵と言うのは、「海」と言うタブローで1929年つまり昭和3年に描かれた(写真1)。この作品は日本美術史の上では日本最初のシュールレアリズム作品だと言うのだが、どうだろうか?ボクには昭和初期の風俗を踏まえたモダニズム作品にしか見えない。研究者によってタブローの中にコラージュされた帆船、飛行船ツェッペリン号、ドイツの潜水艦などの元ネタが明らかにされている。いわばコラージュで構成されたこの「海」と言うタブローはモダーンな作品にしか見えない。タイガー立石によって美空ひばりにすり替えられた水着姿の女性は元祖ハリウッド女優と言われたグロリア・スワンソン。ネタになったブロマイド写真がある(写真6)。
タイガー立石も言わば元ネタのあるコラージュ作風だ。だが、誰もタイガー立石をシュールレアリストとは呼ばないだろう。それにタイガー立石の真骨頂はその風刺、つまりカリカチュアだ。そして、ここには日本のシュールレアリストと呼ばれるべき人物の作品がコラージュされている。原子力潜水艦ノーチラス号に差し替えられたその下に「窓越しのキッス」(写真5。 映画『また逢う日まで』今井正監督岡田英次・久我美子主演1950年/昭和25年)の下に描かれた後ろ姿の人物画である。これは北脇昇の『クオ・ヴァディス』(「(主よ)何処へ行き給うぞ」と言うペテロの問いである)と言う作品で後ろ姿は北脇昇ではないかと言われている(写真4)。日本のシュールレアリスト北脇昇については、別の機会に書こう。

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