2023関東フットサルリーグ2部第2節 マッチレビュー

さて、関東フットサルリーグ2部も第2節が終了しました。これで全チーム、1試合は終えたことになりましたが、今季の各チームの完成度はかなり高めでした。昇格はもちろんですが、関東フットサル全体のコンペティションで最も恐ろしいと言われる、関東入替戦にまわってしまうチームも読めないところ。
今後の展開に期待です。

ペスカドーラ町田アスピランチ vs. アズヴェール藤沢
結果:4-3 アスピランチの勝ち

まず、私が延々言っていることなのですが、今季のアスピランチはメンバーがきちんと揃っていて本当に良かったです。マジで関係ない身分ではあるのですが、やっぱりベンチに14人いないとちょっとドキドキしてしまうところはあったものですから、安心しました。
さて、そんなアスピランチですが、3-1とマンツーマンの守備を軸に、かなりソリッドなフットサルをしていました。前からですが、アスピランチはフットサルの定石を押さえつつ、個性を瞬間瞬間に見出すことに長けている印象です。この試合でも、バランスを保ちながらサイドからのピヴォ当てで攻めるのが軸ではあるのですが、突然低い位置から個人技で数的優位を形成して擬似カウンターをするなど、瞬間瞬間に見せる定石外の攻めにかなり破壊力がありました。加えて、ゴレイロとの1対1で3点。この決定力は凄まじかったです。
一方のアズヴェールもチャンスはかなり作っていました。特に、アスピランチの個々の距離が遠くなった瞬間やピヴォ当ての前カットで上手く入れ替わり、綺麗な3人のトランジションは多かったです。ただ、最後の決定力を少し欠いてしまいましたね。前半の決定機をいくつか決められていたら、といった試合でした。

<個人的MIP>
アスピランチ#16 今井柚希選手
全体的な個々の練度の高かったアスピランチでしたが、その中でも個人的に存在感抜群の選手でした。
まず、1v1で目の前の相手を剥がせる。次に、前プレでも相手の様子を見てプレスの速度や角度を変えられる。加えて2点目では、素晴らしいゴレイロとの1対1の精度でした。あと、個人的に名前がツボすぎたので、今回はめちゃくちゃ印象に残りました。

BRB vs. FCmm
結果:6-2 BRBの勝ち

いやー、残念です。負けちゃいました。
まず試合の開幕、セットプレー2発でBRBが2点先行。前節からそうですが、BRBのセットプレーはかなり強力で、4失点目もセットプレーでした。全体の構造自体はシンプルなのですが、キッカーとシューターの関係がとにかくいいですね。長くやってる選手同士、息ぴったり、相性ばっちりです。
ただ、mmもチームの完成度自体は悪くなかったと思います。監督は今季が初年度なのですが、割とちゃんとチームの方向性が定まっていて、やりたいことは明確でした。
そして、全く脈絡のないフリーキックからスーパーゴールから生まれて一点返すと、そこからはmmペース。前半終わりから後半頭まではマーク交換を織り交ぜたプレスからの回収とロングボールからの二次回収が火を吹き、セットプレーから同点弾。ここまではよかったですね。
ただ、BRBが素晴らしかったのはここから。織り込み済みです、といったように動揺なく対応していると、押せ押せのmmの力をいなすように突っ込んできた選手と上手く入れ替わり、数的優位。最後はゴレイロとの1v1を沈めて3-2とします。そしてその直後、セットプレーから追加点。mmが勝つチャンスを掴み損ねたのは勿論あるのですが、それよりも機をうかがってきっちり落とし所で決め切ったのが流石でした。こういう勝ち方ができるチームは優勝争いにも絡んでくるでしょうね。素晴らしかったです。

<個人的MIP>
BRB#77 石川直輝選手
mmの後半頭までの数ある決定機の多くをドシャットしたゴレイロです。ゴレイロに負けた、と言いたいわけではないですが(そう捉えられたとしてもそれくらいの負け惜しみはさせてください笑)、流石にめちゃくちゃセーブよかったですね。勿論BRBの他の選手がきっちり選択肢を絞っている中ではあるんですが、それでも抜群の安定感。高め、低め、1対1に至るまで、どんなシュートも完璧に止められちゃいました。
試合の流れを手繰り寄せるゴレイロ、という形で、素晴らしかったです。

ロンドリーナ vs. AOH
結果:9-2 ロンドリーナの勝ち

ロンドリーナの若さパワー、炸裂!
といった試合でした。前半3-0で折り返してるのですが、溢れた玉に対する反応がとにかくめちゃくちゃ早かったです。AOHも上手く相手の攻撃を止めてはいたのですが、二次攻撃にちょっと反応できてませんでしたね。とは言え、ここは社会人チームの辛いところで、このクソ暑い中、前日まで仕事の者たちは基本土曜の昼間にこういうリアクションゲームをそうそうものにはできないのです。こういう展開を下部組織相手にしちゃうと、どうしても苦しいですね。
試合は後半に入ってもロンドリーナの勢いが落ちず、最後は大量得点。AOHもチャンスはあったのですが、やはり攻めが流れに乗ると守りも流れに乗るもので、上手く止められちゃいました。

<個人的MIP>
ロンドリーナ#8 畠山晋太郎選手
前の試合からですが、今季のロンドリーナを象徴する選手になりそうな予感がします。基本今季のロンドリーナはピヴォが強力で、この試合も他のピヴォが決めてますが、全体的なバランスではこちらの選手が私は好きです。背負ってはもちろん収まりますし、前を向いてプレーしてもタッチの感度が良くて、するする周りを活かせるタイプ。シュートもいいものあります。
下部組織って感じで、ちゃんとフットサル習ってることは容易にわかりました。

クエルボ埼玉 vs. 栃木シティ
結果:4-2 クエルボの勝ち

「先制点を取った方が勝つ」予想が当たってよかったです笑。町田がどうなるかというのはありますが、後の試合が引き分けだったため、クエルボさんが開幕唯一の2連勝となりました。今季の関東2部はかなり混沌としてきそうですね。
内容は、「社会人チームとFリーグ下部がやりあった場合に社会人チームが勝つパターン」の代表例でした。クエルボさん、とにかく「ボールを守る」のがめちゃくちゃ上手いんですよ。例えばドリブルするにしても、抜くのが上手い!って選手ばかりじゃありません。でも、メッシみたいな細かいタッチでボールを運ばれて距離が詰めきれず、抜かれないように下がってるだけで20メートルドリブルで運ばれたりします。また、囲まれても上手く体を当てて相手ボールで出したり、と、とにかく相手ボールにしないことに全員が長けてますね。
一方の栃木シティですが、やはり手数の多さは下部組織。クエルボさんのプレスはそれなりに効いてたのですが、途中からゴレイロを使った回避を絡めると、基準点がなくなり栃木シティペースに。手数が多いと、うまくいかない時の解決策が増えるのでそこがやっぱりいいですね。後半に入ってやる回数が減ったのですが、もう少しゴレイロ回避で引っ張ってみても良かったのかもしれません。

<個人的MIP>
クエルボ埼玉#10 宮田大和選手
ドリブルが上手い!
先ほども言った通り、基本ボールを運ぶのが上手なクエルボさんですが、この選手は突破もキレがありました。クエルボさん、FFC東川口という埼玉の会場で練習されてると思うのですが、ここがまた狭いんですよ。20×40には程遠いですから、突破のドリブルってすごい練習しにくいはずなんですけど、感覚がめちゃくちゃいいんでしょうね。カットインのシュートをゴレイロ前でそらすワンタッチゴールもありましたが、おしゃれな社会人感がありました。

フェニックス横浜 vs. 情熱ロンリネス
結果:3-3 引き分け

めちゃくちゃいい試合でした。
フェニックスは引き出しの多さとタレントを活かして、3-1、4-0を織り交ぜつつ情熱ゴールに迫ります。一方の情熱はホームの声援と雰囲気を受けながら、硬さと個体の重さをぶつけて、フェニックスの攻撃をねじ切りながら逆にゴールにゴリゴリ向かっていました。内容的にも濃くて、これは速くもベストマッチ賞候補ですね。
特に、これだけ内容的に見応えがありながら、得点自体は完璧に崩したというものよりも、どちらかというと守備側の不用意なミスからだった、というのも面白いところでした。例えば、情熱3点目はフリーキックで完璧に崩したものだったんですが、それはロングボールに対してゴレイロがペナ外でキャッチしちゃう、というあまり見ない「ミス」からのものです。一方のフェニックスの2点目とかも、マンツーマンだった情熱が局所的にここぞでマークをずらしてしまってからのもの。その他の得点も、一見すると守備側の過失や怠慢に見えるものがほとんどでした。
ただ、これはですね、攻撃側を褒めるべきだと思うんですよ。フットサルの面白いところは、大体のタスクが「絶妙に」人間の処理範囲を超えてるところだと思うんです。サッカーくらい広くて人も多くて不確実なのが明白だと、もう割り切っていける部分も多いんですが、フットサルって頑張れば確実性を担保できることが論理的にはわかりつつも、どこかで抜けや隙が出ちゃう、みたいな要素があると思うんですよね。大抵はそれが表面化せず、結果オーライみたいになって終わるんですが、この試合は両チームがその抜けや隙を刺しあう、的確に突いたからこそのこれなわけで、「そういうのは見逃しませんよ」という技術を持ったり準備をしていた両チームを称えるべきでしょう。
優勝争いをする可能性は割と高い両チームの対戦、もう少し後で見たかった気持ちもありますが、この引き分けで今後の争いはより複雑になりそうです。

<個人的MIP>
情熱#17 田所大樹選手
2-2で迎えた終盤、情熱の3点目のフリーキックをぶち込んだ情熱の主将です。今日び意外と見ないトリックプレーでしたが、ああいうの決まるの監督的にも嬉しいですよね、完璧でした。
ただ、それ以上に気になったのは得点後。スタンドにパフォーマンスをしに走っていったのですが、勢い余ってスタンド側のタイマーにダイブ。タイマーに貼られていた両チームのチーム名カードを引っぺがすという行動に出ています。これはタイマーを破壊してそのまま試合を終えようという狙いがあったのかもしれませんが、仮にこのチーム名カードが逆に張り直されてしまった場合、フェニックスが3-2となっていた可能性もあったため、かなり怪しい作戦だったと思います。
冗談はさておき、私はいい選手を見るのは勿論好きですが、それ以上にこういう珍事を巻き起こしてくださる方はとても素敵だと思います。熱量があってこそですしね。MIPとわざわざしているのもこういう場面が好きで取り上げたいというのもあるので、今後もよろしくお願いします。


今回は以上となります!
次節はもう週末、7/9(土)ですね。場所はエコーピア埼玉ということで、また近々展望は書きます!
それでは!

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