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思い出のMR.作務衣

アキスケさんがnoteで“甚平と作務衣”について書かれていらっしゃいました。甚平さんは、子供の頃にパジャマとして着ていたなぁと思いつつ、作務衣については昔、街にいらした男性を思い出しました。

その御方、当時5,60代の少々小柄な方で、足もとは足袋と雪駄(?) 、帽子を被っていらっしゃいました。作務衣は大きすぎず、小さすぎずのよい塩梅の着方をされていたので素敵だったのだと思います。

ある日、関西方面に向かう高速バスで隣の席になったことがありました。その時も勿論作務衣をおめしでした。普段街でお見掛けしており、素敵な雰囲気をお持ちの方だなぁと思っていたのでちょっと得した気分でした。

高速バス、2時間程走るとPAで機材点検?という名のトイレ休憩があります。バスに戻って席に座っていると、その御方が席に帰ってこられました。片手に持たれた袋の中から徐に飲み物を取り出し、私に対して「良かったらどうぞ」と。

躊躇っていると「いやね、私はこれを飲みたいのだけれど、ひとりで飲むのはね、申し訳なくて…」と袋のなかにある酒類を見せてくださいました。以前は、酒類もPAで販売されていたのですよ。

「お付き合いいただけると、ね」と、ニコッと笑われると断りにくく、飲み物とお菓子をご馳走になりました。発車後も特にお話をするわけでもなかったのですが、到着までの間ほっこりとした時間を過ごすことができました。

到着後、バスから降りる際も「お付き合いいただきありがとうございました。関西で素敵な時間をお過ごしくださいね」と、帽子を胸にあてられたあとサッっと去られたのです。

直後に出会った友人にこの出来事を話すと「遊び人w」と言ったことまでがワンセットの思い出なのですが、遊び人かどうかはともかくとして、バスという狭い区間をご自分や私を含めた廻りの人が過ごしやすい空間に変えてくださったことは確かなのです。

コミュニケーション能力に長けていらっしゃるのか、空間や時間の使い方がとてもお上手な方なのか…MR.遊び人否MR.作務衣は、その後も街の喫茶店でよくお見掛けしたのでした。

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