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【サンライン】高比重PE「ALMIGHT(オールマイト)」が切り拓くPEラインの未来。#94

2023年春、サンラインから「ALMIGHT(オールマイト)」というPEラインが発売されました。

今回はこの「オールマイト」についてご紹介していきたいと思います。

よろしくお願いします。

▼高比重?シンキング?普通のPEと何が違う?▼

ソルトルアー、船釣りではもはやそれ無しでは釣りが成立しない程に。
フカセ釣り、バス、トラウトといった釣りでも新たなる選択肢として確実に立ち位置を築き始めているPEライン。

ナイロン、フロロ、エステルといったモノフィラメントラインとは明確に異なるラインとして登場し、今ではすっかり馴染みあるラインになりました。

上記のモノフィラメントラインとの違いは様々ですが同じ素材のラインでありながら「組数」や素材の組み合わせによって「比重」が変わり、使用感にも違いが生まれるのはPEラインならではの特徴です。

今回発売されたオールマイトをPEラインの中で分類するのであれば「4本組の高比重PEライン」となります。

高比重PEラインとはいっても基本的な素材はPEなので糸としては4本組のPEラインに近い特徴を持っています。

大きな違いは「比重」と「強力値」です。
特に大きなのは「比重」、強力値については年々その差が縮まり実釣でもそこまでの差を感じないので個人的にはあまり気にしていません。

そんな比重ですがサンラインのPEを見ると「低比重」「中比重」「高比重」の3分類に分けられます。

中比重PEと高比重PEの境目は明確ではありませんが、過去に使用した製品の使用感を元にここでは「1.00~1.25」を中比重、「1.25~1.48」を高比重と分類します。

まず低比重PEの代表的な製品。

オールジャンル向けスタンダードモデルとして発売されている「シグロンPE」を始めとした大半のPEラインはこの低比重に当てはまります。

低比重PEラインの比重は「0.97

この比重というのは水に対しての比重なので1より小さいと水に浮くということになります。

続いて中比重PEに当てはまる製品。

サンラインのラインナップだとソルトルアー向けの製品として発売されている「キャストアウェイPE」がこれに当てはまります。

比重は「1.05」、通常のPEより高い比重で1を上回るため水中でも浮く事はなく沈んでいきます。

とは言え1に近い比重なのでかなりのスローシンキングといったところでしょうか。

キャストアウェイPEについてはシンキングPEの中でも特に珍しい構造をしているのでそういった意味でも特殊な製品だと捉えています。
(あくまでも構造が特殊であって、使用感は普通に良いです)

ブルーがPEライン、グレーがエステル

基本的にシンキングPEは芯鞘タイプor中芯タイプで、ラインの中央に高比重繊維が位置しているような構造です。

「キャストアウェイPE」はPE4本エステル4本を組んだ構造で各素材の比率を図に表すと上記画像のようになります。

図を見てもエステルの割合は微々たるもので実際の使用感としては限りなく4本組に近い使用感になることが分かるかと思います。
(この辺は上の説明が変に伝わり8本組のような扱いを受けていることがありますのでご注意を)

この辺の構造と質感の違いは現場で使用するか噛めば分かります。
#噛めばわかる

中比重PEの話で脱線してしまいましたがこれらを踏まえて本題へと移ります。

▼オールマイトの特徴と出しどころ▼

それでは今回の本題「高比重PE」です。

それに当てはまるのが先日新発売となった「オールマイト」です。

「オールマイト」の比重は「1.48
先ほどの目安として高比重は「1.25~1.48」としましたがこの範囲の中でも比重が高い部類であることが分かります。

構造は「キャストアウェイPE」とは違い一般的な芯鞘構造。

大半の高比重PEはこの構造

実際に発売されている高比重PEと比べても現時点で発売されている高比重PEの中では最も比重の高い製品かと思います。
(だから高比重の目安の上限を1.48で表現しました。)

こちらの動画を見ても分かるように水面に浮かべるだけでは表面張力の製で浮いてしまいますが一度水中に沈ませるとそこそこの速度で沈んでいきます。

中比重PEはもっとゆっくり沈んでいくのでそれと比べると比重1.48を謳うだけのことはあるといった沈み具合に感じます。

ナイロンラインの比重が1.14、エステルラインの比重が1.38、フロロカーボンラインの比重が1.78なのでこれはナイロン・エステルを上回る比重となります。

先ほどから言うように一番の特徴である「比重」ですが、比重の違いが与える影響として一番分かりやすいのは「飛距離」です。

メインラインがPEラインの釣りしかしたことのない人は想像しにくいかと思いますがバサーならこれは直ぐに分かるはず。

最も比重の高いフロロは最も飛距離が出にくいラインであり、比重の軽いナイロン・PEはフロロに比べて明らかに飛距離が出やすいラインです。
(特に低比重のPEは糸径の細さも相まって飛距離が伸びます)

ちなみに先ほどから特長ではなく「特徴」を使っているのにはちゃんと理由があって、低比重PEに対して高比重PEは「比重の高さが影響して飛距離が落ちるという」ことと「直線強力が若干低い」というデメリットがあるから。

しかし、これはあくまでも「低比重PEと高比重PEを比べた場合

当然フロロカーボンに比べれば比重は低く、同lbで見れば糸径が細くなるので飛距離は伸びます。
直線強力についても同号数であればモノフィラメントライン(ナイロン・フロロ・エステル)の数倍強いです。

ホームページに記載している情報を見れば一目瞭然ですがその他の基本情報としては下記の通り。

【展開号数】
0.4号、0.6号、0.8号、1号、1.2号、1.5号
【巻量】
150m
【ラインカラー】
オリーブ、ピンク

展開号数一覧(パケ画像)
オリーブは約150㎝の間違いですね…

巻量と展開号数から見ると分かるかと思いますが基本的にライトルアーキャスティング系の釣りを全般カバーするPEラインとなります。

ジャンル名で言うと「バス」「トラウト(エリア&ネイティブ)」「シーバス」「チニング」「エギング」「メバリング」「アジング」といったところ。
当然号数にもよりますが使用ルアーのウエイト幅としては「1g~50g」あたりですかね。

実釣下で感じるメリットは下記の通り。

◆低比重PEに比べ、風や流れがあってもライン操作が容易で操作感に優れること

◆ラインが沈むのでルアーまでの軌道が直線になりやすく、ソフトルアー・リグを沈めて誘い続けるような釣りでも操作感が保てる

◆フロロ、ナイロンに比べ号数を下げても高い直線強力を保てる

◆低比重PEに比べ、モノフィラメント感が強まりガイド絡みが減る

実際、低比重PEの飛距離を前提にして釣りが成立するというシーンや糸質にハリ・コシが無く柔らかいから誘いが成立するというシーンはそう多くありません。

むしろ上記のようなジャンルでは軽いルアーを遠くに飛ばせば飛ばす程、ラインメンディングは難しくなり、失われる操作感はデメリットにすらなるでしょう。

言葉だけで伝えるのも難しいですが「ちょうどいい塩梅」の使用感に仕上がっているのがオールマイトです。

ちなみに号数規格内に収めるために高比重PEは芯の高比重繊維分、PEは細い原糸を使うことになります。
少しでも耐摩耗性だったりを含めた耐久値を高めるため一本ごとの繊維が太い原糸を採用しています。

サンラインで言う所の「ULT系」です。
製品名で分かりやすいところだと「PEエギULT HS4」に近い感じですね。

ほとんどの人には難しい話になると思いますが分かる人には安心感のあるラインと同じ原糸なんだということが分かるかと思います。

最後に僕自身が高比重PEに感じている可能性とオールマイトに託した思いの部分をお話しして終わりにしたいと思います。

▼新たなるスタンダードPEになれるのか▼

その登場以来、PEラインの中でも変わり種として扱われ続けた「高比重PE」

確かに登場した順番とその構造を見ると変わり種扱いされても仕方ないと思いますが、実際にこの分類のPEを数年使ってきて「むしろ高比重PEこそスタンダードじゃない?」という気持ちを抱いています。

バスであれば4lb前後のフロロでしていたライトリグは全般対応可能。
勿論パワーフィネスにも対応。

ネイティブトラウトのミノーイングでは源流〜本流まで号数を変えながら、ミノーを思うがままに操れます。
(テストでナイロンを使うこともありますがマニュアルな操作感ではPEが圧倒的)

これはどのジャンルがメインなのかという目線によって変わるとは思いますが、バス育ちで「バス」「トラウト」辺りを中心に嗜む自分からするとPEラインはモノフィラメントに近い使用感であるほど良い。

そして現在市場に出回っている高比重PEの中で最もモノフィラメント感のある仕上がりになっているのが「オールマイト」だと感じています。

「オールマイト」という名前を聞いた時に某少年漫画のキャラクターを思い浮かべた人も多いかと思います。
#私が来た!

ALMIGHT」という単語には「全能・絶大な力」といったような意味があります。

僕が「オールマイト」に感じた可能性というのがまさにそれで、そういった大きな期待を込めてこの名前を付けました。
#発売に向けて漫画も最新話まで見た
#爆豪がデクに謝罪したとこで泣いた

なのでバス用として昨年まで発売されていた「Dブレイド」の後継と思われる方も多いと思いますが、もっと広い規模と視野を見据えれる製品と思い特定のジャンルを指定しないオールパーパス枠としてラインナップしています。

勿論これだけで全ての釣りを完結させることは不可能です。
ただジャンル、釣法によってスタンダードになるべきは低比重PEではなく高比重PEであると感じるのも確か。

発売して間もないため、どのような反応・展開になるかは分かりませんが「オールマイト」が切り拓くPEラインの未来を僕自身楽しみにしています。

是非、一度試してみてください。

それでは今回はこの辺で。

でゎでゎ。

0.4号を横から撮った写真
1.5号を横から撮った写真

※参考になるか微妙ですがおまけとして添えておきます。

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