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【最終回】結局、私の英語修業はどうなったのか

50を過ぎて、今さら成果が出せるのか!?と思いつつ始めた私の英語修業。気がつけばもう5年くらいの月日が経っている。しかし、肝心の英語力はといえば、ペラペラには程遠い。海外一人旅はできても、仕事にはとうてい使えない。

それでも、無謀にもこの英語力で、何度か一人で海外出張に出かけた。現地の人とメールでやりとりをして、アポイントを取ったり、人に道を聞きながら取材先にたどりついたり、自力でAir B&Bで宿泊先を探し、ネイティブのホストファミリーとぎこちないながらも会話をしたり。現地での様々なトラブルも、なんとかくぐり抜けてきた。オンライン英会話を始める前の私なら、決してできなかっただろう。

これまで述べてきたように、また、ここに書いていないものも含め、私は色々な英語勉強法を試してきた。どれも長続きしない中、オンライン英会話だけは続いて、それなりに効果があったと感じている。しかし、これだけでは今以上の飛躍は望めない、ということもわかってきた。

私のように、もともとの英語力が低ければ、オンライン英会話でも、一時的にすごく伸びた!と感じることはできる。でも、それ以上英語力を上げたいと思ったらオンライン英会話だけではダメ。

よく、日本人は真面目でシャイな人が多く、間違うのを恐れて積極的にしゃべろうとしない。だからなかなか英語力が伸びない。それに対し、他国の留学生は間違いを恐れずどんどんしゃべるからあっという間に英語がしゃべれるようになる。日本人にまず必要なのは、「間違ってもとにかく話そうとする姿勢だ」という話は嫌というほど聞いてきた。

「間違ってもとにかく話そうとする姿勢」について言えば、オンライン英会話で確実に身につけることができたと思う。
そうでなければ、一人で海外出張になど行けなかった。

でも、やはりそれ以上を目指したい。ただ海外出張に行って生きて帰って来ました、だけでなく英語で取材をし、英語で記事を書けるようになりたい。それができるようになるにはどんな勉強をすればいいのだろうか。いったいどのくらいの期間がかかるのだろうか。

長期留学をすれば、嫌でもしゃべれるようになるのだろうけれど、そんな時間もお金も費やせない人はどうすればいいのか。

悩んだ末、猪浦道夫という一人の古い友人を思い出した。

彼は、8か国語を繰る言語学者で、最近『TOEIC亡国論』という本を出した。2003年に出した『語学で身を立てる』はロングセラーになっている。

20年来のつかず離れずの付き合いで、美食家の彼とたまに会っては飲み食いをし、彼の恋バナ(私のではない)をひたすら聞かされてきたが、残念なことに私は、優れた言語学者である彼から一度も英語を学ばなかった。なぜかというと、彼の力説する効果的な勉強法が、まずは文法、次に作文力、語彙力、英文和訳(結局、全部じゃん!)という、いかにも地道で大変そうなものだったからだ。

しかし、今思うに、結局それが、一番の近道なのかもしれない。

どんな言語を学ぶにしても、最初に言葉の仕組み(文法)を理解してからのほうが効率的だ。また、会話とは、頭の中で作った文をアウトプットすることだから、英作文力なしに会話はできない。語彙力がなければ、複雑な感情を表せないし、知らない単語が多いと相手の言っていることを聞き取ることもできない。

で、猪浦氏に、「1年以内に、英語で取材できて、英語で記事が書けるようになりたいんだけど」と相談すると、「ムリです」と即答されてしまった。

しかし心優しき旧友は、「あなたのために特別に英作文力向上プログラムを作ってあげましょう」と約束してくれた。ただし、「言っておきますがかなり厳しいですよ」とつけ加えることを忘れなかったが。

そんなわけで、あれほど避けたいと思っていた、地道な勉強を始めることにしたのである。

というわけで、私の英語修業はまだまだ続く(たぶん)。

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