「明日カノ」を改めて読んで思うこと
「明日カノ」
をのひなおさんの漫画。
美容師さんに教えてもらって、2022年の秋頃から少しずつアプリで読み進めていった。
全話読んだけど、最近無料で改めて読めるようになったので、何となく読み返してみた。
わたしは「雪」のことが何となくずっとすきになれなかった。
母親から虐待やネグレクトを受けて
その時に負った火傷痕を隠しながら
親や身内からの援助は一切受けず
奨学金で大学に通って
レンタル彼女のバイトをして
お金だけは裏切らない、という価値観の持ち主。
生まれ育った環境が過酷で
母親に愛してもらえなかった空白は誰にも埋められない。
でも、お金だけは裏切らないから。
という考えに至るのもわかるっちゃわかる。
自分の火傷痕の姿を知って、本当にありのままの自分を愛してくれる存在なんていない。
雪はそう思い込んでいる。
でも、序盤にバイトのサービス利用者に
「辻󠄀 壮太」という社会人の青年が出てくる。
彼は偶然雪の火傷痕を知って
それでも雪への態度は変えず
お客さんという立場でありながらも
真剣に彼女がすきだったので
彼女に思いを伝える。
でも、雪は自分と違って両親から愛されて
金銭的にも恵まれてきた壮太をどこか敬遠する。
真剣に告白されても雪はその気持ちには応えなかった。
自分とは育った環境が違うから
本当の自分の心の傷はわかってもらえない
無意識な一言で傷つく
雪はそのような気持ちがあったように感じたけど、
わたしはやっぱり壮太を振ったことは勿体無いと、改めて読んで感じた。
壮太は不器用なりに、一生懸命雪のことを理解しようとしてくれたと思うし、社会人としてまだまだ未熟でも、親から愛されていて雪のような境遇を生きていなくても、雪のことを真剣に受け止めて愛せる唯一の器の持ち主だったと感じる。
後に雪は友達の紹介で太陽という大学生と交際する。
太陽も雪とは違えど母親に関する悩みを抱えていた。
太陽は母親の過干渉が息苦しくて、だけど母親に反抗出来ず苦しんでいた。
雪とはお互い分かり合える関係だと思い束の間幸せな時間を送るけど、太陽は雪を少しずつ束縛し始めて、だんだん病的になっていき、雪も耐えられなくなり2人は破局する。
同じ悩みを抱えているからと言って上手くいくとは限らない。
一番誠実に向き合ってくれて
一番雪を幸せに出来たのは
壮太だったのではないか、と改めて読んで感じました。
母親との関係にいつまでも固執して
母親と面と向かって対決しても結局裏切られて
過去にこだわり続けていつまでもどこか幸せになろうと自分と向き合わず、心を閉ざして逃げている雪のことを、わたしはすきになれなかった。
壮太は唯一真剣に雪の全てと向き合おうとしてくれた誠実な男性だったのではないかと思ったから、逃げずに相手を信じる気持ちが持てたら良かったのになと思った。
お互いの環境が違い過ぎたら
相手の存在が眩し過ぎたら
逃げたくなる気持ちもわかるけど。
自分と向き合って幸せになる決断を出来ずに強がりながら生きていくのはもっと嫌だ。
最終的に雪は恋人がいなくても前を向いて生きていくけど、今回は恋愛に絞った観点からの個人的な感想を述べてみました。