物黒

目に映るもの。映らなかったもの。そのすべては生ぬるい涙でぼやけていく。時間さえも映像に写せてしまう疑い浅い記憶媒体。見返せば見返すほど思えば思うほど、こびりついていく。いつかは、剥がれないほどに定着していくもの。それはいつか疑い深い記憶になるが奥底にちゃんとそこに、モノクロの層の部分にあるのです。
まだ色のあるフォルダに残った風の音は、スマホのスピーカーが溺れそうなくらいに落ち着きがないのだ。耳は、きっと鬱陶しいと感じている。あるがままでいる。遠く遠くから聴こえる消えそうな笑い声。もういっそ消えてしまえばいい。小さな声さえもくすぐったい。中途半端ならば味気ない。色なんて全て消したい。もういまはモノクロしか興味ない。

たとえば、都会にいけば黒い服ばかり。黒い服ばかりがしょうもない色の改札機を通る。それでも人間を守る信号機の光はまだまだ元気で、その思考がまたしょうもなくて絶望

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