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永永無窮のそのあと

時間というものがある限り、なにかが作り出されている。自然、木や風。人工物の中の自然、建物。そして人。それぞれに時間が与えられ、わたしは日々それらを目や皮膚、神経で無意識に感じながらも通り過ぎていく。いや、通り過ぎているのは自然の方だ。私はずっと止まっている。それとも、私の中の時間という乗り物の助手席に座っている。

それでも、無意識ながらにも、
ずっと確認しながら生きているのに、
時々初めて見るものが初めてな気がしない。
あれ、なにこれ見た事ある。デジャブ?
逆再生しているように思えた。
そして、いつものように似た感覚に陥るのだった。
わたし、一体になりかけているの?

大丈夫。問題は、きっとありません。
例えるならば、わたしは氷でしょう。
作り続けていたものが、今ある自然という温さで溶けているだけ。温さ。温い。時間という名の必然です。

炭酸のアブクたちが私という名の半透明の氷にぶつかる。ぶつかって、一体になろうよ。とひっついてくる。

アブク、あなたに憧れているから、
アブク、あなたと混ざりたい。

とアブクが言うけれど、わたしは優しく無視をしてただただ身体に任せ、冷たさを出した。私には私の役割があって、アブクにはアブクの良さがある。アブクは落ち着いた。けれど、自然が傾けばまた少し上へと騒いだ。でも私が、私という名の氷が、溶けたころには、アブクの存在はいつのまにか遠のいていた。いいえ、おそらく私が飲み込んで一体になっていた。

私はいつのまにかコップ満タンに広がって、心までも広がった。大丈夫だった。問題はありませんでした。

でも少しだけ、自然の涙がわたしに混じって、少し悲しくなった。また、凍りたい。炭酸の抜け殻を飲み込んで、また氷になりたい。

そして今度は熱いお湯の中で、
私の中の時間で、しばらく溶けたい。
溶けて、あたたまりたい。

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