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【彼と彼女のものがたり】〜side Y〜

「魂」で繋がる彼と彼女のものがたり

現実の光と闇を行き来しながらも

お互いの存在を意識しながら

共に生きていく。
《依存》〜side Y〜


これまでの「頑張り」とは
別の種類の頑張りが必要な気がしていた。

(根を詰めてスケジュールをこなすのは肉体的にきつかったけれど、

多分、もうそうじゃないんだ。。。)

求められればどこへでも行くし、
そこで自分を発揮することに悦びもある。


……けれど。

(それじゃ、今までの俺と何ら変わらない)

(早絵に繋がれた人生を生きるのは卒業したはずだ、、、)

(ルーティンの中にいるのは俺だ、、

ぬるま湯にいつまでも浸かってるわけにはいかない、、、!)

離れたいと思いながら、離れられずにいるのは
ブレーキとアクセルを同時に踏んでるのと一緒だ、と颯太は思っていた。



「バンマス、山さんにお願いしたいと思っているんです。
今回もダメもとで言ってます 笑」

毎年恒例の音楽事務所のフェスのプロデューサーからだ。

おそらく50曲近く、、半日はぶっ通しになる内容

いつも参加してはいたが、
バンドマスターとなるとワケが違う。

リハーサル段階から拘束されてしまうし、
表も裏も見切れる自信がなかったのだ。


いつもは他と被るから、と適当に誤魔化して
逃げてきた役割だった。


「……いいですよ。バンマス、やらせてください。」

「ほんとですか?!いやぁ〜どうせダメだろうな〜って思ってましたけど、
言って良かった!!」

「お手柔らかにお願いします」

「資料と音源は先に送っておきますので!
じゃあ、再来週のミーティング楽しみにしてますから〜」


(言ってしまったもんはやるしかないだろ、、!)


これまでとちがう方向の選択をすることで
颯太はコンフォートゾーンから出ようとしていた。

(慣れ親しんだ今までのやり方のハードルは

自分にしか上げられない。

早百合の面影から抜けたら、

俺は変われるはずだ、、、、!!!)


今の颯太は
そう信じるしかなかった。








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