【彼と彼女のものがたり】side D
「魂」で繋がる彼と彼女のものがたり
現実の光と闇を行き来しながらも
お互いの存在を意識しながら
共に生きていく。
《吾輩は犬である》〜side G 〜
アタシ達と薫は、どうやら別の生き物らしい。。
わかったのはつい最近のこと
確かに、
食べる物も違うし、
鳴き方も妙に長ったらしい。
そして、
薫たちはいつも変な布でカラダを覆ってるのがずっと不思議だった。
「ぐら、知ってる?
薫達ってさ、《ニンゲン》って言うらしいよ?」
相方のぐりにそう聞いてから、
今まで不思議だと思っていた理由がわかった。
薫は一番最初にアタシ達の面倒をみてくれた人間、ということになる。
初めてのお散歩も、
初めてのごはんも、
初めてのお風呂も、、、
全部、薫と一緒だった。
アタシはオンナだけど、
薫は時々お父さんみたくなるし、お母さんみたくも感じる。
一緒に遊んでくれる時は、
アタシ達より遅いから妹みたいにもみえる。
★
アタシは薫が大好きなの。
ぐりともそんなことをよく話していた。
「ね、ぐりは薫のこと好き?」
「スキ、、、???
何それ??」
(これだからオトコってガキなのよ、、、!)
「一緒にいて
嬉しいなぁ、楽しいなぁ、とかさ。
もっと一緒にいたいなぁって思うかってこと!」
「あー、それならわかるよ。
うん。
ボク、薫のこと、スキ」
「も〜、ぐりはカラダはでかいくせに
子供なんだよ!」
「そうなの?」
「スキとかはよく知らないけど、
薫はいい匂いがする〜!!」
「薫とおんなじ匂いがするニンゲン、いたよね、、、、??」
「あぁ〜!やっぱり〜!?
ぐりも思ってた??」
「うん。
薫と間違えたもん」
(ぐりと同じく感じてたなんて!
やっぱりアタシの鼻は間違いないわー!!!)
「あのヒトは、いっつも《おじゃまします〜》ってご挨拶してくれるよね。
ジェントルマンでスキ〜♡」
「じぇんとる、、、?」
「紳士的ってこと!
もうっ!!
ぐりは何にも知らないんだから〜」
「ボクもじぇんとるになれるかな?」
「アンタはお勉強しないと無理かもね!」
★
薫とおんなじ匂いがするヒトって、
これまであんまりいなかった気がする。
オトコの割に大きくないけれど、
グローブみたいに固い手でふんわり撫でてくれるのは覚えてる。
あのヒトなら、抱っこされてもいいかなーって思ってた。
薫は、
おんなじ匂いって気づいてるのかしら、、、?
「アタシの勘では、
あのヒトも薫のことスキだと思うのよ。。。」
「薫も、あのヒトのことスキなんだよ?
ボク知ってるよ!」
「薫がそう言ったの?」
「、、、言ってないけど。
一緒にいたいなぁって
二人とも思ってる匂いがするもん」
「スキだったら
顔舐めたくなるのにね。
ボクならいっぱいベロベロするのになぁ。。。」
「ニンゲンはもっとフクザツなんだって。
アタシ達とは別なのよ。」
おんなじ匂いなら、
一緒にいればいいのに。。
ニンゲンってわかんない生き物だわ。
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