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【彼と彼女のものがたり】side O

「魂」で繋がる彼と彼女のものがたり

現実の光と闇を行き来しながらも

お互いの存在を意識しながら

共に生きていく。
《信頼》〜side O〜


「なんかさぁ〜もう別れようかと思ってね、、、」

「何かあったの?」

「うんん。
何もないから、別れようかなと。」

「何それ〜」


一年振りに会った優子は浮かない顔をしていた。

「あれ、、一緒住んで何年になった??」

「2015からだから、、かれこれ6年だもん」

(、、、颯太を意識し始めたのとおんなじ位かぁ、、、)

「、、、結婚問題ってこと?」

「ん。。。
一緒にいる意味がわかんなくなってきちゃった。

嫌いではないけど。
ときめきは完全にない。

最初は結婚前提のつもりだったんだけどね〜

なんか、馬鹿らしくなってきちゃってね。」

「結婚したいなら、そう言えばいいんじゃない??」

「何回か匂わせたけど、、、
煮え切らない態度が腹立つから言うのも諦めたわ」

「そっかぁ、、」


この手の話はよくあることだ。


40を過ぎると、
ある程度仕事もできるし、それなりの収入もあるから生活自体は困らない。
でも、本当にそれでいいのか…?という不安は
薫もわからないわけではなかった。

いわゆる適齢期の時期は
親や親戚、お客様にも結婚について言われてきたし、
薫自身も結婚願望があった時期もある。

それは、
結婚=幸せ、と思っていたからだ。

薫は幸せの捉え方は
人それぞれでいい、と思っていた。

ある人にとっては、
それが結婚かもしれないし、
別の人にとっては
子供を授かることかもしれない。
また別の人にとっては起業なのかもしれない。

今の薫にとっては。

結婚や出産が自分の幸せに必ずしも必要か?と考えると
答えは「NO」だった。

「薫は?
あの彼とはどうなの?」

(、、、答えても理解されないからな、、)

「どうもこうもないよ。
別に付き合うとかじゃないし。」

(感覚としての繋がりを誰かにわかってもらう必要もない)
(自分がわかっていればいい)

薫はそう割り切るようになっていた。

女性同士の恋バナは楽しさもあるけれど、

結婚や同棲、お付き合いの話は
正直なところ、、、面倒くさくも感じていた。

「まぁ、大好きなのは変わらずかな」

自分が異常なんじゃないか?と思った頃は
「普通の恋愛」を求めていたのだな、と
今振り返ると思う。


食事したり、デートしたり、、たまに旅行したり。

そのうち結婚を意識して、、、。

颯太との関わりは、

そこに当てはめるのはちがうのだ。と気付いてからは

無理に追い求めなくなっていた。

もちろん、
二人で過ごす時間は
デート要素がないわけではなかったが、

それ以上の

安心感や穏やかさがあったし、
ゆるされている感覚の方が圧倒的に上回っていた。

「離婚したんだ、、、」

颯太から話を聞いた時もそれほど感情の揺れも起こらない自分が不思議だった。

(これからどうするの、、、?)

そう問い詰めることも出来たのかもしれなかったが、

そこは颯太の問題であって
薫がとやかく言うことではない、と考えていたのだ。

「そっか。
また、次のステージなんだね。」

俯いた颯太は何か言いた気にも感じたが、
それ以上は言わなくてもいいのだ、、、と薫は思った。

元々、颯太は多くを語る人ではない。

薫は必要なことは彼のタイミングで話す、という彼のやり方を信じていた。

それは、
薫自身が自分の感覚を信じている証拠でもあったのだ。







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