違うから人じゃん、てハナシ

中学生の時のハナシです。

アタシのクラスに実は従兄弟同士なのだ、という2人の男子がいました。

当時、アタシの通っていた地域ではたとえ遠かろうが近かろうが親戚関係に当たる間柄であれば、決して同じクラスにはならないというルールがありました。
だからこそ、従兄弟なのに同じクラスにいるのは奇跡じゃーん!ってアタシは思ったんですよね。


今、人の親になった身ですので、わかるのですが、学校側に提出する入学資料などで姻戚関係を全て書き記す事は不可能なんですよね。
学校側でできる対応としては、せいぜい、同じ氏を名乗る者は一緒のクラスにしない、などでしょうか…
当時アタシ達世代は団塊世代ジュニアの第二次ベビーブーム末期。
同じ氏を避けるにしても限界はあったでしょうが…

アタシが同じクラスだった従兄弟同士は氏の違う者同士だったので、学校側も正しく認識していなかったんでしょうね。


ある日、従兄弟A君を囲んでクラスの男女が何やら騒いでる。
「どしたん?」
「A君とB君て、従兄弟なんだって!」
「おおっ!えっ⁈同じクラスなのスゴくなーい⁈」
どよどよとしたみんなの声。
でもその時、アタシはみんなの雰囲気に何やら雲行きが怪しそうなのを察知する。

B君はスラっと背の高いイケメン。
当時流行った改造制服をオシャレに着こなし、クラスの女子からも
「B君、カッコいいよね〜」ともてはやされる優男。
一方のA君はあまり身長も高くなく、平々凡々な、どこにでもいる普通の真面目君。

嫌な予感は的中、みんなの口に「えー、あのB君と従兄弟同士〜?似てなくな〜い⁇」という言葉が上がる。
アタシは
「従兄弟ってさ、親同士が兄弟ってコトでしょ?
似てない兄弟なんてたくさんいるから、その子ども達なんて似てなくて当然じゃね?」
と言ったのだが、やはりみんなの言葉はどんどん言ってはいけない方へ向かい出す。
「えー、でもあのB君だよ?
あのB君が従兄弟なんてサ〜」
「ねえ、比べられてA君、可哀想じゃね?」
ああ、オマエらとうとう言ってしまったか、その『可哀想』という単語を。


アタシには二級年下の弟がいます。
弟は昔っから人懐っこい性格の持ち主で、老若男女問わず好かれるお調子者です。
もちろん、同級生女子にはモテモテ。
一方のアタシは引っ込み思案のモジモジ隠キャ。
「あの子はみんなから好かれるのに、アタシはこんな根暗。同じ親から産まれたのに…」
周りからはっきりと比べられる言葉を聞いた訳ではありませんでしたが、アタシには弟に対するコンプレックスが確実にありました。
だから人と比べられて劣っていると思われる事が、本人にとってどれだけ辛い事なのかをよくわかっていました。


アタシだって、彼らが従兄弟同士と聞いた時に頭の中では
「従兄弟同士って言う度にA君は、B君と比べられて似てない事を可哀想って思われちゃうんだろうなあ。なんか比べられるって可哀想だなぁ」
とは浮かびました。
でも、それを本人に言う必要なくないですか?
自分が一番わかってるんですよ、もう片方の従兄弟と比べたら非モテだって事は。

よりによってB君がクラスで一二を争うモテ男子だったが為に、A君は比較されて可哀想がられる。
B君がそこそこだったらきっとA君が可哀想だなんて思われる事もなかったろうに。
そういう意味ではA君は運がない、そう言えるかもしれない。

けど、人の価値を決めるのは容姿体型の見た目だけではありません。
B君をカッコいいという人がいれば、A君が好きって人もいるだろう。
世の中広いんだ、こんな狭い教室の二人をなぜ比べなきゃいけないんだ。
なんとなくその時の教室の空気を変えたくてアタシは
「どうして従兄弟ってだけで比べられなきゃなの?
A君はA君、B君はB君じゃん。
そんなコトよりも、アタシは、従兄弟が同じ教室に居るってスゴイと思うんだけど。
アタシ、従兄弟遠くに住んでるし、そもそも同い年の従兄弟いないもん。
だから同じクラスなの、アタシは羨ましいけどなー」
と無理矢理話を逸らせました。


中学生って世界が狭い。
そんな小さなコミュニティの中での優劣なんて、大きな社会で取りなされる優劣とは比べ物にならないくらい微々たる影響しか与えない。
その時を生きている中学生にとっては重要だとは思いますが、高等教育を経て社会に出る頃になれば、「なんであんなくだらない小さな事で大騒ぎできたんだろ」ってなる。

人はそれぞれが良い面を持ってます。
それは見た目の良さだけではありません。
見た目良い人も老ければただの年老いた人、どんなにお金をかけ美しさを保ったとて所詮はそこまで、若い人の見た目の良さには敵わない、見た目の良さだけで社会という大海原を渡り切り続ける事は不可能でしょう。
結局のところ人の魅力は外側だけ磨いたってしょうがない、最後は内面勝負なんです。
ってアタシは思ってます。

芸能人だってそうでしょう?
彼らは見た目の良さだけで芸能界で活躍しているわけではありません。
人よりも優れた才能を持っているから、テレビや映画などで活躍しているんです。


「みんな違ってみんないい」
先人は良い言葉を残してくれてますネ。
そう、それぞれがみんな「違う」から惹かれるし憧れるし、「あの人みたいに生きていきたい」と思うのだし「あの人の事好きだなぁ」と思うのですよ。

あ、ちなみになんですが、B君、よく一緒に飲む幼馴染が言ってましたが「B君はホント良い子!」だそうです。
容姿だけの人、と思われてはいけないので付け足しておきます。
アタシ中2、中3と同じクラスだったはずなのですが、なんせほとんど会話した事ないんでどんな子かもアタシは知らないんですけどね〜。
良い子なんだそうです、容姿淡麗で性格良いだなんてスペック高すぎ、きっと素敵なパートナーと幸せな家庭を築いていらっしゃる事でしょう。
全然情報ないので知りませんが、きっとA君も素敵な家庭でいいお父さんしてるだろうとお祈り申し上げて、今日はここまでとしましょう。
って二人とも独身を謳歌してらっしゃるかもしれませんが…
何はともあれ、同じ学び舎を共に過ごした級友が今現在幸せな毎日を過ごしている事を願ってやみません。


皆さまの毎日が幸多き事をお祈りして!


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