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バハマのエグズーマ行きの機内は、ピザハットを抱えたひとでいっぱい

バハマに行った。
いつも通り、旅の相棒、夕日ハンターと。

バハマ諸島とは、カリブ海に浮かぶ島々。
そのなかでもエグズーマ島は、ぶたといっしょに泳げるビーチとして有名だ。
インスタグラマーが海を泳ぐぶたをとっつかまえてキラキラ写真をたくさんあげている。

エグズーマ島には、ナッソーというメインの島から飛行機で向かった。
夕方の便に搭乗するためにそそくさと並んでいると、やたらピザハットの箱を抱えているひとが多いことに気づいた。

飛行機おりたらパーティにでも向かうのかな?

そんなことを考えながら、そのピザハットを抱えるひとの多さは、なんとなく心のなかに違和感をうみだした。

でも特に深いことは考えず、搭乗。
島間は近いので、数十分のフライト。

空港はとても小さく、停まっている飛行機もすべて小型。
とてもこじんまりした島のようだ。

飛行機から降りて荷物をまっているあいだ、ピザハットの箱を抱えたひとがまた目についた。

そしてある考えが頭をよぎった。

...いや、でもまさかね。

そのあとすぐ、荷物が来てタクシーを探したりとバタバタし、緑のなかをタクシーで駆け抜けたので、その考えはすぐどこかに行ってしまった。

湖沿いのコテージに到着。
バハマはホテルがとにかく高い。物価も高い。
今回のホテルもけっこうな値段だったが、設備としてはまぁまぁ。
でも目の前に広がる湖は、旅の疲れをいやしてくれた。

お昼からまともに何も食べていなかったわたし達は、コテージのオーナーに食事できるところを聞いた。
近くのBBQレストランが空いているとのこと。

お腹をすかせたわたしたちは、早速おなかを満たすことであたまをいっぱいにしながら歩きはじめた。

時間は19時ごろ。
街は日が暮れ、とても静かだった。

そう、とても静かだった。
まだ19時なのに。

思ったよりも街がぜんぜん栄えていないことにおどろきつつも、オーナーに言われたBBQレストランを探す。

...このへんって言ってたよね?

見当たらない。

BBQレストランが見当たらないどころか、開いている建物が見つからない。

まだ19時だというのに、街はもう眠っていた。

しかしこっちのお腹の虫はそうはいかない。
眠るどころか数時間まえからばっちり目をさまして、食べものを与えないかぎり眠ってくれそうにない。

バーベキュー...ど...こ...

この時、空港でのあのピザハットの箱が頭のなかにでてきた。
そしてその時ふと考えたことを思いだした。

エグズーマにごはん食べるとこがないから、みんな空港で買ってたんじゃないの...?

あのピザはパーティ用でもなんでもない、普通の晩ごはん用だったんだ。
この時間帯にこの街に着くと、食べるところがないのを知っていたんだ。

突然ピザハットのピザが異様に恋しくなる。
おなか...すいた...

散々歩き回って、どうしたらいいのか途方にくれかけていた。
先ほどスルーした、灯りのついている教会のような建物に聞いてみよう、
そう思い、教会の入り口へ行ってみたら、なんだかおしゃれした人々がなかへ入っていく。
なんだか音楽が聴こえてくる。

まさか!?

入ってみると、街の静けさからは想像もできないくらいのたくさんの人が、真ん中のプールを囲んで踊っていた。
教会どころか、むしろちょっと派手めなパーティ!

意外すぎて、いまいちこの街の雰囲気がつかめない。
とはいえ、ありがたくごはんにありつけることになった。

なかへ入り、BBQエリアでハンバーガーを注文。
十数時間ぶりのごはんは幸せの味がした。

夜の海をながめながら、にぎやかな音楽に囲まれおなかを満たす。

こころも満たされ、満足感でいっぱいですぅーっと大きく息をすった。

海の潮のかおりとともに、鼻に入ってきたのはマリファナの匂いだった。

...エグズーマ島、正体不明。


おわり。

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