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発音の先生はタイの子どもたち

タイ語は発音が難しい。
よく言われるのが声調(トーン)があること。声調とは音の高低パターンのことで、タイ語には5つの声調がある。そしてこの声調によって同じ音の単語でも意味が変わるのでややこしい。
よく例に出されるのは「マー」。
声調によって「来る」「犬」「馬」と意味が変わってくる。

ただ声調は覚えればなんとかなると思っている。
個人的にタイ語の発音で一番難しいと思うのは母音だ。
日本語の母音数は「あa・いi・うu・えe・おo」の5つ
それに対してタイ語は「アa・イi・ウɯ・ウu・ウə・エe・エɛ・オo・オɔ」と基本的な母音(真正母音)が9種類(短母音・長母音に分けると18種類)。

タイ文字読み書き会話の総合タイ語勉強サイト「タイスタ」より引用https://thaistudy.net/hatsuon2_shinsei_boin/とても勉強になるサイトです!

そしてこの「ウɯ・ウu・ウə・エe・エɛ・オo・オɔ」がややこしい。

ウɯ:口は「イ」の形で「ウ」と発音
ウu:口をすぼめて唇を前に突き出しながら「ウ」と発音
ウə:口を少し開けてうなるように「ウ」と発音
エe:日本語の「エ」よりも口を狭くして「エ」と発音
エɛ:日本語の「エ」よりも口を大きく開けて「エ(ア)」と発音
オo:口をすぼめて唇を前に突き出しながら「オ」と発音
オɔ:日本語の「オ」よりも口を大きく開けて「オ」と発音

やってみると分かるが、思った以上に大胆に口の形を作り声を出さないと正しい発音にはならない。これに声調が加わると、想像以上に大げさにしゃべらないとタイ人には伝わらない。シャイな日本人にはなかなか酷だ。私もタイで就職したばかりの頃は、タイ語を話すたびに顔が真っ赤になって、まるで毎日が罰ゲームのようだった。

それから1ヶ月ほどたった頃、お世話になったムエタイジムにタイ就職の報告をしに行った。そこには新しいトレーナーとその奥さん、そしてトレーナーの3歳の息子がちょこんと座っていた。
練習の間、息子と遊んであげてと頼まれた私は、とりあえずその頃に流行っていたタイのCMのモノマネをしてみた。すると息子はキャッキャッとはしゃぎ始めて、私に続いてモノマネをし始めた。
おーすごい!通じた。あのCMって分ったみたい。

では、と覚えたてのタイ語を息子に話しかけると、聞き取れれば答えてくれるし、発音が悪ければ容赦なく怪訝な顔を向けられる。まるで発音判定機みたい。大げさな表情で話しかけてもバカにされないし(むしろ面白がってもらえるし)、忖度を知らない子どもとの会話は、なかなかいい発音レッスンだ。

発音は繰り返し練習し、実践で場数をこなさなければ良くならない。大人が相手だと間違うと恥ずかしい思いをするけど、子どもとの会話ならきっとそれほど傷つかないはず。
ムエタイジムでトレーナーの息子に話しかけた日から、私の発音の先生はタイの子どもたちだ。

ということで、本日のつぶやきを3行でまとめると
・タイ語は発音、特に母音の発音が難しい
・忖度を知らない子どもとの会話は最高の発音レッスン
・恥ずかしがらずに子どもたちに話しかけて発音に磨きをかけよう!
でした。

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