見出し画像

小山田壮平弾き語りツアー2023

※曲のネタバレないです!
MCの話だけちょこっとしてます。

エルシアターへ向かう道中、家の最寄駅に着き、通り過ぎていく優等列車が私には希望に見えた。前へ進めば、すべてから解放されて全部終わりになる。そんなことを思っていた。いつもと同じ。

高い建物や橋、踏切を見つめ、終わりにしたいと心の中で叫ぶ。もがいてももがいても、変わらない日々。そんな日々でもまだ諦めない理由を探しに、今日は向かう。

天満橋駅を上り見えた景色。ほんのわずかに光が残る夜空に、ビルの光が輝く。船着場らしい。

会場に入り、席に座る。Twitterにも書いたけど、ここにいる人全員が、壮平さんのことを愛しているという事実だけで、ご飯食べれるよ。壮平さん繋がりなのかな?友だち同士で来ている方、一人で来ている方も多い気がした。私も適当な友だちと来るぐらいなら一人で来たい。だって壮平さんの歌だもん。ばかにされたくないよ。

暗めの青色の光がステージを照らす中、彼が出てきた。始まるんだ。彼の歌声が響いた瞬間、目元がぐっとなった。二曲目では泣いた。

ジャキジャキとした力強いアコースティックギター、だが優しくなるところもあるんだ。強くないと歩んでいけない、優しくもなきゃいけない。人生みたいなギター。そんなギターの上を、魂がこもった歌が泳ぐ。

途中、普段は考えもしないような、昔出会った人のことを思い出した。元気なのかな。私みたいになってないといいけど。

大好きなandymoriの曲も聴けた。それイントロ難しいよね。やり直すよね。

アップテンポな曲だと尚更そうなんだけど、ほんとにギターだけなのかと思うぐらいリズミカルで、バンドサウンドを聴いてるような体の揺れ方をしている時があった。

入院中よく聴いた曲は、根拠なんてない自信を持って私を励ましてくれる。この日々はずっと続くよ。死ぬまで。嬉しいこともあるけど、辛いことのほうが多い。でも大丈夫、彼の歌声があれば。

葉っぱ。必要な人には必要なんだよ、そういう存在が。批判する人はしてればいいけど。とか思ってた。

次世代西川のりおはトレンディエンジェル斎藤な話、おもしろかった。大阪のタクシーの運転手とか、おもしろおかしい人多そう。中国でのツアーの話もしてくれた。中国ではスイカが安いから、スイカは盗まなくていいらしい。

本編最後の四曲ぐらいの畳みかけすごかった。このあたりだったような気がするんだけど、彼の後ろから照らす光がホールの壁、右や左に影を作っていた。右は藍色、左は橙だった。影って暗いはずなのに、曲に合わせて揺れる彼の影を見ていると、なぜか輝いて見えた。影すら輝かせるのが小山田壮平。なんかその通りな気がした。

二つ隣の席に座っていた高校生ぐらいの女の子、目元に涙を溜めながら聴いていた。印象的だったな。さっきの影の話も含めて、もちろんほとんどの時間はステージの壮平さんを見ているんだけど、最後列の席だったからこそ周りを見る時間もあった。壮平さんが生み出した感動を見て感動していたような気がする。

本編が終わるとすぐアンコールの拍手が始まった。壮平さんもうちょっと休憩してていからねと思いながらも、全力でシャンシャン👏ってしてた。

アンコール、大好きな曲ばかり。人生大丈夫だから、いっしょに歩こうという気持ちは、思う存分くらった。あっという間に二時間が経ち、鳴り止まない拍手とともに、壮平さんは舞台を後にした。

小山田壮平が私たちのために歌を歌う、メアリージェーンみたいな一時の快楽は終わった。終わってしまった。

言い方が悪く聞こえるかもしれないが、音楽なんて所詮そんなもんなんだ。イヤホンを外せば、彼がいなくなれば、そこで夢は終わり現実に戻る。生活においてなにも解決しないってわかってる。だけど、それでも歌を聴きたい。歌っていたい。

彼が歌うなら、生きているべきなのかもしれないと思った。死んでも幸せかもしれない。でも多分彼の歌は聴けなくなる。『辛い日々+彼の歌声』なこの世と、『いろんなものから解放された日々-彼の歌声』なあの世と、天秤にかけた時に、どちらが幸せなのかなんてわからない。判断できるわけがない。

辛い日々だからこそ彼の歌が刺さるのかもしれない。うまくいかない、立ち止まってばかりで、生きることを諦めたいからこそ、彼の歌が必要なんだと思う。

そんなことを考えながら、明日もなんとなく生きるのだろう。不安に襲われ、記憶に縛られ、それでも続いていく日々が、壮平さんとともになら歩めるのかもしれない。

「生きていても生きていなくてもいいよ。でも僕はここで歌っているから。」

終演後残されたギターとブルースハープには、そんな優しい声を二時間響かせ続けた名残がある。

いい夜だった。また明日になれば死にたいとほざく。そんな私でも許してくれる彼のおかげで私は生きる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?