秘密

多くの人に秘密にしてること、たくさんある。自分だけが知ってる方が、傷つくことも傷つけることも少ないから。

でもたまに、ほんとたまに、この人には秘密なんて必要ないって思える人がいたりする。

昨日、岡山県奈義町で開催された『GRASS GO』というフェスに行ってきた。インナージャーニーが出演することを開催の二日前に発見し、さらに18歳以下は入場無料と知り、「岡山なら行けなくもないぞ...?」と計画を企んだのである。

ステージの後ろには那岐山がそびえ立ち、心地よい風が吹く、最高のロケーションでライブを見れた。

マンドリンってエフェクター通すとあんなに幻想的な音になるんだって初めて気づいた。綺麗だったー。

超右腕と書いてスーパーウワンと読む、岡山のバンドらしい。シューゲイザーが奥に潜んでるような歪んだギター、突き抜けるベースとドラム、ふわっとしながらも遠くまで届くようなボーカル。全部良かった。これからも聴く、絶対に。

インナージャーニーのライブ、クリームソーダのイントロが鳴り響いた瞬間、ぐっと目頭が熱くなった。ここまでの一年半のたくさんを思い出すとともに、この曲を聴けるまで生きていてよかったという気持ちが込み上げていたんだと思う。少年、少女を聴いた時は、不確かで不安な道を、ここまで歩いてきてよかったと思わせてくれた。

ボーカルのカモシタサラさんともお話しさせていただく機会があった。あれだな、本当に尊敬している人の前だと、伝えたいこともうまく伝えられないね。

でも少しお話しさせていただいて思った。多分この方には、私がいろんな人に隠してきたこと、言いたくなかったこと、そんなことさえ伝えられる気がした。

私が彼女の音楽に救われたことを伝え、彼女が少しでも長く歌ってくれたら、声を響かせてくれたら、私は嬉しいと思った。なんて利己的なんだろうと呆れながらも、でも伝えたかった。あなたの音楽で救われている人がいる、だからこれからも歌っていて欲しいと。

そのために、自分が抱えている秘密なんて、彼女に対しては秘密である必要がない。一年半のできる限り全てを話し、あなたたちの音楽が生きる意味になっていると伝えた。

これまでどれだけ助けられてきたか、そしてこれからも彼女の歌が聴きたいと、改めて強く思わせてくれるそんな日だった。

奈義の夜空に浮かぶ三日月は、満月じゃなくても、欠けていても、完璧じゃなくても、美しいんだと、そう訴えかけてくれているような気がした。きれいな月だった。

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