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仕事中にいただいた少女からのラブレター

温泉旅館ブランド「界」ではその土地の文化や伝統をご体験いただける「ご当地楽」をご用意しています。
私の勤務する界 玉造では島根県西部の石見地方に伝わる「石見神楽」の代表的な演目でもある「大蛇」を毎晩披露しています。


「大蛇」とは、有名な神話でもある八岐大蛇神話をモチーフにした演目です。
クシナダヒメを守るため、スサノオノミコトが八つの頭を持つ大蛇、ヤマタノオロチと戦うというストーリーで、その激しい戦闘シーンが魅力。
3役ともに当館スタッフが演じており、お客様からの温かいお褒めのお言葉をいただいています。

さて、先日私がスサノオノミコト役で演技をした後、記念撮影の時のこと。
歳の頃3つくらいでしょうか。
恥ずかしそうにしながら、お母さんに手を引かれた少女が舞台に近づいてきました。

もう片方の小さな手には紙袋。
お母さんに促されて、少女は紙袋から何かを取り出し、差し出してきました。

かわいいハートでした(泣)

どうやらお部屋でたくさん折ってきたよう。
隣にいるクシナダヒメにも手渡しました。
そして、ヤマタノオロチには、ビクビクしながらもなんとか近づき、大きな口にハートを差し出していました。

あぁ、なんと心優しい少女なんだろう。
彼女のピュアな思いに心を打たれると同時に、それまで全身を覆っていた疲労がすぅーと抜けていくのを感じました。


接客業をしている方は、多かれ少なかれこのような経験をしたことがあるのではないでしょうか。
疲れたなぁ、と思っていたら、ふとしたお客様の笑顔や感謝の一言が全てを忘れさせてくれる「ありがとう」の気持ち。
これはどんなお薬にも、栄養ドリンクにも勝るものだと思います。


これって、いつでもどこでも誰にでもできること。
対価を支払って、サービスを受けているものだけど、そこに感謝を込めてお返しする。
すると、スタッフは疲れも忘れ元気になる。
いい思い出を作ってもらおう、と何かできないか、と考える。
そんな感謝の連鎖が生まれれば、もっともっと世の中は上手く循環するんではないでしょうか。
少女からいただいたハートの気持ちからそんなことを学びました。

もちろんその時の私は、スサノオノミコトの仮面の下で、今まで以上に満面の笑顔で少女と記念撮影をしたのでした。



おもてなし産業をかっこよく。
あんでぃでした。



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