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「好き」という情熱は何にも勝る武器になる

今まで一番お金を使ってきたものはなんだろう?
って、ふと考えた。

本は相当買ってきた。
何かに興味を持つと、関連する本を数冊すぐにポチっている。
今でも本棚にはたくさんの本が埋まっているので、最近断捨離を進めているくらいだ。

お菓子。
小さな頃から甘いものが大好きで、社会人になってもそれは変わらない。
カルディに行くと、高くてもおいしそうな外国のお菓子を大人買いしてしまう。
今や自分でお菓子を作るくらいだ。

でも、おそらく一番使ってきたのは、音楽に関わるものだと思う。
かつて、CD全盛期の頃は、タワレコやHMVに通いまくって、バイト代を全て突っ込んでいた。
メロコア、スカコアといったパンク系のものから、ハードロックなどの洋楽。
次第にダンスミュージックに目覚め、トランス、ハウス、テクノのCDも。
20代の頃は、毎週末音のなるイベントに通ったし、海外の音楽イベントにも数多く参加した。
気づいたら自分で音楽イベントを開催し、DJもしてきた。

中でも1番の高い買い物は、カーオーディオ。
今の車に積んであるオーディオは、程度のいい中古車一台分のお金をかけている。
だが、これには理由がある。


車を買い替えたタイミングで、オーディオについて妻と相談した。
せっかくだから、本格的なオーディオを入れてみようと。
ちなみに妻とは音楽イベントで知り合った仲なので、今でも国内外の音楽イベントを一緒に旅して回っている。
お互い”音”に関するものには財布がゆるみがち。

オーディオマニアの友人に勧められた専門店に足を運んだ。
入店して2時間後、きづいたら、カーナビ、スピーカー、内張工事、配線処理など予算の2倍以上のオーディオを即決することになっていた。

なぜか?
それは、この人の情熱にほだされたから。
自分にとって、夢のようなドライブライフを送れると想像できたから。
夢があれば財布の紐がゆるむものなのだ。

店主は誰よりもオーディオマニアだった。
「まずは僕の車乗ってくださいよ!」
と、ご自身のチューンナップした車に乗せてもらった。

アルファロメオのジュリエッタ

普通に車がかっこいい。
それ以上に、洗練されたサウンドは別格だった。
運転席側に合わせた音像空間。
コンサート会場でアーティストが自分のためだけに歌ってくれているような感覚に浸った。

続いて、ショールームで映画を見せてもらった。
5.1.2チャンネルなどはよく聞くが、ここでは30チャンネルくらいあるスピーカーから溢れる音を浴びた。
それぞれのスピーカーの位置のこだわりを楽しそうに話す店主が印象的だった。

そのあとは数十種類あるスピーカーの違いを、自分のスマホに繋げて聞かせてもらった。
日本製のスピーカーは個性があまりないとか、
ドイツ製のスピーカーは音が固いとか、
少年のように目をキラキラさせながら、店主は説明してくれた。

一通り、音体験をした後、
「予算は〇〇万円くらいですかね。」
と言った私たちに対して、店主は3倍の金額で見積もりを出してきた。
いやいや、と思ったけれど、その時すでに財布の紐は解けていた。

いくらか、可能な範囲まで施工の範囲を抑えたものの、予算をはるかに超えた金額で購入することになった。
しかし、今でも後悔はしていない。
毎日、快適なオーディオライフを過ごせている。


この物語は、僕が高い買い物をしたことを伝えたかったわけではない。
人の「好き」という情熱は何にも強い武器になるということだ。
少年のように、とにかくオーディオが好きな店主の思いが、僕たちの心の琴線に触れた。
僕らは買い物をするとき、
何かを決断するとき、
理性的なように見えて、実はかなり情動的。
相手の「好き」の情熱に心を打たれると、理性が吹っ飛んで自分も「好き」になっている。

おもてなし産業でも同じことが言えるだろう。
地方に住み、地域の伝統や文化を愛し、その思いをお客様にぶつける。

「こんな○○があるんですよ!本当におすすめです!」
「実は○○の発祥で、私は何件も回ってきたんですけど、、、」
と熱を込めてお伝えする。
すると、あなたがそんなに言うなら、試してみようじゃないか!
と、お客様も乗ってくる。

お客様のニーズに寄り添うことは必要だが、
お客様のニーズを掘り起こすことも私たちに求められるスキル。

自分の「好き」を磨き上げれば、
もっともっとたくさんのお客様に、
自分の「好き」を理解し、自分の「好き」を楽しんでいただける。
それは何にも変え難い、至高の体験となるに違いない。



『おもてなし産業をかっこよく』
あんでぃでした。


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