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ゲーム感想記㉗ ドラゴンクエストXl

 日本のゲーム界を代表するシリーズの一つ「Dragon Quest」は2017年に11作目が発売された。PS4と3DSにおいて最初発売されたが、これらはシナリオ等の根本は同じながら、機種の性能も違うことがあり様々な点で異なっている。特に3DSの場合は「2Dモード」へと変えることができるが、これは旧来のファンにとってお馴染みのあのドット絵のグラフィックによってゲームが進められる。後にSwitch版に両者のいいとこ取りをしてさらに色々追加した完全版が出た。そしてそれがPS4の方にも新たに発売された。

 本作の一つ前の作品「Dragon Quest X」は完全オンラインゲームであり、またさらにその一つ前の「Dragon Quest IX」は基本オフラインなもののネット要素を使った「すれちがい通信」をすることによって初めてその真髄がわかるゲームで、半ばネットへの接続は前提だった。なので完全オフラインなのは「Dragon Quest VIII」以来、13年ぶりのことになる。この記事では基本PS4版を基にして紹介していきたい。

 実際にプレイすればすぐにわかるが、ドラクエそのものといっていいゲームである。シリーズお馴染みのセリフ回しや効果音、呪文や特技、キャラの振る舞い、さらには歴代作品への多数あるオマージュ、とにかくドラクエらしさをぎっしりと詰め込んだ作品である。グラフィックは大幅にパワーアップし、とても美しい。単に画質が綺礼とかではなく、敵の動きや味方キャラの他今までのシリーズに何度もその姿を見てきた街のモブキャラ達の姿も質感を伴いつつ再現されている。
 無論、本作の新要素も多数あり、例えば戦闘中キャラが「ゾーン」に入り能力値が上昇ることがある。これは「VIII」の「テンション」システムを彷彿させるが様々な点で異なっており、最大の特徴としてはゾーンに入ったキャラ同士で「れんけい」攻撃を仕掛けることができる。二人だけとは限らず、そして効果は無論のこと、「れんけい」の際には特殊なムービーが入る。キャラの組み合わせによって異なり、多彩に魅せるのである。

 ストーリーとしては三部構成であり、副題である「過ぎ去りし時を求めて」は第三部においてその意味がわかることとなる。魔王討伐が根底ラインにあり、やはりドラクエ的なシナリオが展開されつつも、後半になるにつれシリーズでは見られなかった展開が待ち受ける。副題を読めば時を駆けることは想像はつくだろうが、その理由は中々に衝撃的な所がある。

本作の難易度としてはかなり簡単な部類に入る。強力な呪文が多数あり、スキルパネルによる特技の獲得や能力の向上も大きく、更にこれまた強力なれんけいが多数あるので、ボス戦においては手こずる部分はあるものの、順当に敵を倒しつつシナリオを進めていけば苦戦することはそんなにないだろう。
 ただ本作においては「しばりプレイ」が実装されている。ゲームの「縛りプレイ」というのはあえて味方側に不利な条件を自分でつけて(呪文を使わない等)その上でクリアを目指すものでゲーマーではお馴染みのプレイ方法である。それが本作では公式的に実装されたのであり、その内容は多数ある(Switch版になると更に追加)。単純に「敵を強くする」を選んでも相応に難易度が上がり、やり応えが欲しいと思っている人には相応にその望みに応えてくれるのではないだろうか。また縛りは複数設定することも可能で、設定の仕方によってはクリア不能にまでなる(ただし設定できるのはゲームの最初だけで、それ以降は外すことはできても再度つけることはできない)。
 
 ふんだんに要素を詰め込みグラフィックが最新になりつつも、原点回帰も感じられる本作。新しくて懐かしい作品である。


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