ゲームサントラ紹介#30 聖剣伝説2 Secret of Mana OST
2018年に25年の時を経て『聖剣伝説2』はリメイクされた。それに伴い音楽も全曲アレンジされて追加されている。
さて、アレンジされたのはいいが、今作では特に数ある曲のリメイクアレンジの中でも特にアレンジの度合いが強いものとなっている。そしてアレンジャーは十人以上いるらしく、そのため曲の出来がかなりバラバラである。アレンジの方向性もそうだが、質も相当にバラバラであり、原曲をうまく昇華させたものもあればあまりに酷すぎる出来のものもある。また曲としては良くても、ゲーム中で流れるものとしては違和感を覚えるのもそこそこある。
まず酷い出来のものから。
「夏の空色」はトランスのような音になっていて、もはや原曲破壊レベルのもの。とても聴けたものではない。「少年は荒野を目指す」も出だしから大いに違和感があり、全体的に曲の爽やかさを掴めていない。「不思議なお話を」も出だしからもう駄目。「愛に時間を」も原曲のよさがかき消されているし、「妖精族の子供」もドラムが原曲部分を消してしまっている。「呪術師」も迫力はあるが原曲のあの不気味さは出ていない感じである。
優れたアレンジとしてはまずタイトル曲の「天使の怖れ」。正統派のオケアレンジであり、雰囲気十分。「ねがい」はピアノがうまく使われ透き通る冬を表した原曲の魅力を最大限に引き出している。「聖なる侵入」は基本的に原曲に忠実だが、後半あたり『聖剣伝説3』の「Ancient Dolphin」のフレーズが入る。これを良采配と取るか、余計なアレンジと取るか・・・…。
原曲が四十秒ほどだった「祈りと囁き」はやけに壮大になり一ループ大体三分半、サントラでは七分の長さである。原曲自体の良さはうまく取り入れている、と思う。「君は海を見たか」はかなり長くなったが、「天使の恐れ」のメロディが加わって、うまいアレンジだと思う。「風の焉わるところ」はギターの演奏が取り入れられていて原曲とマッチしている。後は「薔薇と精霊」「夜の魂」「熱砂の秘密」も良質。最後の「瞳を閉じて」のコーラスっぽい締めくくりも中々いい。アレンジは玉石混淆、と書いたがなんだかんだで良アレンジの方が多いと私は思う。
ねがい
風の焉わるところ
君は海を見たか
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