ゲーム感想記④ イースⅨ
前作『イースⅧ』が発売されてから三年後に本作『Ⅸ』が発売された。
根本的な部分は『Ⅷ』を引き継いでいる。マップを探索して埋めて行ったり、アイテムを集めて交換したり、好感度システムだったり、総力戦があったり、等々。ただ、色々と今までにない要素が取り入れられていて、『Ⅷ』とは根底では一緒ながらも、様々な点で対極的なところがある。
『Ⅷ』では島を探索していくサバイバル要素が強かったが、本作は街の中を探索していく。そしてキャラも今までにない味付けがなされいて、発売当時流行していた「異世界もの」に明らかに影響されている。「総力戦」では完全に異世界が舞台となる。
『Ⅸ』の舞台は基本街中である。途中で外に出られ探索することもあるけれど、基本的に舞台の半分は街中で行われる。プレイ上の広さは島を舞台にした『Ⅷ』とはそこまで変わらないが、開放的だった前作よりも明らかに閉鎖的だと感じる。
その街中をキャラを操作して駆け巡ることになるが、キャラたちは怪人に変身して異能アクションである崖登り(ヘブンズラン)や飛翔(ハンターグライド)等の能力を駆使して、探索し回る。つまり今作ではアドルが空を飛べるのだ。また街中にはオープンワールド定番の観光スポットや、収集要素としての青い羽や落書きがある。
戦闘については基本『Ⅷ』と同じ。サクサク進めることができ、前作の爽快感もまた健在。ただ、キャラごとの異能アクションを駆使する場面が増えて、幅が広がったともいえる。特に特定地点へと急速ダッシュ(クリムゾンライン)することを使うことも結構ある(特にボス戦)。
また街中においても戦闘になることがある。黒いシンボルに触れると敵と戦闘が開始し、街中の行動範囲を広げていくためには、ある程度それを積極的に倒していく必要が出てくる。
ストーリーは今までにないものとなっていて、主人公アドルが作中二人登場する。そして物語が進むともう一人のアドルを操作することになるが、こちらの方は戦闘がほとんどできず、基本的に罠を回避してどのように進めていくかが重要となる。
技とかは使えないため、ゲーム中の爽快感はほとんどなく苛々すると言われても否定はできない。彼が何者なのか、彼はこれからどうなるのかと言った演出的な面では私はかなり好きだったが、罠とかで即死とかになることもあり、かといって爽快感ある技も使えないので、まどろっこしい気分にもなる。そして一回だけでなく何回も彼を操作することになるから尚更。
直球のオープンワールドゲームを目指した『Ⅷ』に比べ、基本は同じながら本作は今までのシリーズにない、かなり変化球で攻めている作品である。街が舞台だからどうしても閉じ込められている気分がするし(そもそも街バルドゥークは「監獄の街」と呼ばれる)、全体的に雰囲気は暗い。キャラも異世界系(「なろう」系)的な要素が多いからそれに拒否反応を示す人もいるかもしれない。
ただ私はキャラデザは本作の方が好きだし、『Ⅷ』の二番煎じにならぬよう色々面白い試みをしたのも評価できる。『Ⅷ』が好きだったらぜひ『Ⅸ』もプレイしてみて欲しい。
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