建設DX展@東京ビッグサイト イベントレポート
こんにちは。ANDPAD ZEROの髙橋です。
いつもANDPAD ZEROのnoteを読んでいただきありがとうございます。
ANDPAD ZERO note vol.5にて建設DX展@大阪についてご紹介しましたが、今回は東京編です。
2022年12月5日~7日に東京ビッグサイトで開催された「ジャパンビルド-建築の先端技術展-」という大規模展示会内の1つの企画展「建設DX展」についてレポートします。
建設DX展 レポート
来場者速報
12月8日に主催者より発表された来場者数速報によれば、「ジャパンビルド」全体での3日間合計の来場者数は30,763名で、先日のインテックス大阪の来場者数の2倍以上だったとのこと。出展社数も、大阪での展示を大きく上回る約400社以上の企業が出展しました。
私も、会期中2日目の12月6日に会場に足を運びました。
ここからは、会場の展示の中から、特に興味深かった展示をご紹介します。
株式会社 STUDIO55
「Support Your Design!」と掲げられたスタイリッシュなブース。
STUDIO55のブースをご紹介します。
STUDIO55は、CG、VR、BIMといったデザイン領域を主とする企業。海外の先進的なプロダクトの代理店としても事業活動をしています。
今回のブースでは、メタバース空間をウォークスルーすることができる「shapespark」や、ArchicadやrevitといったBIMソフトのリアルタイムレンダリングができる「enscape」などのソフトウェアが紹介されました。
「shapespark」は、住宅や建築の中にまさに自分がいるような感覚になれる、メタバースのような空間を提供するソフトウェアです。WEB上で手軽に動かすことができるだけでなく、壁や床などの素材や家具・什器などのインテリアパーツを瞬時に選択できるスイッチオブジェクト機能なども有しているとのこと。デモ動画では、アバターを使って仮想空間を自由にウォークスルーする様子が紹介されました。
「enscape」は、ArchicadやrevitといったBIMソフトのリアルタイムレンダリングができるソフトウェアで、その使いやすさと速さに定評があるとのこと。ごく短時間でレンダリングされたデータが書き出せるため、複数パターンのデザイン検証にも手間がかからずに使える、と紹介されました。
メタバースのような空間を手軽に案内できる「Shapespark」は、瞬時にデザイン変更もできるため、住宅の仕様決めなどに際して、施主と施工者の共通認識を高めるためにも活用されているようです。図面やプランボードでの説明よりもずっとわかりやすく、イメージを持ちやすいと感じました。今後ますます需要が高まっていくソフトウェアなのではないでしょうか。
KDDI 株式会社
大きなドローンの実機が目をひくブース。
続いてはKDDIのブースをご紹介します。
KDDIのブースでは、「どこでも・素早く・広い範囲」で通信エリアを開設できる「Satellite Mobile Link」、KDDIの関連会社であるKDDI Smart Droneによる充電ポート付きドローン「G6.0&NEST」が紹介されました。
「Satellite Mobile Link」は、島嶼部や山間地域において通信エリアを確保するためのプロダクト。コンパクトな設計で、短期間で設置することができるそうです。清水建設が日本初で同ソリューションを採用したことが12月5日に発表されました。導入した現場周辺は、携帯電話の通信エリア外で、通信可能なエリアまで10分かけて移動する必要があるとのこと。今回「Satellite Mobile Link」を導入することで、作業効率向上が見込める、とされています。
「G6.0&NEST」というドローンも、こうした通信エリアが整うことで活躍される機器とのこと。通信とドローンの両輪でプロダクトを展開していることが紹介されました。
建設DX展の会期が始まった12月5日には、ドローンをはじめとした無人航空機の「有人地帯の目視外飛行」(レベル4)を認める改正航空法が施行されました。また、「無人地帯での目視外飛行」(レベル3)についても、必要な認証などがあれば、個別の許可承認なく飛行できるようになりました。
都市部から離れていても、人が居住し、交通があるのであれば、土木工事・建築工事はつきものです。そうした場所だからこそ、建設DXが必要ですし、こうした通信機器やドローンといったプロダクトも大いに活用されるべきだと思います。
コベルコ建機 株式会社
鮮やかな緑のブースに設置されたコックピット。
続いては、コベルコ建機のブースをご紹介します。
コベルコ建機のブースでは、12月5日に公表されたばかりの建設機械の遠隔操作サービス「K-DIVE」が紹介されました。
実際にビッグサイトにコックピットの実機が展示され、神戸・広島両市の現場にある重機の遠隔操作のデモンストレーションが行われました。現地のスタッフと連携をとりながら重機を操作し、バックホウで土砂を移動する様子を見ることができました。
「K-DIVE」は、月額性のサブスクリプション形式の契約とのこと。コックピットの設置や現場の建設機械の運転席へのプロダクトの設置に加え、現場を安全に遠隔モニタリングするためのカメラやセンサー、通信機器の設置もパッケージに含まれます。また、遠隔操作から得られた稼働データも確認可能だそうです。
遠隔操作にあたって、特別な資格が必要と思いきや、担当者の方によれば「建設機械の免許さえあれば、追加の資格は必要がない」とのこと。会場に設置されたコックピットの画面モニターには、運転席からの前方映像のみならず、現場に複数配置された俯瞰視点からのカメラ映像も同時に確認することができ、安全な環境が担保されていることが確認できました。
10月には、都内で「e建機チャレンジ大会」という、ゲーム感覚で遠隔操作のスキルを競うイベントも開催されたとのことです。
コベルコ建機のブースを拝見し、建設機械のオペレーターは、遠隔操作を用いれば、誰でも、どこからでも、安全に操縦できるものとなっていることがわかりました。老若男女にとって、身近にチャレンジできる職種になる日もすぐそこまで来ているかもしれません。
ローカスブルー 株式会社
「AIによる点群の自動分析」という、まさに最先端の技術に来場者も興味津々。
続いて、ローカスブルーのブースを紹介します。
ローカスブルーのブースでは、旧社名でもある、オンライン点群処理ソフトウェア「ScanX」が紹介されました。本ソフトウェアは、国土交通省が実施した令和3年度i-Construction大賞にて国土交通大臣賞を受賞した製品でもあります。
点群データと聞くと、「高機能なパソコンが必要」「難しい機能」と思いがちですが、ScanXの製品は、ごく一般的なパソコンとインターネットがあれば、サクサク動き、簡単に操作できるとのこと。自動フィルタリング機能やクラス機能により点群処理を容易にしたり、遠隔で閲覧・編集が可能な点もユーザーから定評があるそうです。
起工時の測量や河川工事における度量計算に点群データが用いられるケースもあり、難しい地形であればあるほど、その省力性が発揮されるといいます。今年度から社名をScanXから変更したローカスブルー社。今後の新たなプロダクトにも期待したいと思います。
TMES 株式会社
特別セミナーブースに集まる来場者たち。
続いてはTMESのブースをご紹介します。
TMESのブースでは、施設運営維持の省人化課題の「日常の巡視点検」をスマート化させる「Yomi0(ヨミレス)」の製品展示や、クラウドサービスで巡回点検を効率化させる「LiLz Gauge(リルズゲージ)」が展示されました。ブースにて随時実施されるセミナーでは、Yomi0とLiLz Gaugeを機械室に導入した事例の紹介が行われました。
「Yomi0」と「LiLz Gauge」は、人による施設の五感点検(熱、匂い、異音、外観目視など)の効率化や省人化を図る、無線センサ製品群・クラウドサービスです。
「LiLz Gauge」のカメラは屋内外どこでも設置でき、1日3回の使用でバッテリーは3年保つ仕様。防水防塵であり、専用のルーターを噛ませればいつでも写真撮影が可能に。「電池が長持ちして定点観測ができる」というのがこれまでのカメラになかった特徴です。
「Yomi0」も併せて導入することで、日常の巡視点検の所要時間の低減のみならず、クラウドデータのCSV書き出しやAPI連携による台帳記入の省人化ができ、浮いた時間で他の作業の品質向上につながると紹介されました。
またブースセミナーで紹介された事例では、某所(延べ床面積:約70,000㎡)での製品導入検証によると、イニシャルコスト+ランニングコストで半年の施設運営維持管理費が6,000万円から3,400万円へ削減できた事例が実ケースとして紹介されました。現場への導入効果は環境や用途によりますが、参考値として半年でここまでの削減を実現できた事例として、大きな省人化と経済効果があると言えるのではないでしょうか。
施設運営維持に関する国土交通省の調査データによれば日常の五感による巡回点検の中で最も人員が割かれるのは目視点検であり、目視点検の割合は巡回点検全体の80%を占めると言われています。点検業務のスマート化はまさに喫緊の課題であり、TMES社とLiLz社のようなプロダクトの需要が高まっていることが分かりました。現在は防爆対応のLiLz Gaugeも開発中ということで、さらなる建設DXの加速が予想されます。
株式会社 アンドパッド
最後は弊社、アンドパッドのブースをご紹介します。
アンドパッドでは、前回に引き続き、現場の効率化から経営改善までを一元管理できるクラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」、設計・現場業務をより便利・円滑にする「ANDPAD図面」「ANDPAD検査」「ANDPAD黒板」、電子受発注システム「ANDPAD受発注」、営業進捗から売上・原価まで、経営を支える情報をひとつに集約する「ANDPAD引合粗利管理」などの製品を出展しました。
ANDPADは工務店のためのサービス、というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、会期中のブースには、ゼネコンのDX部署の方が足を運んでくださることも多かったそうです。黒板機能、図面機能、チャット機能など、ゼネコンの現場での活用イメージを持っていただけたのではないでしょうか。
また、来場者の中には、アンドパッドで10月・11月に実施したオンラインセミナー「ANDPAD ONE CONFERENCE 2023」を見て実際に足を運んでくださった方もいらっしゃったとのこと。こうしてアンドパッドに興味を持っていただき、対面でお話ができることは、とても貴重で有難いことだと感じます。来場者の皆様ありがとうございました!
さいごに
建設DX展@大阪につづくレポートいかがでしたでしょうか。
私が訪問した6日は、最低気温が4℃とすごく寒い一日でしたが、会場内は人で賑わい、建設DXに関する様々なプレーヤーのビジネス拡大、DX推進への意欲を感じました。
ANDPAD ZEROのnoteではこれからも、建設DXに寄与する取組みやプロダクトを紹介していきます。どうぞご期待ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?