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建設DX展大阪 イベントレポート

はじめまして!ANDPAD ZEROの髙橋です。
ANDPAD ZEROでは研究開発室に所属しており、のちほど紹介する前職経験も活かしながら、GR領域(*)、公共政策領域などを担当しています。
*GR:ガバメント・リレーション

私からは、9月末に大阪で行われたばかりの建設DX展のレポートをお届けします。最先端の技術・プロダクトに関する興味深い展示がたくさんありましたので、ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです。

自己紹介

まずは自己紹介になります。
前職は、国土交通省に勤めていました。8年ほどの行政勤務の中で、省庁横断的な防災・減災、国土強靭化の省内総括から、地方の道路インフラ維持管理まで、1~3年毎のスパンで6部署を経験しました。省庁から関連機関・企業への出向制度もあり、スーパーゼネコン、国際協力機構(JICA)、中国・北京の日本大使館でも働いていました。

その後、2022年7月からアンドパッドへジョインしています。
アンドパッドでは、アンドパッドが建設業界におけるカテゴリーリーダー・プラットフォーマーを目指していくための取組みのひとつである建設DX研究所の企画・運営や、建設業界の様々な立場の方々との勉強会の企画・運営などを担当しています。
実は、このANDPAD ZEROのnoteも私が運営していますので、ぜひ応援よろしくお願いします!

それでは早速、今回のテーマ「建設DX展」のレポートにうつりたいと思います。

建設DX展レポート

建設DX展とは、2022年9月28日~30日にインテックス大阪で開催された「ジャパンビルド-建築の先端技術展-」という大規模展示会中の1つの企画展です。
特に建設DXにフォーカスした、企業間の商談のための展示会であり、大阪で過去最多となる約200社が出展しました。

私も、会期中2日目の9月29日にお邪魔してきました。

来場受付ブース

10月4日に主催者より発表された来場者数速報によれば、「ジャパンビルド」全体での3日間合計の来場者数は13,410名で、この数字は過去最多来場者数を記録した前年の25%増とのこと。
少し肌寒い一日だったのですが、会場に入るとたくさんの人とすごい熱気で、建設業に関わる様々なプレーヤーのビジネス拡大、DX推進への意欲を感じました。

ここからは、会場の展示の中から、特に興味深かった展示をご紹介します。

株式会社 アンドパッド

壁も床の鮮やかな赤が目をひくブース。手前味噌になりますが、まずは弊社アンドパッドの出展ブースについてご紹介します。

アンドパッドブース

アンドパッドでは、現場の効率化から経営改善までを一元管理できるクラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」、設計・現場業務をより便利・円滑にする「ANDPAD図面」「ANDPAD検査」「ANDPAD黒板」、電子受発注システム「ANDPAD受発注」、営業進捗から売上・原価まで、経営を支える情報をひとつに集約する「ANDPAD引合粗利管理」などの製品を出展しました。

ANDPAD 受発注

経営者、管理職の方々からは、事務や経理の方々も含めた会社全体での業務効率化・建設DXのために、「ANDPAD受発注」「ANDPAD引合粗利管理」について多くの関心が寄せられました。

この背景には、来年10月から始まるインボイス制度や、再来年の労働基準法改正に向けた残業時間削減が大きく影響しているようで、業界全体の時代変化への対応に危機感を感じていらっしゃる方も多いように見受けられました。

「いざそのタイミングがきてからでは、準備が遅かった…」とならないよう、今年のうちから準備を始めよう、という意識が着実に高まってきていると言えそうです。

株式会社 竹中工務店

シンプルながらも、目を引く印象的な立体模型とプロジェクションマッピング。
続いては竹中工務店のブースをご紹介します。

竹中工務店ブース

竹中工務店のブースでは、建設現場の仮設分電盤にネットワーク(無線LAN)環境を構築することができる「TSUNAGATE」や、ビーコンやGPSなどを用いて高所作業車やフォークリフトの使用管理を行う「位置プラス」といった現場DXに寄与する製品紹介や、都市の3Dモデルを活用した人のにぎわい・ビル風・生物多様性保全に関する研究紹介などが行われました。

TSUNAGATE

「TSUNAGATE」は、建設現場での電力供給に使われる仮設分電盤がいわばWi-fiスポットになるというイメージ。クラウド型製品やICTツールのために個別に通信用配線を用意する必要がなくなり、建設現場におけるIoT化の実現が可能になるとのことです。

実際に、今回の「建設DX展」では様々な展示ブースで「クラウド化」「IoT」といったインターネット環境を前提とした製品が多く紹介されていましたが、地下、トンネルにはインターネット環境が整っていない箇所も多くあります。この「TSUNAGATE」は、今後の建設DX、他社の製品との親和性も高いと感じました。

また、人のにぎわいやビル風にくわえ、「鳥害対策」のシミュレーションにも都市3Dモデルを活用し、新建物の立地や設計を最適化しているとの話もとても興味深かったです。担当者の方は、大学時代から「鳥類の行動生態」を専門とされているそうで、建設DXの世界は様々なプロフェッショナルに支えられていることも実感しました。

野原ホールディングス 株式会社

「Build App」という、まさに建設DXらしいサービスネーミング。フロアの模様に沿ってつい立ち寄った人も多かったことでしょう。
続いては、野原ホールディングスのブースをご紹介します。

野原ホールディングスブース

野原ホールディングスのブースでは、全面的に「Build App」というサービスが紹介されました。
「Build App」は、設計・積算、生産、流通、施工管理、維持管理というすべての建設プロセスにおける、BIMを起点としたデータ活用サービス。設計や施工の手間・手戻りをなくし、生産・流通を最適化することで、コスト削減と廃棄物・二酸化炭素削減に貢献するものです。

今回のブースではその中から特に、Build App内装(BIM-プレファブ・プレカット)、Build App 建具(建具施工図自動化・建具BIM生産連動)について紹介されました。

BuildApp内装

Build App内装(BIM-プレファブ・プレカット)は、BIMデータに基づき精密にプレカットされた建材をQR識別コード付きで現場納品するサービスです。QRコードには、詳細な施工場所の指示などが埋め込まれており、施工後にはタブレットのAR技術も併用することで、図面通りの施工ができているかの確認もできるそうです。現場加工がなくなることで、品質のブレがなくなるだけではなく、安全性、効率性も上がるとのことでした。

Build App建具は(建具BIM-工場生産連動)は、建築BIMデータから、建具の製作図・製造バラ図を自動作成するもの。従来型のプロセスでは9か月かかっていた製作納期を、4か月に短縮することが目標とのことです。特に、現状は製作図のゼネコン承認に時間を要していますが、BIM、加工バラ図CADを連動させることで大幅な短縮を実現できるとのことです。

今回紹介したBuild App内装・建具のみならず、野原ホールディングスが提供するBuild Appのサービスすべて(設計・積算、流通、施工管理、維持管理)が相互に作用しあい、建設プロセス全体をDXしていく未来像は、我々アンドパッドも目指すところではあります。今後は、二酸化炭素の排出削減にも寄与し、政府が目指すカーボンニュートラルにも大きく貢献しそうです。

ESRIジャパン 株式会社

「GISがもたらす建設DX」「シェアNO.1地図情報システム」と謳う緑と白のブース。
米国ESRI社の国内総代理店であるesriジャパンのブースを紹介します。

ESRIジャパンブース

ESRIジャパンのメインプロダクトは、あらゆる業務に地図を活用し、最適な意思決定を実現する GIS プラットフォーム「ArcGIS」。

愛媛・松山の道路建設における「ドローン遠隔臨場」や、荒川流域の「河川設備のBIM/CIM管理」、荒川周辺地域の「3D 河川管内図および 3D 洪水浸水想定区域図」といったプロジェクトに、ArcGISが活用されていることが紹介されました。

3D 河川管内図および 3D 洪水浸水想定区域図

今回の展示会の多くが建設業従事者向けの展示であった中、「 3D 河川管内図および 3D 洪水浸水想定区域図」は一味違い、流域周辺の一般の方々に対するサービスの紹介でした。荒川周辺の建物・住宅などが、いざという時にどのくらい浸水するかを分かりやすく示すもので、地域の方々の防災意識の向上に役立っているとのこと。

建設DXは、建設業従事者のためであることはもちろん、建設後の建物や地域、街全体で過ごす全ての人々のためのDXでもあると再認識しました。

株式会社 セラフ榎本

こちらは番外編。建設DX展の隣で開催されていた「スマートビルディングEXPO」の中から、セラフ榎本のブースを少し紹介します。

セラフ榎本ブース

セラフ榎本は、昭和38年創業のマンション大規模修繕工事をメイン事業とする建設業企業で、今回のブースでは、外壁調査DXのためのAI×ドローン活用が紹介されました。

かつて昭和・平成と、長年マンション大規模修繕工事には、目視調査や打診調査、それを実施する職人の経験、知見、感覚、また、足場設置の費用・期間など、様々な人・モノが必要だったけれど、それが今ではドローンやAIで大幅に改善されているとのこと。この時代変化から培った経験を糧に、ドローン・AIを自社の武器として新たなステージで活躍されているということがとても印象的でした。

さいごに

今回ご紹介したブース以外にも、大成の「ビルメンテナンスロボット」、応緑の門扉DX「ハイスペックゲート」、RENDRAのBIMツール「Stream BIM」、助太刀の工事会社・職人間の出会いサービス「助太刀」、インフォマティクスのAR/MRシステム「GyroEye Holo」などなど、ご紹介したいブースがたくさんありました。
また、併設ブースでは、行政関係者や有識者などによるセミナーも実施されており、学びが多くありました。

来たる12月5~7日には、建設DX展<東京展>が東京ビックサイトで開催されます。さらにたくさんの企業・ブースが出展するようですので、こちらもチェックしてみてください。

ANDPAD ZEROのnoteではこれからも、建設DXに寄与する取組みやプロダクトを紹介していきます。どうぞご期待ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。




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