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ゼネコン領域におけるPMFについて

こんにちは、ANDPAD ZEROの曽根勝(そねかつ)です。
今回は、アンドパッドで私が担当している、地場ゼネコン領域でのプロダクト・マーケット・フィット(PMF)という業務についてご紹介します。

プロダクト・マーケット・フィット(PMF)とは

プロダクト・マーケット・フィット(以下、「PMF」)とは、特定のセグメントにフィットするユースケースとプロダクトの組合せを導き出す業務のことです。

建築業界と一言で言ってもセグメントごとに、ユースケースや最適なプロダクトがまったく異なるため、それぞれのセグメントの顧客と並走し、深く会話していくことが重要な業務になります。

PMFを行う上で重要なこと


あるプロダクトをPMFしていく際、以下の(1)~(3)を繰り返し行っていきます。
(1)MVP(ミニマム バイアブル プロダクト*)を構築して、特定の顧客に試験的に利用していただく
(2)MVPを利用していただく顧客を限定的に増やしつつ、機能を検証する
(3)利用した顧客からのフィードバックを基に改善し、再度利用していただく

 *ミニマム バイアブル プロダクト:ユーザーに価値提供できる必要最小限の機能のこと。通称、MVP。

上記の(1)~(3)を何度も繰り返して改善を行うことで、顧客に受け入れられる(=マーケットにフィットした)状態にプロダクトを成長させて、晴れてPMFの達成となります。

ゼネコン領域でのPMFについて

ここからは、ゼネコン領域におけるPMFについてお話しします。

住宅領域である程度普及した機能をゼネコン領域にも普及させようとした際に、「住宅領域では通用したのに、ゼネコン領域では思うように通用しない」ということが多々あります。

なぜ通用しないのかというと、マーケットにフィットしていない状態のプロダクトを提供している状態、つまりPMFができていない状態だからです。ゼネコン領域でのPMFの過程を、『ANDPAD 黒板』を例に挙げてご紹介します。

なぜ使えないのかを知る

ゼネコン領域のお客様にとって重要な機能のひとつに、「電子黒板」という機能があります。現場で写真撮影する際に、従来は黒板を手にもって撮影をしていましたが、「電子黒板」があればスマートフォンの画面上に黒板を配置でき、撮影がとても楽になります。

2022年初旬にアンドパッドが提供していた電子黒板機能は「写真撮影時にスマートフォン上で黒板を作成できる」というシンプルな仕様でした。この電子黒板機能をゼネコン領域にPMFさせるべく、特定の顧客に試験的に利用していただいたところ、「ゼネコン領域での使いづらさ」が課題としてあがってきました。

ゼネコン領域で使いづらいポイントは大きく3つ挙がりました。
①前もって黒板を作成しておけないこと
②黒板付き写真を台帳にまとめる際に、台帳に黒板内容が転記されないこと
③電子黒板に、構造図の配筋リストなどの画像を登録できないこと

上記の3点が挙がった背景を、ゼネコンにおける従来業務と照らしあわせてみます。
①躯体工事時の配筋写真を撮影時に黒板を利用することが多く、複数個所を撮影することが予め分かっており、前もって複数の黒板を準備していた
②写真台帳作成時は大量の写真を黒板内容を確認しながら写真を選択し、並び替え、黒板内容を写真の横に記載していた
③構造図の配筋リストを黒板上に記載することが一般化していた

顧客との会話の中で、従来の業務の方法をしっかりと確認し、なぜ使えないのかをより詳細に落しこむことで、本質的な課題を理解します。

MVP機能を実装し、顧客に利用していただく


PMFにおける課題がわかれば、次はどのように解決していくかを考えます。
利用していただくには、以下の3つの課題をクリアする必要があります
①事前の黒板作成
②写真台帳の作成時に黒板内容を自動転記できること
③構造図の配筋リストなどの画像を黒板上に記載できること

アンドパッドでは、上記の課題のうち、①と②を先に取組み、③は順次取り組むという優先順位で機能の実装が行われました。優先順位をつけた理由は、他の領域でも①②の改善は汎用性が高いと考えられたためです。

では、③が改善されるまで、ゼネコンに使っていただけないのか?というとそういうわけではありません。①②に機能が実装した段階から利用企業は増加しました。

理由としては③が必ず必要というわけではなく、黒板の内容が適切に表記出来れば良かったためです。言い方を変えると、「あればより良いという機能」だったからです。

PMFの初期段階では、「絶対に必要な機能」と「あればより良いという機能」を見極めることが重要で、最小限の機能で利用していただくことが大切となります。私自身、数十社の顧客に対して「③は必ずしも必要ではない」という点を説明していきました。その中から、1社、2社と試験的に利用していただける顧客を見つけていくフェーズでは、難しさも痛感しました。

フィードバックをいただき、改善する


1社、2社と、実際に顧客に「電子黒板」を試験的に利用していただきはじめたフェーズでは、実際の使用感について、現場の具体的な業務のフィードバックをいただくことが重要になります。

実際に使っていただいている現場監督の方は、ゼネコンの多くの場合、本社に赴いてもお会いすることはできません。工事現場に常駐していることが大半であるからです。

私も、このフェーズでは、現場に何度もご訪問させていただきました。訪問を重ねるなかで、よりよいフィードバックをいただき、改善を繰り返すことができるようになりました。また、ANDPADのファンになって期待してくれるお客様も増えていくことも実感しました。
顧客に向き合うことでリアルを知り、プロダクトを成長させる上で最も重要なことを知ることが出来たフェーズです。

電子黒板機能の改善を繰り返すことで、今期ゼネコン領域の顧客は増加してきています。これからも、より使いやすく痒い所に手が届くプロダクトへ成長させるべく、顧客と向き合い、「新たな課題を見つけては解決をする」というプロセスを繰り返していきます。

終わりに

今回はゼネコン領域のPMFの1つである、黒板機能に絞ってお話をさせていただきましたが、ANDPADには「図面」「検査」「チャット」「報告」などの機能もあり、複数のプロダクトを同時並行でPMFを行い、進化させています。今後ともANDPADの機能アップデートをご期待ください。

以上、ANDPAD ZEROの曽根勝がお送りしました。


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