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10年前の絶望している私へ

こんにちは。これからどうなるか、もしかすると明日死ぬかもしれない恐怖と戦っている私に、当時知りたかったことが10年後の今、ようやくわかってきたのでお手紙を書いています。

そういえば、風邪、結構つらかったよね。病院行くほどだったんだから。風邪なんてよほどこじらせないと病院いかないもんね。先生に風邪薬が欲しいことと、そういえば、会社の健康診断で「何か」がひっかかって再検査になったから、また来るって言ったら、すぐに健診結果もってもう一回来いって言うから、風邪で辛いのに何で…と思いながらもちゃんとその日のうちにもう一回病院に行ったのは、たぶんこれから先10年の中でも1位2位を争うファインプレーでした。

結局そのあといろんな大きな病院に行って、左室緻密化障害と、拡張型心筋症という病名がついて。気が付いたら入院することになって、障碍者手帳のしかも1級を取得することになって…
拡張型心筋症なんて聞いたことがないから、入院中インターネットで調べたら、5年生存率が80%以下しかないとかって。5年以内に4分の1の確率で死ぬかもしれないと思うと、急に寝るのが怖くなっちゃった。だってパワプロのケガ率25%はほぼ100%だからね。

でも、伝えたいことがあります。10年後の2023年、あなたはまだ生きてるし、幸せです。あれから10年、医学の進歩は凄まじく、新しい薬が承認されています。初めて処方された薬と今飲んでいる薬は全然違います。今までの薬は、どちらかというとこれ以上悪くさせないように…という守りの薬。今飲んでいる薬はもちろん心臓の機能も守りつつ、ちょっとでもいい状態にするように攻めの治療を行っています。2か月に1回は大学病院に通院しないといけないけど。今の主治医はすごくいい先生です。毎回新しい発見があります。自分の病気を勉強してわからないことを先生にきくと的確に教えてくれます。

ちょっぴり残念なことに、「まだ」あなたの病気は完治しません。でも、私はもう死ぬことを恐れていません。まぁもう少しすれば治るかもしれないし。

ちょっと見栄を張ったけど、まだたまに、寝るのが怖いときはある。でも、幸いなことに、実は結婚もして、2人の子供にも恵まれてます。別れを覚悟してると思うけど、大丈夫、その手は離さないでちゃんと握ってて。
あなたのパートナーはあなたの病気を理解してくれて、あなたを支えてくれます。あなたの子供たちはあなたのことを尊敬してくれて、あなたを笑わせてくれます。あなたの家(あ、家も買いました)には笑顔があふれています。家族と一緒に幸せな時間を過ごしています。大丈夫、あなたには家族を幸せにすることができる価値がある。

あと金銭的な心配はあまりいらないかも。今の年収は10年前の倍になってます。病気が原因で仕事を辞めて、障碍者枠で入社した会社で、なんでここまで成功できるか。頑張ったからだよ。すごい!褒めます!よく頑張った!

でも、10年前の絶望している私にはこんな未来は想像できませんでした。自分の病気や生活に囚われて、自分の可能性を見失っていました。自分が思っていることや調べたことが正しいと思い込んで、他の視点や情報を受け入れられませんでした。あなたは自分の限界を決めて、自分の成長を妨げていました。

私が知っておけばよかったキーワードはこれ。
1.自分の思い込みにとらわれないで。もっと楽観的に。
2.調べたことが正しいとは限らないし、決まっていることは何一つない、すべては変えられるということを忘れないで。
3.今まで通り、いろんなところに首を突っ込んで、いろんな人と話して、いろんな経験をすることに時間やお金を使って。

私は愛されていて、一人じゃない。だから安心して。

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