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ニュース✔︎:316福島県沖地震被害、 ハンフォードその後

先日の東京電力と東北電力管内での電力不足は、かろうじて回避されたようですが、当座は不安定な状況が続く見込みとのことです。

何年もずっと指摘されてきた問題を、世論が危機感をいだくまでずっと座視し、危機的状況になって大騒ぎしはじめてやっと対応するということが、日本では常態化しているわけですが、これは政治主導の弊害でもあるのだろうと思います。

世論がすべての問題に目配りできるはずはなく、裏方として粛々と実務対応を進めていかなくてはいけない課題はごまんとあるなか、もともとの日本人の変化を嫌う保守的な気質、そこに組織の硬直性とことなかれ主義と権威主義がはびこることによって、万事が万事、政治的に大騒ぎになってから対応をはじめるという、非常にコスパが悪い状況になっていると思います。

あらゆる課題について、こうなればこうなるという筋論を担当部局がするのではなく、マスコミやソーシャルメディアで世論を喚起しなければ動かない、って、あまりに非効率的だと思いませんか。そもそも、世論を喚起して前進することは稀ですし、政治的な課題になると、政治アピールや利権やメンツのために捻じ曲げられることが大半で、適切な対応が取られたとしたら、運がよかった、という次元ではないでしょうか。

316福島県沖地震 住宅被害の全容つかめず

16日に起きた福島県沖地震は、宮城県南部から福島県北部にかけての被害が非常に大きいようです。いわきも揺れはしたものの、日常生活に大きな影響が出るほどではなかったため、県北の状況を見ると、別次元の被害になっていると感じています。

特に懸念されるのは、相当数の一般家屋に被害が出ている様子のことで、公共施設やインフラは予算をつけてどうにかできるかもしれませんが、個人住宅の場合、再建できなくなる世帯が相当数でるのではないかと思われることです。
2011年の東日本大震災のあと、昨年2月の福島県沖、そして今回です。これまでの修復で蓄えを使い果たした世帯も少なからずあるでしょうし、使い果たしていなくとも、そのぶん入り用になっていることには変わりないでしょうから、相当にしんどいだろうと感じています。

県外の方から、福島県内の人はみんな賠償をもらっているんだろうと思われている節もあるので、念のために書いておきますが、避難区域に該当した地域以外の一般世帯だと、賠償はほとんど出ていません。(それ以外は、事業については業種によりけりです。)
避難区域でも、津波の被害にあった世帯だと、原発事故の被害を受ける前に津波で家屋は破壊されていた、ということで、家屋は賠償対象にならなかったとか、賠償は制度的に相当に入り組んでいて、誰がもらっているとかもらっていないというのは、よっぽど詳しくないとわからないのですが(地元の人も、大半はわかってないです)、今回被害が大きかった地域は、大半は賠償が出ていない地域です。

福島第一原発の格納容器水位低下

福島第一原発の一号機の格納容器の水位が低下し、注水量を増やしているとのことです。事故によって溶融した核燃料を冷却するために、水を注ぎ続けなければならないのですが、事故によってダメージを受けている格納容器(外側の入れ物)が、経年劣化と相次ぐ地震によって亀裂などが広がり、水がどこからか漏れ出している、ということかと思います。

漏れ出しているということは、核燃料を冷却した高濃度の放射性物質を含んだ「汚染水」が周囲に漏れているということになりますので、よろしくないことだと思います。
現在、海洋放出すると問題になっているタンクに保管されている水は、基準は超えているものがあるとは言え、放射性物質を除去する処理はしてあります。
格納容器から漏れ出している水は、そうした処理ができていないことになりますので、こちらはまったく違う話になります。

スティーブ&ボニー その後

2017年にアメリカのハンフォードを訪れた時の体験記を、noteに「スティーブ&ボニー」というタイトルで連載して、それを一冊の本にまとめたいと思って書き直しているのですが、やっぱちゃんと背景調べなくちゃね、と思ったら、ちょっとドツボにはまってます。

地元のワシントン州立大学がとても良い調査をして本を何冊も出していて、それがとってもいい内容なんです。

ハンフォード・サイト以前の暮らしについて、かつての住民のオーラル・ヒストリーによって描き出しています。またこの本の感想は別に書くかもしれませんが(書かないかもしれませんが)、故郷喪失の経験というのは、文化を問わず、世界的にも大きな共有されるトラウマ的なできごとになっていることがよくわかります。
そして、人びとの生活と社会心理にもたらした深い影響に対して、これまであまりに見過ごされてきたことである、とも思います。

これは、福島が今後もかかえ続けることになる問題で、こうした先行例から先取りして、対応を考えていくことはできるのだろうに、と思っています。

現在のハンフォードでは、マンハッタンプロジェクトによって立ち入り制限されていた土地も少しずつ解放され、それをどのように活用していくかといったことも、官民で話し合いながら進めていっているようです。
お上が決めた、どう考えてもうまくいかないだろう、という机上のプランに黙って従えという日本とは違うなぁ、と思って眺めています。
もちろんアメリカも課題は多いのですが、少なくとも、ハンフォード周辺では、核施設閉鎖以降、現在までのコミュニティの状況については、いい流れになっているように見受けられます。

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