今月のひと駅-2023年7月
日暮里(京浜東北線)
にっぽり駅 東京都荒川区
明治38年開業
鉄道展望からまち歩きへ
西日暮里からまた、東北本線が合流してきて、今度は新幹線が掘割へと沈み始める。さらに左手からは常磐線と京成電鉄も急カーブを切って合わさる。
新幹線が地下に潜る直前、地上に広がる日暮里駅の構内は、京成線も含めて6路線、13もの線路がずらりと並んでひっきりなしに電車が行き交う。東口駅舎の裏から回りこんで構内を跨ぎきるという、珍しい動線の道路橋「下御隠殿橋」(しもごいんでんはし)は、国内でも有名な「鉄道ビューポイント」だ。
これほど地上に鉄道の集積する駅ながら、日暮里駅には東北本線の長距離電車も、京浜東北線の快速も停まらない。その一方で京成線は、JRと接続する拠点駅の位置づけ。構内の狭さを補うために大規模な改修が行われ、下り線を高架に押し上げて東口駅舎を重層化、さらに都の新交通の駅とも合体した。JRとしては母屋をとられたか、南北二つの橋上駅舎でおとなしく存在を主張する。
ここでも乗り換えの混雑ばかりが目につくが、東は生地屋の集まる日暮里繊維街、西は庶民的な商店街が人気の谷中(やなか)と、まちを歩くにも楽しいエリアであることを、もっと人々に伝える駅であってほしい。
【2015(平成27)年取材】
(駅路VISION第21巻・東京都心より抜粋)
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