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インタヴュー ウィズ オスプレイ ⑤

スピンオフ対談後編~キレさせたらヤバイやつ!

(前回に続き遠賀川のトビとカラスをゲストに…)

―やはりミサゴという鳥は、猛禽と呼ぶに当たらないほど、おとなしい性格とみられているのでしょうか。

カラス だってアイツら、二言目には専守防衛とか言いよるけどさ。要するに世渡りが下手なんよ。だけ、生存競争に弱いとちゃ。盗られたくなかったら、反撃すりゃいいやん。あのカラダやし。

トビ あ、オマエ知らんの? ミサゴだってキレること、あるんよ。

カラス ええ!それは知らん。少なくとも遠賀川でリベンジされたっちゅう話、聞いたことないが。

―私が取材しているミサゴも、キレたことはないと言っていましたよ。

トビ ウチのワールドニュースでやっとったけどさ、あいつら激怒したら、マジでやばいっちゃ。ウとかワシとか、自分よりでかいやつでも急降下爆撃をくらわすげな。

カラス マジっすか。怖っ!

トビ 何しろミサゴの脚は長いし、太いし、ものすごい爪しとうし。あんなので思いっきりミサイルキックやられたら、オマエなんか即死やぞ。

カラス 確かにトビさんの脚とは比べモンにならんくらい、迫力あるもんね。そっか、アンタらはひったくり専門やけん、かえって細身で小回り利いた方がいいんよね。

トビ ひったくりとは失礼な! あ、でも、人が手に持っとるハンバーガーの肉だけをかっさらう器用さは、自慢かな。

カラス それをひったくりと言わずしてなんと言う!

―まあ、話を元に戻して、そうことだと今度は反対に鳥類最強とも聞こえるのですが、ミサゴにも弱点はあると思いますか?

トビ それはね、鳥なら誰でも知っとうけど、ミサゴは地上を歩くのが苦手なんですよ。あの漁のために進化した脚が弱点でもあるわけで、俺らみたいに、てくてく歩くことができんのよね。歩けんからこそ、地上そのものが危険地帯と思っとうみたい。

カラス だいたい、大物を持ち上げられんで、地面で引きずっとるときとか、不安でしょうがない顔しとうもん。そういえば、翼を傷めて地上に下りたミサゴは、もう生きていけんっち、聞いたことあるよ。もはや動こうともせんらしいね。

トビ つくづく思うけど、今のこの時代、地上で暮らす人間との距離感をはかることこそ、子孫繁栄の基本ですよ。頼るべきときは頼る。どんな方法を使っても生き抜く。そういう臨機応変の発想が、ミサゴにはないんよな。地上に落ちたら最後、もう死を受け入れるしかないと思っとんやろ。それが武士道ならぬ「ミサゴ道」とかいうなら、構わんけどさ。生を全うするために何が優先か、ちゅう考え方は、鳥類それぞれに違うごとある。

カラス 確かにね。地上生活のノウハウについては、われわれカラスが最も進化している自負がありますよ。クルマを使って食材を下処理する調理法なんか、さすがのトビさんにもできんやろ。

トビ ウソ! 当たったら即死のクルマやろ。何に使えると?

カラス いちばん使い勝手がいいのは、アスファルトに殻付きの食材を置いて轢かせる方法。これをやってもらえると、食事がホント楽なんよ。豆類やクリ、貝なんかもおススメやね。

トビ へえ! さすがやね。俺は走っとるクルマに空中からぶつけるんかと思ったよ。

カラス そんなことしたら犯罪でしょうが!

―カラスさんの知恵には感服しますね。そういう方法は、カラス社会以外では、まだ知られてないのでしょうか。

カラス それがくさ、最近、結構いろんな鳥がこの方法を導入しよるんよ。スズメにドバト、あとハクセキレイも。この辺の連中が、クルマを怖がらんごとなって、俺らの仕掛けた食材にまで手を出しよる。それから冬になるともう一種、図太いのが来るんよ。シロハラね。

トビ あ、あのツグミの地味なやつな。アイツら、鳥インフルエンザの媒介鳥っちゅう噂があるけ、近寄りとうないっちゃね、悪いけど。

カラス そうなんよ。だけ、シロハラが物欲しそうに近づいてくると、こっちも気味が悪いっちゃ。しかも、人やクルマさえ避けようとせんっち、どういう習性しとんやろうね。

トビ それはそうと、最近ちょくちょく見るんやけど、オマエらからしたら、シロハラよりカササギの方が困った存在なんやない?

カラス よくぞ言ってくれました! 実をいうと、カササギっち、俺らより数倍アタマがいいみたいなんよ。乾きものを水で戻して食べやすくするとか、もはや「料理人」の域やもんね。こういう連中が幅を利かすようになると、あらゆる食材が狙われるようになる。トビさんだって気を付けんと。道具を使いこなすような輩やけね。

トビ そうか、ご指摘ありがとう。今のところはまだ、俺やミサゴをつけ回すような話は聞かんけど、スズメでさえそういう学習をしとるようやと、どんどん暮らしが世知辛くなりそうな気がするね。

―さて、そろそろ時間となりました。このあとまた、ミサゴにインタビューしますが、せっかくなので何か聞いてみたいことなどありますか?

カラス フグを食って死んだやつがおらんのか、聞いてほしいね。でたん気になるっちゃ。

トビ 最後にグローバルな私からカラス君へひと言。イマドキ、北九州の若者は「でたん」とか使わんよ。「めっちゃ」でいきましょうね。

―ありがとうございました。

(再びミサゴのインタビューへ。つづく)


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(発行・編集人:安藤進一)