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事業ってラッキーパンチで大きくなることもあるよね

最近、会社で「インフルエンサー施策を提案するのはいいと思うし大賛成だけど、お客さんが決裁するときに説明つかないじゃん。だから、”やってよかったね”とか”期待よりはパフォーマンス悪かったね"とかあとで説明できるように、数値で見せられそうな部分とそうでない部分を切り分けなよ」って話をしました。

2019年頃だったと思うのですが、ウィルゲートCMOの藤原さんがセミナーで「タピオカ屋さんが爆発的なブームになるとは誰も思ってなかったはず。だから、ウィルゲートも投資の10%はクレイジーROIを期待している」というようなことを仰っていたように記憶しています。
当時はタピオカブームの真っ最中でした。

WEBマーケティングって定量化しやすいからロジカルな人が勝ちやすいんだけれど、事業が急激にスケールするときあるいはシュリンクするときって、その瞬間は数値立てて説明できないパルプンテみたいな感じというか、無茶苦茶な掛け算が起きているんだと思います。

あとから振り返ったとき「こういう理屈だな」とか「ここの数値がハマってるんだな」って、いくらでも言えます。
でも、教科書になる頃にはみんなが同じ施策をやっているからCPAが高騰したり施策難易度が上がったりして、効果が出しきれないことも珍しくありません。

自社の事業を振り返ると、

  • 何もわかんなすぎて、ラッキーパンチでうまくいった例

  • 何もわかんなすぎて失敗した例

  • 堅調にやりすぎてスケールしきれてない例

  • 理屈がバシっとハマってうまくいってる例

こういうパターンがありました。

施策の成功確率や再現性を高めるための予習やヒアリング、振り返りは大事という前提ですけど、何が起きるかわからないからとりあえず言ってみる、とりあえずやってみるって大事だなと思います。

あと、大前提として片田舎の個人事業主だったし「自分の実力で市場なんて作れるわけないじゃん」って考えていたから、その点踏まえて読んでいただけると理解してもらいやすいかもしれません。

今回は自社事業の2つのラッキーパンチを振り返ってみました。

当時どんな考えでこれをやったかという点も包み隠さず書いています。手堅い動き方ばかりしてスケールできないなというときに読んでもらえると、少し役立つかもしれません。

ラッキーパンチ①:記事作成代行

自社の事業で一番最初にうまくいったのはWEBライティング記事作成代行サービスでした。

いまだに主力事業として会社を牽引しているし、これがなかったら続けられていません。独立時、周囲から「WEBライティングなんて儲かるの?」と散々言われたし確かに無計画でしたけど、何も考えてなさすぎてうまくいったなと思います。

年3,000万円受注するホームページ爆誕

2013年、以下のようなホームページを作りました。

2012年に作った初代ホームページ

このホームページ、「記事作成代行」というキーワードで1位を取っていたため、毎月5件以上の顕在化されたリードを獲得し、1年間で3,000万円以上の売上を作っていました
問い合わせいただく方は上場企業のグループ会社から個人アフィリエイターまでさまざまでしたが、個人事業主だった自分には十分すぎる成果です。

自社のコンテンツSEOが爆売れした理由

2013年といえば、ちょうど相互リンクやリンクファームサイトの利用がスパムでペナルティを受けており、バックリンク用の記事作成からコンテンツSEOに舵を切る業者が増え始めていました。

お恥ずかしながらそんなことは知らず、自分の気持ちは「流行ってるしちょっと文章上手に書けるし、なんとなくルール化できそうだからコンテンツSEO名乗っちゃおうかな」という状態からコンテンツSEOを始めました。
定義が決まっていない時期はこういうことってあるのかなと思います。

コンテンツSEOのピークは2016年ですが、2014年頃から以下のように盛り上がりを見せていました。

googleトレンド(2013~2023)

恐らく、うちの会社は「コンテンツSEOの時代に【記事作成代行】というキーワードで1位を取っているんだから、たくさんのノウハウを持っているに違いない」と見られれていたのではないでしょうか。
(さすがに思い上がりかもしれません…)

伸びそうな市場って、どれだけ設備や人員に投資したらいいかわからないし、どんなポジションの置き方をしたらいいかも予測できません。
だから、大手はある程度できあがった市場に参入したら資本力や組織力を活かして追い上げるんだろうし、スタートアップはそうなる前に全力でチャレンジして事業をドライブさせる必要があるんだよなと思います。

値決めとサービス内容はヒアリング

自分にとっては十分すぎるリードが来た理由は、恐らく「記事作成代行」1位を獲得したことだけではありません。

いまは記事単価とする会社も少なくないと思いますが、当時は1文字⚪︎円という計算方法が主流でした。当社の0.6円/文字は今の相場から考えると激安価格です。ただし、クラウドソーシングだと0.3円/文字前後で記事を依頼できたので、当時は相対的に見てやや高価格なサービスでした。

高価格でも毎月5件くらい受注できた理由は品質の差別化です

品質の差別化をしたかったというよりは、最初は仕事が来るか不安だったので「どうしたら買ってくれるか?」「どうしたら継続してくれるか?」という想いで、お客さんに徹底的にヒアリングしました。

発注してくれるSEO会社が何社もあったので話を聞いてみると、どこもコピーチェックに困っているようでした。

コピーチェックとは「他社サイトからパクっていないか?」というチェックです。某大手クラウドソーシングは60文字以上一致していないとコピペではないというルールだったので、うちは20文字以上はコピーと判定することをルールにしました。要するに、大手の3倍の検査基準だと思ってください。

キーワード含有率も意識したポイントです。当時のSEOは記事に⚪︎%のキーワードが入っているとよいという俗説(恐らく各社データがあるはずですが)があり、案件によってキーワードに関するルールも作っていました。

最初から完璧なサービスを作ってリリースしたいって人もいると思うんですけど、どうせ市場が出来上がってないんだし、リリースして試しながらお客さんと一緒に作っていけばいいと考えています

ちなみに、AIを使ったSEOライティングでも同じようなことが起きる気がするので少しずつやっています。

SIRIUSを利用した理由

SIRIUS(シリウス)というアフィリエイター御用達のSEOに強いhtmlテンプレートが流行しており、テンプレートを使ってホームページを制作しました。

いくつかテンプレートを調べましたが、なんとなく良さそうって理由ですぐSIRIUSにしました。少しでも順位が上がればラッキーだし、1,2件問い合わせが来たら回収できるし、ダメなら数日働けば返せるからいいやという金額です

SIRIUSは、購入者同士のネットワークを作って相互ではないけれど大量にリンクが得られるシステムなので、ペナルティを受けにくいという触れ込みでした。

ホームページの制作とSEO

奥さんがDTPをやっていたのでお願いしてデザインを作ってもらいました。

自分は中学校の授業でhtmlを習ってたし、大学卒業後はニートだったので職業訓練校に通ってホームページ作った経験(笑)を活かし、タイトルやメタディスクリプションはSEOを意識していました。

SIRIUSは基本的にアフィリエイターが使っていたサービスなので、脱毛や金融、ウォーターサーバージャンルは激戦だったようです。

まだバックリンクSEO(他のサイトから紹介してもらって上位を獲得する手法)がSEOの中心だったことに加え、記事作成代行業者もほとんどいなかったので当然順位は上がります。
結果的に、「記事作成代行」であっさり上位を獲得できました。

お金も社格もないからできたことですが、いいデザインを作ってからリリースしなきゃダメ、って考えてたらこうはならなかったと思います

ラッキーパンチ②:SEOアフィリエイト

SEOアフィリでは1年弱で600万円くらいの売上をつくりました。
どうやって稼いだかは以下のnoteで解説してます。

そして、SEOアフィリエイトで得たノウハウをもとに、事業会社様向けのSEOやCROがうちの主力事業として成長しています。

ちなみに、最近、コンテンツSEO施策の成果をお伝えするときに1ページ目ランクイン率60~70%とお伝えすると、全国レベルの事業者様からも「おおっ」と驚いてもらえます。
決してレベルが低いサービスではないと思いますし事業責任者の方が熱心にサービスを作り込んでくれているのですが、開始当初はここまでになるとは思っていませんでした。

目的は目先の収益よりサービスづくり

SEOアフィリエイトを始めたとき、まずは確実に勝てるジャンルから始めようと思いました。
いきなりウォーターサーバーとか脱毛に挑戦しても、相手が強すぎて勝てないと考えたからです。
自分の実力とかけ離れたことをやったって、何がよくて何が悪いか測れないじゃないですか。

だから、まずはニッチな趣味ジャンルからアフィリエイトを始めたいと考えました。

自分がSEOアフィリエイトを始めるときにコンサルしてくれる方がいたのですが、その方からは「そのジャンルだと毎月5~10万円くらいしか稼げないよ」と言われていました。

「SEOがある程度理解できたらサービス作りをします」と最初にお伝えしてたし、その方針はコンサルさんも理解していました。

ただ、正直、市場が大きかろうが小さかろうがSEOで1位を取るためにやるべきことは大きくは変わりません。
コンサルの方はアフィリエイトの広告代理店であるa8.netの担当さんもいたようで、当時そのジャンルのトップメディアの情報を尋ねる限り小さい結果しか得られないという、過去のデータに基づいた意見をしてくれたのだと思います

本気度×タイミングって大事

結果的に、ニッチジャンルで始めたアフィリエイトは月50万円と、当初の5~10倍の売上を作るサイトに成長しました。

想定以上の結果が出た理由は以下です。

・自分がそのジャンルのビッグキーワードで3位以内を獲得した

元々そのジャンルのキーワードを見るとほとんどは事業会社しか存在していませんでした。どうも小規模なブログメディアさんが取り組んでいただけで、本腰を入れてサイトを作る方がいなかったようです。
たしかに、他の方が作っていた売上は月10万円も満たなかったようですが、市場がないから収益が小さいのではなく本気で取り組んでいる人がいなかったジャンルだったのだと思います

・WEBマーケティングに強い広告主の参入

たまたまですが、自分がアフィリエイトを始めるのと同時期に、自分がやろうと思っていたジャンルに参入した広告主はWEBマーケティングに強い会社さんだったことも大きな理由です。
自分が作ったサイトから広告主のサイトに送客すると、CVR(問い合わせ率)が5%以上あるお化けランディングページが待ち受けているので、完全に入れ食い状態のアフィリエイトサイトになっていました。

ちなみに、同ジャンルの別広告主のランディングページはCVRがせいぜい2,3%程度だったので、広告主の選定にも恵まれました。

過去データとは違う結果が出ているし、この事例もあとから市場がついてきたケースです。
事業会社より上位に来るまで本気でやってみたから想像してない結果が出せたなと感じました。

再現性があることばかりでも爆発しない

ここまで2つのラッキーパンチについて書いてみました。

不確実性がある事業に博打のような投資をおすすめしているわけではありません。
むしろ、手堅い事業、例えば収益の柱になる事業があるとか本業があるから週末起業できるとか、そういうときのほうがうまくいくように思います。

いまは再現性を狙ってうまくいくことも増えました。

ただ、冒頭に書いた通り、なんとなくやってみた事業が突然爆発することだってあります。
数字や結果を出すことも大事ですが、どこまでなら数字が見えないのか施策を許容していいのかを切り分けたり定量化できるラインを作ったりするかも、自分たちがやるべきことの一つかもしれないなと感じました。

そのほうが面白いですし。

油断するとつい数字で考えちゃうんですけれど、リスクを許容できる範囲内ならフィーリングで飛び込んでみるのもおすすめです。

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