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本が好き

わたしは本が好きだ。
本の虫、というほど読んでいるわけではないので、きっと読むことよりも本そのものが好きなのかもしれない。本を読んでると、賢く思われるのも気に入ってる。文化的な人と、思われるのも悪くない。

背表紙がこちらを向いて並んでいる様子、持った質感、ページを捲る音、新しい本のインクの匂い、くたくたに波打った一冊…好きな本の話をするのも好きだ。好きな本を聞けばどんな人かがわかる気がするし、読んだことがない本をお勧めしてもらうのもとても楽しい。お客様が呼んでる本も気になる。カレーを待ってる間、本を読んでるなんて…!!素敵!!文庫本を手繰る人もいれば、電子機器で読んでる人もいる。何を読んでいるのかな、でも何を読んでるか聞くのは無粋な気もするし、心に土足で足を踏み入れる感もあるので、聞くのは戸惑う。

うちには読んでないけれど、読みたい本がたくさんある。積んで並べて、今はその景色を眺めて楽しんでいる。本を実際に手に取るときは、運命が働く。だからできるだけ本能のままに手に取る。そしたら今の自分に必要な言葉に出会える。
何冊も並行して読んじゃうので、完走するのに時間がかかるけど、やっぱり運命に身を委ねたい。

幸運なことにわたしは3冊の本を出した。
本が好きだから、本を出したいとずっと子どもの頃から思っていたから、とても嬉しかった。本を作るのは魂が削られるような疲れがくる。自分の名前で本を出すのだから、わたしが座長だ。余計なものやわけのわからぬものを背負い込んで、ガチガチになったわたしを、いろんなプロたちが関わってほぐしてくれた。彼、彼女らが、本をよくするために話をし動く。本ができていく様子を見ていると泣きそうになる。これがものづくりか、と泣きそうになる。

今は季刊でZINEを作っている。年に4回の美味しいお便りだ。野菜とカレー。文章をZINEのために書くのだが、いつも書き上げた文章を読み、のたうち回るほど恥ずかしくなる。すごく下手くそな文章だ。もっと良くなる、上手くなれる。その余白がある。わたしはもっともっと文章を書く。練習をする。書くぞ。そして、自分の鏡に映っていることを、自分でも見つめて、誰かにも見つめてもらって、未来へ繋げることをしていきたいんだ。

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