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きれいな味の参鶏湯を食べた日。andCURRY日誌➖20240825

「きれいな味が好きなんです」とスジンさんは言った。

昨日はお休みをいただき、お昼に参鶏湯のイベントに行ってきた。
今年の初めから参鶏湯にハマってしまい、ついには商品化までしてしまったわたし。
もっと美味しく作れたらと思い、東大前にあるJONGJIという気になってたお店で開催される参鶏湯コースを予約したのだった。

通常、韓国では参鶏湯を夏に食べる。暑さでパワーがなくなる時に、栄養補給と体を冷やす作用の材料を入れて作るのだ。日本人の感覚だと、あったかいものを食べるのは冬、という感じがするだが逆。夏こそ、参鶏湯!なのだ。

13時半の会に参加した。
シェフのスジンさんは思っていた通りの快活な方で、お皿を出すごとに詳しく説明してくださる。
最初はどんぐりを粉にして澱粉で固めたトトリムッというお豆腐のようなものに、特製の酸味のある辛めのソース、そして韓国のもみのりがついた一皿。
トトリムッはこれまでも食べたことがあったけれど、こんなにきれいな色のものは初めて食べた。ツルッとした食感もよく、ワインが進んでしまった。


次に出てきたのは緑豆を臼で引いて作ったチヂミ、ビンデトック。これも市場で食べたことがある。市場では揚げ焼きのような様相で結構オイリーだったが、こちらのビンデトックはそんなことはない。お上品な仕上がりだ。
上には自家製キムチと黒豚が乗っている。一緒に食べると尚美味しい。またワインが進んでしまって二杯目をオーダー。


そして登場したのが参鶏湯。真鍮の器が美しい。おかずには梅の醤油漬け(めちゃくちゃいいアクセントになる!)、夏大根のカクテキ、そしてニンニクの酢漬けである。
メインの参鶏湯のスープにまず驚いた。とってもクリアなのだ。
大体の参鶏湯は白濁しているが、こちらは透明度が高く、味わいも出汁本来の味がする。スジンさん曰く、それぞれの食材の香りを際立たせたいから、仕込みの手はかかるが、煮込み方を変えているという。
餅米のとろみがスープに溶け出してしまうのもそれはそれで美味しいが、しっかりと餅米の歯ごたえを感じられるのもとても良い。
鶏は阿波尾鶏を使っている。味わいが深い。結構な量が入っているので、めちゃくちゃお腹いっぱいになった。満足感がすごい。
塩がいらないくらい鶏肉の味わいがあるのだけど、塩をつけた時の旨味の爆上がり具合も最高だ。塩もスジンさんの手作りだという。

そして冒頭のきれいな味の話になる。
きれいな味が好きだというスジンさんのこだわりが、随所に散りばめられたコースだった。

きれいな味、とはなんだろうか。ときどきわたしも、外食をしているときれいな味の料理だなと思うことがある。雑味がない、というのが大きいかもしれないが、手の込んだ丁寧な作業が、清らかさをプラスしている気がする。

有名な絵画を見たときに感じるきれいさとは違う。例えば夕暮れの空。夜へと繋がるオレンジのようなピンクのような色合いを見た時に、きれいだなと感じる。その感覚に似ているような気がする。これはもうちょっと掘っていきたい感覚だ。

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