年に一度飲む人と

どこかでまた今年も誘われると思っていた。もう29歳になるのだ、そのことに無自覚だった。

新卒一年目で神戸で2人で飲んだ。その時には、日本で知らない人はいない会社に就職した彼は、もう会社なんて辞めてしまって一緒に映像やろうと誘ってくれた。それにどれほどの真剣味があったか、がどうかはもう重要じゃなかったことに気付かされる。

数年経って、去年も年始に飲んだ。その時、彼は本当に会社を辞めたと告げた。

それほど驚きもせず、その勇気を十分に讃えることもせず、自分は今の状況だと辞められない、君が軌道に乗ったら、なんてそんな無責任であやかるようなことを言ったことを一年越しで後悔しながらハイボールを飲み続けた。苦かった。

突き進んでいる。迷いながら、貧乏暇なしと言いながら。
そりゃ誘わないよ、そんな安全圏にいるままの、そろそろ結婚するらしい人間を誘うわけがない。

今年だ、本当に今年どうするか決めるんだ。
去年もそんなこと言っていた気がするけどそれとは真剣味が断じて違う。
闘っている、その彼を観て話をして何も決められない人間は一生何も決められない。それを胸に今年は生きます。

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