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トヨトミの逆襲 梶山三郎

 覆面作家・梶山三郎の正体も、大物経済記者か
内部の関係者かと取り沙汰された。
その待望の続編がついに刊行。

巨大自動車企業は世界市場で生き残れるか。
ひ弱な創業家社長は権力闘争に勝利できるか。

フィクションかファクトか? 深読みすればするほど面白い、
超弩級企業小説。

  覆面作家、梶山三郎のトヨトミシリーズ第二弾。
言わずもがなの面白さ。
 読む出したら止まらない。
だから下手に手をつけられない本だ。

 様々な謎が散りばめられて、
解きほぐされていく度に「すごいな」と
感服としか言いようがない。

 でも、一番の謎はやはり覆面作家の作者である。
 
 ネタバレあり。

 主人公の豊臣統一は度重なる苦難を
部下の手を借りながら乗り越える。

 己の器の大きさを誰よりも知りながら苦悶の
日々を送り、海千山千の有象無象と戦い続ける。

 やはり主人公に感情移入は出来ない。
なんせボンボンなので、気持ちがわからない。
  作中にある銀のさじを持って生まれてきた
とあるように、そんな人生があるのだな
と、羨ましくはなる。

 多少の困難も「人を見る目がない」と思うし
「もっと頭を下げなさい」とも言いたくなる。

 どうでもいいプライドだけは一人前で
それさえ親から受け継いだ世襲の賜物で
自分の努力は何一つない。
 
 対比で技術屋の森製作所の話は共感しかない。
たたき上げの技術屋で従業員と家族のように
切磋琢磨してコイルの技術を向上に勤しむ。

 「がんばれ!!」叫びたくなる。

 後半で統一が森社長に頭を下げる場面は
頭を下げるだけでは全然足りなくも思ってしまう。

 しかし技術屋の武士のような方たちは
心も広くそんな統一を快く受け入れる。

 まるで下町ロケットのようで胸が熱くなった。

 早く続きが読みたい。

 そんなワクワクする楽しい苦しい本でした。
 この本はおすすめです。


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