【読書ログ】GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代【PART3のみ】
この本全部でPART9まであるのですが、PART3の内容が大変刺さったで、PART3の内容だけで読書ログを書こうと思いました。
読む前に期待していたこと
自分自身の行動原則の中に「情けは人の為ならず(善い行いをすると巡り巡って自分に返ってくる)」と「恩送り」の考え方があります。この事を副業でお世話になっている人に話をした所、この本を読む事をオススメして貰って読み始めました。
冒頭にも書きましたがPART3の内容が大変刺さるものだったので、この内容について感想noteを書こうと思います。
本の内容と感想
PART3のテーマは「チームの総力を活かせる人」であり、ギバーとテイカーの働きぶりは、どのようにチームの生産性に貢献するのかが語られていました。
マイヤーとライト、ギバーとテイカー
優れたコメディアンであったジョージ・マイヤーの例では、コメディアン作家としての才能を惜しみなく他の仲間に公開し、仲間の台本を良くする事に協力を惜しみませんでした。マイヤーと共に働き有名になったコメディアンは数多く、彼は多くの仲間から尊敬を集めました。
一方で優れた建築家であったフランク・ロイド・ライトの例では、弟子を取っても彼らを単なる手伝い、労働力として扱ったと言います。ライトの弟子で建築家として成功した人物はひとりも居ないというのが印象的です。
マイヤーもライトも革新的なアイデアを現実にしてきた優れたプロフェッショナルではありましたが、アイデアの実現の仕方がまるで違います。
マイヤーはギバーとして信用を築き上げた結果、奇抜なアイデアを出したとしてもまわりの人に「マイヤーの言うことであれば」と特別に認められるようになった一方で、ライトは自分のアイデアに絶対的な自信を持って振る舞い、反論を跳ね返してアイデアを売り込む能力によってアイデアを形にしました。
マイヤーもライトも自身の仕事の分野では誰もが認める功績を上げていますが、マイヤーは最初に成功してから仲間の協力を受けながら成功し続けた一方、ライトは何度と無く仲間を失い凋落した事も述べられています。
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私は特に仕事のMTGの場で、この場で議論されていない事は何か? を考える事がよくあります。何か見落としがあるとすれば、その見落としはそもそも議論の対象として上がってきていないからです。
一方でそうやって見落としを見つけた時、私は喜び勇んで「ここにこんな物が落ちてました! 皆、こんなものを見落とすなんてバカですね!」というような口ぶりで成果をアピールしている事があります。これは少なくとも周りに認められたい人間の振る舞いでは無いでしょう。
周りが考えつかない、見つけ出さなかった事を見つけ出せる事があるのは自分の強みですが、これをアイデアとして仲間に理解されながら展開していくには、当然のことながら自身の信頼性を高める必要がある事を再認識しました。
外科医は手術の腕を持ち運べない
外科医が行う非常に難易度の高い手術の成功率についての調査についての話も印象的でした。
曰く、各地の病院を転々とする同じ外科医が行う同じ手術の成功率は、「ある特定の病院」においてのみ向上が認められたというのです。手術の成功率を上げるためには、手術をサポートしてくれる特定のチームメンバーとの協力関係が必要だったと結論づけています。
自分の知力にだけ頼った、一見、個人の力が大きい仕事でも、成功するかどうかは自分で理解している以上にほかの人びとの協力にかかっているのだ。
(GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代 PART3より)
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外科医の例を読んだとき、果たしてこれまでの自分の仕事に対する理解は正しかったのか疑問を持ちました。
コーディングも設計も「自分の知力にだけ頼った、一見、個人の力が大きい仕事」だと考えているし、自分と職責の異なる他のメンバーが行っている仕事も同じだと考えています。それぞれの工場でパーツ製造の作業を行い機械を組み上げるように、個々のメンバーの仕事が正しければ良いソフトウェアが組み上がるはずと信じていました。
しかし、メスを持って執刀するレベルですら外科医に依存しない(当然、幅はあるとは思いますが)のなら、コーディングも設計も他のことも全部、他のメンバーに依存する要素は思った以上に大きいのではないだろうか?
「責任のバイアス」
人は仕事に対する自分の貢献を過大評価し、他人の貢献を過小評価する傾向があるというものであり、思い当たる節も多くあります。
このバイアスを乗り越えるためには、「他人がした貢献に注目する」「自分がやったことを評価する前に、相手がしてくれたことをリストにする」ことが推奨されていました。
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これには自分自身よく囚われているなと自覚する所があり、紹介されていたプラクティスは、定期的に実践していく価値がある事だと感じました。
「視点のズレ」
マイヤーはコメディアン仲間から添削を求められた台本をズタズタにすべき時はそうしました。しかし、マイヤーは台本はズタズタにしても、それを書いた人の事はズタズタにしない。これを実現するために必要なのは「視点のズレを克服する力」だと述べられていました。
心理的・身体的な興奮状態を経験していないとき、人はそれが自分に与える影響をひどく過小評価するのだ。
(GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代 PART3より)
マイヤーは過去に自分の台本を意に沿わない形で修正された過去を鮮明に覚えており、自分が誰かの台本を修正しなければならない時、常にその気持を思い返している。そうやって台本を修正される相手の視点で物事を考えることができているということでした。
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これ完全にレビューの話、伝え方の話ですよね。コードレビューで冷たい言葉を受けて心臓が跳ねたり指先が冷え切ったりした経験、誰しもある(はず)のに、業界歴を重ねるうちに慣れてきてしまって、そうした伝え方を再生産してしまう...
自分自身、レビューを受ける相手の視点で言葉を選ぶ事はあまりしていなかったように思います。
全体感想
仕事をする上でチームメンバーの関係性が良好である事が重要である、というのは今や当たり前の事として受け止められていると思います。心理的安全性という言葉も若干使い古された感はありますが、重要なものとして認識は広まっています。
じゃあ何が心理的安全性を妨げているんだ? という問いには、様々な人が様々な回答をしているかと思いますが、少なくとも「テイカーであること」「責任のバイアス」「視点のズレ」は、心理的安全性を妨げる要因として挙げても良さそうです。
ちょうど最近自分自身のコミュニケーションの取り方に悩む時間が増えてきた事もある中でこの章を読めた事は、自分の悩み事に対する大きなヒントになりました。続きも読んでいくので、読了後またnoteを書くかもしれません。
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