上皮組織の分類

上皮組織は基底膜といわれるシートに細胞がびっしりとスキマなく並んでいる形態をいいます。

細胞の層により単層と重層に分けられます。単層ですが、核の位置が上下バラバラに位置しているものを多列といい、呼吸器系(鼻腔〜気管・気管支)にみられます。

また膀胱などにみられる移行上皮は重層に見えますが、全ての細胞が基底膜と接しているので、厳密な意味での重層ではありません。

上皮組織に関しましては、形態別の分類に加えて、器官系別の分類も覚えますと、理解を伴って記憶できますので、忘れにくくなります。

上皮組織の形態による分類

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上皮組織の形態別分類-Morphological-Classification-of-Epithelia-確認用

【単層扁平上皮】胸膜、腹膜、血管内皮、肺胞など
薄いので物質の交換などに向いています。

【単層立方上皮】甲状腺濾胞上皮、尿細管など
場所が限られますので、そのまま覚えてください!

【単層円柱上皮】消化器系(胃, 小腸, 大腸)、卵管・子宮など
細胞の丈が高いということは、細胞小器官も沢山もつことができ、吸収や分泌を行なう場所に向いています。

【重層扁平上皮】皮膚, 口腔〜食道, 肛門, 膣など
摩擦など機械的刺激に強い上皮です。

【多列線毛上皮】鼻腔〜気管・気管支(気道)
表面に線毛があり、杯細胞が豊富。線毛と粘液で塵や異物をからめとることができます。

【移行上皮】腎杯・腎盂・尿管・膀胱
内容量に伴い、伸び縮みすることができます。

上皮組織の器官系別分類

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上皮組織の器官系別分類-Organ-system-classification-of-epithelial-tissue-確認用

【消化器系】
始まりと終わりは摩擦や機械的刺激に強い重層扁平上皮、真ん中は吸収や分泌に向く単層円柱上皮。
つまり、口腔・咽頭下部(咽頭口部・咽頭喉頭部)・食道までは重層扁平上皮、胃・小腸・大腸は単層円柱上皮、最後の肛門が重層扁平上皮。

【呼吸器系】
気道は塵を吸着して排泄するのに適した多列線毛上皮、肺胞はガス交換をする場所なので物質交換に向いた単層扁平上皮。

【泌尿器系】
腎杯・腎盂・尿管・膀胱は移行上皮。内容量に伴い伸び縮みすることができます。移行上皮は膀胱だけ覚えがちですが、必ず4点セットで!!尿道に関しては、始まりが移行上皮で、その後重層円柱上皮、重層扁平上皮と変化していきます。こういう一つにしぼれないものはあまり試験には出題されにくいので、移行上皮をしっかり覚えてください。

【女性生殖器系】
子宮・卵管は単層円柱上皮。卵管は卵子を運ぶための線毛付き(単層円柱線毛上皮)です。膣は機械的刺激に強い重層扁平上皮です。

【循環器系(内皮)】
血管、リンパ管、心内膜は身体の内部で液体が循環している部位を覆う「内の皮」です。単層扁平上皮でできています。

【漿膜(中皮)】
漿膜性心膜・胸膜・腹膜は心臓や肺、腹膜内臓器を覆う「中の皮」です。内皮も中皮も単層扁平上皮。

上皮組織の分類・学習用PDF

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・上皮組織の形態による分類
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・上皮組織の器官系別分類
・上皮組織の器官系別分類 - 確認用
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関連動画:最も伸縮性の高い上皮はどれか(単層扁平上皮, 重層扁平上皮, 単層円柱上皮, 移行上皮)

一問一答:上皮組織

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