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ミライノオトモニターNo.16「同じ場所を見るだけで」

きらきらと輝く光の海を眼下に見下ろしていると、ここがどこだか一瞬わからなくなってしまうような感覚になる。
爆音が話す言葉を掻き消してしまうけど、ちょうどいいのかもしれない。
何か話をするよりも、この状況を感じてみることが、今は大事だと思うから。
と言っても、普段聴いたことのないようなこの音は、聴覚に否が応でもフォーカスが当たりすぎてしまうんだけど。

ぐるっと光の海の上を回って、元の場所に戻ってきた。
彼が私の手を取って、エスコートしてくれる。
振動の中にいたせいか、降りる足がふらついた時に、あまりにも自然にふわっと抱きかかえてくれた、その流れるような仕草に、瞬間また惚れ直してしまう。
彼が私の腰をそっと抱き寄せたまま、私たちはヘリポートを後にした。

私が体験したことのないもの、知らないことを彼はたくさん知っている。
今日みたいにヘリコプターに乗って、くるっと小さな旅をすることなんて、私の普段からは考えられないことだったけど、そういうことが身近な彼にすれば、なんてことないことなのだ。

だからこそ、もっと彼のために、役に立ちたいと思ってきた。
私ができることはなんだろうと、常に探していたし、機会が合えば習得してきた。
そうすれば、彼が追い求めているものを掴み取ることに、協力することができるかもしれないし、何よりそうすることで側にいたかった。

いたかった、という過去形になっていることに、軽く驚く。
ということは私は今はそうは思っていないということだからだ。
そうは思ってもいないし、あの時の私がいる場所とは違う場所に今はいる。
彼の側という環境に。
今までは、話に聞いていたこと、そしてこれからはこんな風にしたいな、と聞いていたことが次々と叶っている状況に、二人でいる。
そんな現実を体験しているということに、また軽く衝撃を受けるのだけど、でもこれも日常になりつつある感覚の方が優って来ているのだ。

じゃあ、私が今何をしているのかというと、正直なところ、何もしていないような気がする。
何もしていない、というのは、以前のような「役に立つ」ようなことであって、それ以外に?というと、一番はこれだろう。

ただ、根拠なく信じていることだ。

一緒にいる時間が増えて、波風が全くないことはない。
彼の仕事ややりたいことに関しても、二人の間柄のことも。
そんな中でも、私が見るものはたった一つ、二人が最も素晴らしいと感じている未来と、そこにもういるという感覚。
そして彼も私も、そこに「すでにいる」のだという「当たり前」を信じていること。
たとえ、その過程にどんなことがあろうとも、変わらない。
一見ピンチだと思えることにも、それに飲み込まれない自分でいること。
私がやっていることは、それだけとも言える。

そうそう、一度彼の仕事が急激に傾きかけたことがあった。
今までにないことだったので、一瞬どうしよう、なんとかしなくては、と気持ちが焦ったが…
そのままの状態で私は何かをすることはなかった。
逆に、彼のお金を大胆に使ってみたのだ。

なくなる、と思うと守ろうとしてしまうけど、それって「もう入ってこない」が前提にある。
でも彼はそんな器の小さな人ではない。
「どうせ」入ってくるのだ。
それを私は根拠なく信じている。

そして、その通りにというか、以前よりももっと豊かになっていく道のりを、一緒に味わわせてもらった。
とある国の富豪と言われる人とのつながりを持つことができるなんて、誰があのどん底かもと思われる時に予想しただろうか。

「君といるだけで、なんだか不思議なことが起こるんだよなあ」

そう呟く彼の瞳をじっと見ていると、思わず笑いがこみ上げて来てしまう。
こらえきれなくなって吹き出すと、彼も一緒に笑い出す。

ただ、こういう時間を過ごせること。
お互いが大切に思い合い、笑いあえること。
たとえ、この先どんな状況が来たとしても、変わらない豊かさを私は生み出すことができる。彼と共に。

空いたグラスに注いだドリンクは、夜景の輝きと相まって、豊かさの象徴のように金色に煌いていた。

「ミライノオト・モニターシリーズ」
MIERUKAアーティストAKARIが綴る、
お申込みくださった方の「勝手な未来の妄想ストーリー」
今回は、遠距離恋愛中の方から、恋愛ついてのストーリーのご依頼でした。

モニター募集時の記事はこちら
https://resast.jp/events/YjkwYzc3NWQ4M

<追記>
本募集が始まりました!
小さな本のタイプと、動画タイプをお送りしています。


現在こちらで受け付けています。
https://resast.jp/inquiry/ZjI3OTgyNzQwM

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以下は、お申込みくださった方のご感想です。

今回お申込みいただいたきっかけ、何にピンと来たかなどお知らせください。

AKARIさんの文章が美しくて好きなので。


届いた妄想ストーリーのご感想をお願いいたします

冒頭から、いきなり私を揺さぶるワードが多数出てきて、
そのシンクロっぷりに笑ってしまいました。
光 海 爆音 聴覚 振動 ヘリコプター
どれもここ数年の私を表すような言葉でして…。
好きなものも苦手なものも、渾然一体ミックスされていて、言葉によって揺さぶられ、刺激されました笑
AKARIさんの同調力すごいです。

そして読み進めるうち、「そうそう、そうなの〜〜!」と
しっくりくる感覚になりました。
まさに、彼のために役に立ちたいと思っている今と
その先の未来として思い描いていること
そのまんまだったからです!笑

正直、自分でもふわっと描いていたようなことを、クリアに細かい心理描写で描いてくださって、ものすごく臨場感が高まりました。
未来を確定していただいたような。
最高に面白いストーリー、ありがとうございました!



このミライノオトはどんな方にオススメしたいでしょうか?

どんな方にもおすすめ!五感を使って願望のリアリティを上げたい方


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モニターのご参加ありがとうございました。
未来への一つのヒントとなりましたら幸いです!

この度は本当にありがとうございました^^

さらにミライへ、そのオトを聴きならがら。

MIERUKAアーティストAKARI

ピコンと心が動いた時に、ぽっちり押してくださると、嬉しいです。 より良いものをお届けさせていただくともし火にさせていただきます^^