見出し画像

サイゼリヤの代償行動としてのびっくりドンキー

たまに行きたくなる場所、それがサイゼリヤ。

その日も私は不意にサイゼリヤに行きたくなって、わざわざスマホでグランドメニューを眺め、今日こそラムの串焼きを食べてみたいと入念に気持ちを高めてから自転車こいで出掛けたのだ。

そうしたらどうだ、サイゼリヤが閉まっている。
サイゼリヤって定休日あったっけ?と思って貼り紙を見たら、「サイゼリヤ●●店は○月○日をもって閉店いたしました」と書いてある。○月○日って昨日じゃん。何て間が悪いんだろう。

じゃあどこで夕食を済ませようか。完全にスパゲッティの口になっているので、隣にあるとんかつ屋さんはちょっと違う。
考えた結果、少し離れた場所にあるびっくりドンキーに入った。あの木の扉型のメニュー表の左下に、ひっそりとミートソーススパゲッティがあることを私は知っているのだ。実はうまいらしいという噂も聞いたことがあるけど、実際に注文したことはない。
だってそうでしょう、あの木のお皿に乗ったハンバーグが食べたくてびっくりドンキーに行くんだから、わざわざハンバーグを差し置いてスパゲッティを注文しようとはなかなかならない。

逆に考えれば、全然ハンバーグを食べる気がなかった今日、スパゲッティを注文しなれば、私は一生びっくりドンキーのスパゲッティを食べることがないのではないか。

今日がその日だ。
「ミートスパとディッシュサラダをください」
注文を復唱して以上でよろしいでしょうか、と言った店員さんの顔が「この店に来てハンバーグを注文せずスパゲッティを頼むとはこいつ通だな」という感嘆に満ちていないだろうか、と仄かに期待してちらっと見上げてみたら、別に彼の顔には何の感慨も現れてはいなかった。
本当は『ビバ!ミートスパ』という商品名だけど、ビバ!は恥ずかしくて言えなかった。敗因はそこにあったかもしれない。

隣のテーブルのバーグディッシュが目に入る。やっぱりおいしそうだなと思ったところに私のスパゲッティとサラダが来る。

画像1

スパイスが香り、挽肉の食感がしっかりしている。さすがハンバーグ専門店のミートソースだ。麺はたぶん注文を受けるたびに茹でているんだろう。お皿の底に少し水が溜まっていた。

スパゲッティを食べたい気分の時に食べたびっくりドンキーのスパゲッティはまあおいしかった。
ただ、ミートスパとディッシュサラダで税込984円。
レギュラーバーグディッシュ150gが税込690円であることを考えると、割高な印象は否めないな。

2週間後にまた同じびっくりドンキーに行って、カリーバーグディッシュと『いちごのキラキラ☆ティアラ』を食べた。
物足りなさが満たされたような気持ちになった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?